42話 クラス対抗戦㉑ 決着
*エミリ*
ダアアアアアアアアンッ・・・!!!
ユーリの剣術とベルガー副会長の魔法がぶつかり
そして―
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!
ベルガー副会長が放った激しい竜巻に
ユーリがのみこまれた。
「ユ、ユーリ!」
私は思わず声を上げた。
だが次の瞬間―
ザクッ・・・
「な、なに!」
ザクッ、ザクザクッ!!!
と、竜巻の中から
激しい雷が飛び出し
そして―
ダダダダダダダダダダダダダダダダッ・・・!!!
ユーリの剣術により
ベルガー副会長が放った竜巻が
斬り刻まれた。
そして―
「く―」
ユーリの剣がベルガー副会長へぶつかる直前
「ベルガー君!」
後方のアラン会長がベルガー副会長に触れ
そして―
ダアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!
と、場内へ打ちつけられたユーリの剣術により
闘技場内は大きな衝撃に襲われる。
「きゃあああああああああああっ」
観客席から様々な声が聞こえてきた。
私は衝撃に耐えると
すぐさま場内に視線を戻した。
だが場内は、土埃が舞い何も見えない。
「一体、どうなったんだ」
次の瞬間―
ブンッ!!!
ゴオオオオオオオオオッ!!!
場内中心から凄まじい突風が吹き上がり、
土埃が一瞬で上空へ流れた。
場内中心へ視線を移すと
ごっそりとえぐれた地面の上に
ユーリがロングソードを振り上げているのが見えた。
何と、
今の突風はユーリが剣を振り発生させたものだった。
ユーリはごっそりとえぐられた地面から
タタッ
と、平地の場内へ飛んだ。
そしてユーリの視線の先には
場内の壁際付近で片膝を立てている
アラン会長とベルガー副会長の姿があった。
「くっ・・・」
ベルガー副会長は悔しそうな表情で
震えている右手を
反対の手で押さえていた。
「やれやれ、万策尽きたようだね」
アラン会長は苦笑いを浮かべそう呟いた。
「きゃあああっ、アラン会長の魔法陣が!」
観客席からそんな声が聞こえた。
アラン会長に印字されていた最後の魔法陣は
跡形もなく消えていた。
ユーリはロングソードを肩に乗せ、一歩二歩と
アラン会長の方へ歩き出した。
「くっ、貴様」
ベルガー副会長は立ち上がり
震えている右手を必死にユーリに向けた。
だが―
トン
と、隣のアラン会長が
ベルガー副会長の腕をそっと下ろした。
「ア、アラン会長」
ベルガー副会長は不思議そうな表情でそう呟いた。
「ベルガー君、無理しなくていい」
「で、ですが!」
「大丈夫、僕に任せて」
アラン会長は爽やかな表情でそう言うと
「ユーリ君、どうしてとどめを刺しにこない? 見ての通り僕たちはこのざまだ。 今の君なら、僕たちの腕章を奪うことなど造作もないだろ?」
アラン会長がそう言うと
ユーリは立ち止まり口を開いた。
「アラン、てめえに印字されている魔法陣は全て消えた。 つまりもう、瞬時にテレポートを使うことは出来ねえ」
「つまり、勝負はついたと・・・そういうことかい?」
アランがそう問いかけると
ブンッ!
と肩に乗せていたロングソードの剣先をアラン会長へ向けた。
「ここからてめえの間合いまで、俺は瞬時に潜り込める。 もし万が一、てめえが魔法陣でも展開しようものなら、俺はすぐさまてめえの間合いに入り、腕章を斬りこむぜ!」
「つまり、もうこれ以上は必要ないということか。 確かに、ユーリ君なら本当にやってのけるだろう。 僕のテレポートをもってしても、君のスピードに対応するのがやっとだったからね・・・こんなことは初めてだよ。 やれやれ、本当に君は凄いよ」
「本当に・・・」と、アラン会長は不敵な笑みを浮かべ
こう続ける。
「僕たち‘‘二人‘‘なら絶対に勝てなかった」
「なに? いま何て―」
ユーリがそう言った瞬間
シュルルル・・・
と、ユーリの腕についていた腕章が
ほどけるように外れ―
「な―」
そこには、
「す、すす、すみません。 わ、腕章は、い、いただきます」
と、おどおどした態度で
ユーリの腕章を握りしめている
生徒会書記のクロの姿があった。
そして―
「え、えええええええええええええ!?」
「クロ書記がなんであそこに?」
「いやそもそも、最初からいたっけか?」
「バカやろう、3対3のクラス対抗戦なんだから、いるに決まっているだろ・・・ま、まあ、俺も今の今まで忘れちまっていたがよ・・・」
などと観客席から様々な声が聞こえてきた。
かく言う私も、驚きを隠せずにいた。
「ど、どういうことだ? クロ書記など・・・果たして本当に最初からいただろうか」
私は脳内で必死に振り返るも
・・・思い出せない。
場内のユーリも、面食らった表情でクロ書記を見つめている。
おそらくユーリも私たちと同じ気持ちなのだろう。
クロ書記の存在どころか、気配さえも
誰も気づくことが出来なかった。
するとアラン会長がゆっくりと口を開いた。
「クロ君はこの学校きっての隠密行動のスペシャリストさ。 クロ君のインビジブル能力は習得しようとして、得れるものではない。 持ち前の影の薄さ、見振り、行動など様々な要因が合わさり始めて発揮される能力。 さらに加えて、僕たちはミスディレクションも使わせてもらった」
「ミスディレクションだと?」
「クロ君にはあえて今まで、一度たりとも活躍の場を設けず、存在をできるだけ消してもらっていた。 だから今の今まで、君を含めここにいる全員が、クロ君の存在にさえ気づいていなかった」
「確かに・・・アランとベルガーに気をとられるあまり‘‘三人目‘‘のあいつの存在が、完全に頭から消えていた」
「そう、それこそがミスディレクションさ。 光が大きくなればなるほど、また影も色濃く、強くなるということさ。 ということでユーリ君」
アラン会長は腰に手を添え
「僕たち‘‘生徒会‘‘の勝ちだ」
そう口にした。
そして―
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
と、アラン会長の声に合わせ
観客席は大きな歓声に包まれた。




