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碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第2章 高位6魔人<ネグルス>編
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35話 クラス対抗戦⑭ 弱点


 *ユーリ*


 アランは俺に視線を合わせ、口を開いた。


 「たしかに・・・テレポートといのは、僕が立っているこの空間、厳密にいえば僕の体の体積ほどの空間と、転移先である何もない空間、それら2つの空間を瞬時に入れ替えることで初めて成り立つ魔法。 君が言うように、空間が入れ替わる瞬間、この二つの空間にわずかに歪みが生じるというのは、理解できない話ではない。 まあ、術者であるこの僕でさえ気づかなかったことだが・・・」


 アランは一呼吸おき続ける。


 「君のその野生動物にも劣らない鋭い勘と、常人離れしたその身体能力、反射神経・・・それら全てにより、術者であるこの僕でさえ気づきえなかった、このテレポートの攻略法に気づき、対応したというわけか」


 アランはなるほど、といった表情を向けていた。


 だが―

 

 「それだけじゃねえ!」


 俺はアランに指を差し、続ける。


 「俺はてめえの・・・テレポートの弱点を知っている!」


 俺がそう言うと、


 アランは一瞬面食らったような表情を向ける。


 そして―


 「ほう・・・君が今しがた言った、この2つの他に、まだ僕のテレポートに弱点があると、そう言いたいのかい?」


 アランはそう問いかけた。


 「そうだ!」


 俺は声を上げ、そう答えた。


 「やれやれ」


 アランはそう言うと、呟くように続ける。


 「参ったね。 僕はこのテレポートに、絶対的自信を持っていたんだけど・・・。 君に初めて打ち破られた上に、弱点まで見つけられているとは・・・」


 アランは顔を上げ、俺に視線を合わせる。


 そして―


 「さあユーリ君、君が言ったその弱点とやらを僕に教えてくれないかい?」


 「ああ!」


 俺はそう答え


 「それは―」と続けた。



 *三回戦終了後—観客席にて*


 メリーは俺たちに見えるように


 右手の甲を前に出すと


 そこに魔力を込めるように


 少し力を入れた。


 すると―


 フワッ・・・


 と、メリーの右手の甲に


 何かが浮かび上がった。


 「こ、これは!」


 メリーが差し出した右手の甲に


 白色で描かれた魔法陣のようなものが


 映し出されていた。

 

 メリーは俺たちに説明するように口を開く。


 「これは、私が使う透過魔法の魔法陣です」


 やはり、


 手の甲のこれは魔法陣だったのか!


 だが、どうしてこんなところに・・・


 メリーは続けて口を開く。


 「これは、ある魔法具を使って私が直接描いたものなんです」


 「なんだと? これを・・・メリーが?」


 メリーは笑顔で「はい」と続ける。


 「このように、あらかじめ魔法陣を体に印字しておくことで、いざその魔法を使うとき、魔法陣の展開をすることなく、直接魔法を使うことが出来るんです」


 な、なるほど・・・


 魔法陣を展開せず、魔法を発動していたのには


 こういう理由があったのか。


 「そして魔法を使うときは、魔法陣を印字している体の部位、私で言えばこの手の甲に、魔力を込めるだけで透過魔法を使用することが出来ます」


 「そうなのか・・・」


 魔力を込めるだけで魔法が使えるなんて


 画期的すぎじゃないだろうか?


 いや、俺が知らないだけで


 この世にはもっと凄い


 いろいろな便利グッズがあるのかもしれない。


 などと考えていると


 ふわっと、俺の脳裏にある疑問が浮かんだ。


 「メリー、一つ聞きたいんだが・・・」


 「どうかなさいましたか?」


 「普段全く魔法が使えない奴も、その魔法具であらかじめ自分の体に魔法陣を描いていれば、魔法が使える奴と同じように、そいつも魔法を使うことが出来るのか?」


 俺がそう問いかけるが


 「残念ながらそれは出来ません・・・これはあくまで、魔法を発動する工程を短縮する為のものです。 術者本人が習得していない魔法は、たとえ体に魔法陣を描いていようとも発動することは出来ないんです」


 メリーは申し訳なさそうな表情でそう口にした。


 「そ、そうか・・・」


 別に、


 俺でも魔法が使えるかもなんて


 そんなこと


 微塵も考えちゃいないさ・・・

 

 微塵もな・・・


 っと、


 今はそんなこと言っている時じゃねえな。


 俺は話を本題に戻す。

  

