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おやすみのお茶(同棲男女。付き合ってる?)

作者: 飛鳥井 作太
掲載日:2021/09/05


 作業も大詰め。

 今夜も眠らないぞ、と決めた矢先。

 同居人が持って来てくれたお茶を飲んだ瞬間だった。

「!?」

 まず、ぐら、と視界が揺れた。

 そして、頭の芯が痺れるような、重くなっていくような感覚。

 まずい。

「な……んか、いきなり眠……っ!?」

「ふん。効いたようだな」

 バッと同居人を見れば、しれっとした顔で、とんでもないことを言った。

「ま、まさか今飲んだお茶……!?」

「ゆっくり寝ろ」

「そんな……あした……納、期……」

 やばい、やばい。

 あとちょっと、あとちょっとで終わる、の、に──……


 そこで、私の意識は途切れた。


 ※


「寝たか」

 机に突っ伏す寸前に、何とかカップを取り上げることに成功した。

 安全な位置……入り口付近の棚の上……にひとまず、カップを置いた。

 机の上にも、床にも、彼女の作った子ども服が並んでいる。

 ユーチューバ―だったかとコラボした服……と言っていた気がする。

 抽選で何名様に当たる、みたいな企画だったはずだ。

「睡眠薬なんて、飲ませるわけないだろ」

 彼女に持って来たのは、普通のハニージンジャーティーだ。

 単に、飲んで気が緩んだ瞬間に眠気が来ただけだろう。

 何徹したんだ、こいつ。

「明日、少し早く起こしてやるか」

 よいしょ、と抱え上げて、ベッドに連れていく。

「寝た方が上手くいくって言ってたのは、どこの誰だったって話だよ、まったく」

 昔、彼女が試験前の俺に言った科白だった。

 彼女は、試験前だろうが眠くなればちゃんと寝ていたのにな。

 それでいて、やるときはやる奴だった。

 ちら、と作業机の上を見る。

 素人目には、ほとんど出来上がっているように見える服。

 こいつの性格上、徹夜を選んでラストスパートをかけようとしていたから、多分、残る工程は少ないはずだ。

 寝てからブーストをかけた方が早い。

「おやすみ」

 俺は、布団をかけてから、傍に置いてあった目覚ましをセットした。

 明日は、俺も早起きするか。

 目覚ましより数分早くスマホのアラームをセットし、部屋を出た。

 彼女のラストスパートを最後まで応援してやるのが、寝かしたやつの責任だろう。

 どんな朝ごはんを作ろうか、と考えつつ、俺を速やかに自分の部屋へと戻った。


 END.


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