32話 クラス対抗戦⑪ 殺気
全ての三回戦が終了し、
いよいよ待ちに待った
ユーリたち1―Eとアラン率いる3-Aとの
準決勝戦が始まろうとしていた。
場内の右手には、アランを中心に3-A
左手にはユーリたち1―Eが教官を挟み、向かい合っていた。
*アラン*
ユーリ君
先程の試合は、とても見事なものだった。
あのエミリ君とカイ君の上級騎士コンビを相手に
君はたった一人で渡り合った。
模造刀であったため、ロミオ君の協力のもとで
勝利を収めたが
これがクラス対抗戦ではなく
真剣での命の取り合いであったならば
間違いなくユーリ君の一人勝ち、
完勝だっただろう。
それほどまでに君の力は
ここにいる誰よりも群を抜き
卓越している。
おそらく、
この僕よりも・・・
「それではこれより、準決勝戦第一試合、3-A対1―Eの試合を始める」
教官の声により、場内にいる者全員の背中にピリリと緊張が走る。
いつぶりだろう。
自分よりも強い相手と対峙するのは。
二年・・・いや・・・
一年半ぶりかな。
柄にもなく、全身の血が沸き立っているのを感じるよ。
思い返せば、僕の人生で初めて敗北というものを与えてくれたのは・・・
エリオット・・・
君だった。
教官の合図に合わせるように、僕たちは互いに構えた。
僕の視線の先には
模造刀を強く握り、構えているユーリ君の姿が見えた。
つい思いにふけてしまったが
僕たちが勝利するため
僕が最初にとるべき行動はすでに決まっている。
そして―
「それでは・・・はじめ!」
試合開始の合図とともに、ユーリ君が地面を蹴るのが見えた。
よし・・・
今だ!
僕は、ユーリ君がこちら向かってくるのを確認すると同時に
テレポートを使った。
シュン・・・
そして、転移先は―
タッ!
ここだ!
「ッ・・・!」
僕の目の前には、ハッと驚いている
ロミオ君の姿があった。
そう、僕はロミオ君の斜め前方にテレポートした。
「君の氷結魔法は何かとやっかいだからね。 開始早々申し訳ないが、君にはここで退場してもらうよ」
僕はいつも通り、ニッコリとそう口にした。
ユーリ君との戦闘の最中、君に構っていられるほどの余裕はおそらく僕にはないだろう。
だが、ユーリ君一人に気をとられていては
先程のエミリ君と同様に
君の氷結魔法で身動きを封じられかねない。
そうなってしまってはユーリ君の相手どころではないからね。
まず真っ先に君をここで戦闘不能にしておくことが
僕がとるべき最優先の行動だ。
サッ!
僕から間合いを取ろうとロミオ君がモーションに入るが―
遅い!
僕はロミオ君の左腕の腕章に向け手を伸ばした。
もらった!
だが、ロミオ君の腕章に僕の指先が触れる瞬間―
!!!
僕はハッとした。
まるで背中からザクリと
刃物で心臓を貫かれたような
今まで感じたことのない
強烈な殺気に当てられた。
僕は反射的に視線を移した先には―
「叩き込め! ユーリ!!!」
観客席から、そんな声が聞こえた。
ユーリ君は、手を伸ばせば届くところにまで間合いを詰めており
刀を頭上に上げ、構えていた。
まるで
僕を真っ二つに斬りさくように―
「雷轟一閃流 轟雷!!!」
ユーリ君は頭上から真下へと真っすぐに剣を振り下ろした。
それと同時に
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
と、耳を塞ぐような轟音と激しい雷が飛来した。