 「アランのテレポートも、メリーのこれと同じってことだよな?」


 「はい、おそらくそうだと思います」


 「そうか・・・」


 俺は一呼吸おき、率直に問いかけた。


 「これに、弱点のようなものはないのか?」


 「弱点・・・ですか?」


 「いや、興味本位で聞いてみただけだ。 ないならないで構わないんだ」 


 メリーは一瞬驚いたような顔を見せたが


 すぐさま、真剣な表情で考える。


 そして―


 「弱点・・・になりえるどうかわ分からないのですが」


 「あるのか?」


 「ユーリ様が望んでいるものではないかもしれませんが・・・」

 

 「何でもいい、話してくれ!」

 

 俺がそう言うと


 「わかりました」


 と、メリーは手の甲の魔法陣に触れながら口を開いた。


 「この魔法陣を描いた魔法具は、魔力が込められたペンなんです。 つまり特殊なインクで描いているんです。 そしてこのインクは、その魔法陣を使用する度に徐々に薄れていきます」


 「つまり、回数に限りがあるってことか?」


 「はい。 どのような魔法でも、5回ほど使用すればインクは完全に消えてしまいます。 おそらく、アラン会長のテレポートも例外ではないはずです」


 「なるほど」


 ということは


 何とかして、5回ほどアランにテレポートを使わすことが出来れば・・・


 それ以降は、テレポートを使う際


 魔法陣を展開しなくてはならなくなる


 ということか。


 テレポートの脅威というのは


 瞬時に消え、瞬時に姿を現すところにある。


 だが、


 今までと違い


 テレポートを使用する度


 魔法陣を展開しなくてはいけないのであれば


 魔法陣を展開している


 そのわずかな隙に


 アランのテレポートに対処することが出来るはずだ。


 見えてきたぞ。


 テレポートの攻略の糸口が!


 ・・・だが、


 そこまで考えたところで


 俺の脳裏にある疑問が浮かんだ。


 「だがメリー、回数制限があるといっても、それはあくまで一つの魔法陣に対してだよな? もし他に、体にいくつも魔法陣を描いていれば、もっと多く魔法が使えるんじゃないのか?」


 俺の疑問は、とてもシンプルなものだと思う。


 多くの水をすくいたいのであれば


 バケツの数を増やせばいい。


 ただそれだけの話しだ。


 もし術者が俺であったなら


 複数魔法陣を描くと思った。


 だが―


 「おそらく、それは不可能だと思います」


 「不可能?」


 「確かに、体にいくつも魔法陣を描くこと自体は可能です。 ですが、それを維持するのが大変なんです」


 「維持が大変って・・・一体どういうことだ?」


 「魔力というのは、血液のように私たちの体の中をぐるぐると回っています。 ですが、このように体の一部に魔法陣を印字していると、そこを魔力が通過するたび、誤って魔法を使用しないように、体が無意識下で勝手に抵抗をします。 結果それにより、かなりの魔力が消費されるんです」


 「そうなのか・・・」


 メリーは手の甲の魔法陣を見つめながら続ける。


 「私も最初は苦労しましたが、今では体も随分と慣れ、常にこの手に、魔法陣を一つ印字しています。 ですが、いくら慣れたからといって、魔法陣を複数印字しようなんてことは考えません。 おそらく、これと同じものを使っている者は、みな私と同じだと思います」


 つまり


 アランだろうと、印字している魔法陣は一つ・・・

 

 そういうことか。

 

 それじゃあ、やはり


 「メリー、ありがとう! メリーのおかげで、テレポートの攻略の糸口が見えてきたぜ!」

   

 「お役に立てたのであれば、嬉しい限りです」


 メリーは笑顔でそう言った。    



 ―そして現在―

 

 「つまり、てめえが瞬時にテレポートを使えるのはあと1回ほどだ! あと1回、てめえにどうにかテレポートを使わせることが出来れば、てめえのテレポートは攻略したも同然!」


 俺はアランに指差し、そう言った。


 ありがとうメリー


 お前のおかげだ。


 「なるほど」とアランは続ける。


 「たいしたものだ、ユーリ君。 君が言っていることは間違ってはいない」


 「やはりな!」


 「だが―」とアランは続ける。


 「ある一点を除いて・・・だけどね」


 「何だと?」


 俺がそう言うと


 アランはボロボロになっていた右手の制服を


 ビリビリと破り、投げ捨てた。


 そして―


 「何・・・だと・・・」


 俺は驚愕した。


 なんとアランの右腕には


 皮膚を全て覆うかのように


 黒色の魔法陣が


 無数に印字されていた。

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