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第4話 妹は魔法少女

普通に授業を終え、普通に放課後を迎えた俺は今、普通に下校している。


部活動とやらにも興味を持ったんだが、アレはダメだ。


”高頻度で巻き込まれる”




ので、部活動は渋々断念する事とした…やはり”普通”を目指すならば帰宅部に限るのだ!!


とは言えだ。 この街に住んでいるとどうしても巻き込まれる可能性は高くなってしまう。


俺は”普通”でありたいのだ、だからこそ”巻き込まれモブ”にはなりたくない。




「さて、魔眼発動」




説明しよう! 魔眼とは我が能力の一つであり!


なんと、これから起こる出来事をコンマ~秒単位で未来視する事が可能なのである!


だからと言って、死んでいく”人間モブ”を軽い気持ちで助ける訳にはいかない―――とはいえ目覚めが悪いので別の方法を使っている。




俺は! なんか”直観で気付いてしまう魔法”を使用!!


パチンッ。


と指を鳴らすことで、あのアホ共に敵の存在を知らせることが出来る。


我ながら素晴らしい作戦だ。





ガチャ。




「ただいま~。 って誰も帰って来ていないのか…輝は~…」




パチンと指を鳴らす。




『え? い、今から!? で、でもお兄ちゃんがそろそろ…わ、解りました! 今から向かいます!』




と慌ただしい足取りで家を出たらしい。


なんだ、また呼ばれたのか。




「魔法少女も大変なんだな」




何を隠そう、我が妹はピチピチの魔法少女だ!!


魔法少女ならば仕方ない! 16歳でありながらもあのようなフリフリのドレス姿に身を包みこむ姿は最早眼福。

流石は俺の妹である!!!



なんでもエナジーとやらを? わるわるなんたらを倒す事でそれを集め―――なにかをするらしい。

え? 聞いていないのか? 俺が俺自身の正体について妹に話した事はないんだ、別に信用していないとかそういう話じゃない。




な~んか魔法少女って胡散臭いんだよな。

妹がではない、存在そのものが胡散臭くて仕方ないだけだ。

こう見えて、実は両親達は”普通”の何処にでもいる男と女なのである。


だからこそ、妹の正体も話す訳にはいかず…俺の正体も永遠に謎のまま―――妹からすれば俺の存在は”ちょっと強いお兄ちゃん”位の印象に違いないだろう。




「とりあえず対象を移動させる能力」

と俺は妹に嘘を付いた。

まぁ、この世界で能力者なんて腐る程存在するわけで…そんな力があってもおかしくはない。




「にしても…我が妹は何処に行ったんだ?」







――――――――――――――――――




side輝




私は急遽招集を受け、ある場所へやって来ていた。

ここは魔法少女教団。

私達”魔法少女達”の組織である




「輝! 入ります!」

「うふふ、元気そうで何よりです輝。 エナジーの方も集まっているようですね?」




目の前の美しい女性が私にそう声を掛けた。

彼女の名は”マザー”この魔法少女教団の長であり、私に魔法少女の力を与えてくれた方である。




「はい! マザーもお元気そうで! で? どうしたんですか? 何か問題が?」

「いえ、特には。 お兄さんは元気ですか?」

「はい? お、お兄ちゃんですか? 元気ですよ! いつも、呑気ですけど」




どうしてマザーはお兄ちゃんの事を聞いたのか解らないが、最近はよくマザーからお兄ちゃんの事について聞かれることが多くなった。



「そうですか、それはよかった。 おっと、そうでした…思い出した事がひとつ。 最近、あなたの家の周辺から”わるわる星人”の発生が確認されています。 何か、心当たりはありませんか?」


「心当たり…」



マザーの話によれば、わるわる星人は人の悪意から生まれる存在だと聞く。


けれど、ちょっと変なお兄ちゃんとは言え…人に恨まれるような存在ではないと思うし…解らない。




「人々の悪意が周辺で確認されています。 何か変わった事等あれば、私に報告して下さいね?」

「はい!」







――――――――――――




一方その頃。


妹が俺の為に丹精込めて作ってくれたであろう晩御飯を口に運びながら、テレビのニュースを見ていた。




「~さんが行方不明です。 現在警察は行方を探索中、一体何がこの街で起こっているというのでしょうか?」




とニュースキャスターが専門家の者に質問を投げかけていた。

やっぱりこの世界は変だ。 何度も何度も行方不明事件が起きてたまるか…現実に目を向ける事がいやなのか。




「本当に何が起こっているのか解らないのか」




駄目だ。 考えても仕方ない―――風呂に入ろ。

ザバンッ…




「にしても、最近なんか殺気が凄いな」



主にこの家に向けられたものだろう。 あいつと同職の人間なのか、可愛らしいフリフリの衣装とは裏腹に”途轍もない憎悪”を感じる。




『美味そうな奴らだ。 主―――全部食うか?』



すると頭に声が響いてくる。




「やめとけ。 幼気な少女達だぞ? いや~やっぱり出来る妹の兄って? つらいよな?」

『………はははは』

「おい、ぶっ殺すぞ」

『だははははは!! 面白い! 主、面白い!! だはははは!』

「というか、今なら風呂にはいれるぞ? どうするんだ? ダークネスドラゴン」

『入る!!』




ザバン!!

何処からともなく、30cm程の大きさをした黒い竜が姿を現す。




「てめぇ! 風呂は身体を洗ってからって言っただろうが! おい!!」

『いだだだだ! 主! 痛い! すまぬ主! 痛い痛い痛い!』 



俺は小竜の尻尾を掴むと、ムチの様にグルグルと振り回す。

この野郎! 俺は風呂に入る前にしっかりと身体を洗う派なんだ―――それをお前はよくも!




『にしても…何故主は動かんのだ。 ”皆”毎回のようにそう言っておるぞ』

「何故って言われてもな? 面倒だろ」

『それは否定できぬな』

「じゃあお前はどうするんだ? 漫画やゲームが出来ない毎日がやってきたら!」

『嫌だ!! それだけは~嫌だ!』

「だろうが。 大人しくしてりゃいいんだよ」




面倒事に首を突っ込めば、永遠とその道を進むしか…選択肢は無くなってしまう。

だからこそ俺は大衆の1人でいいんだ。

後は単純に、あのアホ共の一員となりたくはない。

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