25話 クラス対抗戦④ 二刀剣術
さすがにストー会長でも、あのレイラ教官の前ではああなっちまうよな・・・
いや、誰であってもああなるに違いない。
まあ、そんなこんなでその後―
教官数十人とストー会長の手によって、ほんの20分足らずで
場内の修復作業が終わった。
完全に元の状態になったというわけではないが
対抗戦に支障をきたさないくらいにまで、場内は修復されていた。
そして何より一番驚いたのは、その修復方法だった。
俺が見ていた限り、誰一人として手作業で行っている者はいなかった。
ストー会長を含め、みなが何かしら魔法を使い、修復作業を行っていた。
特にストー会長の
あの更地から瞬時に土壁を造りだしていた魔法には度肝を抜かれた。
ロミオから、土系統の魔法だということは聞いたのだが・・・
爆発させたり、風を吹かせたり・・・
そして壁まで造るなんて・・・
どんだけ、引き出しが多いんだよ。
何なら使えない魔法なんてないんじゃないか?
と、そう思ってしまうほどだった。
とまあ、そんな感じで修復作業は終わり―
二回戦が始まった。
俺たちは一回戦と同じような方法で、二回戦を無事に突破した。
それに続くように、エミリたち2-Aと、アラン率いる3―Aも難なく二回戦を突破した。
そして二回戦が全て終了したところで、お昼休みを挟み
そして現在―
とうとう、波乱の第三回戦が始まろうとしていた。
三回戦、第一試合目
1―E対2―A
とうとうこの時が来てしまった。
エミリとカイがいる・・・
2-Aとの勝負の時が!
俺たちは今、場内でエミリたちの向かいに立っており
審判である教官を待っている。
そして
サッ、と場内の中央に教官が現れた。
・・・あれ?
「レイラ教官じゃねえんだな」
俺は思ったことをそのまま口に出した。
すると隣のロミオが
「午前中ずっとレイラ教官だったからね。 教官もレイラ教官だけじゃないし、きっと交代したんだよ」
「そうか」
確かに、言われてみればそうだな・・・
今までずっとレイラ教官だったので
勝手に三回戦もレイラ教官だと思っていた。
まあ、あんまり気にするところではないのだが。
いやむしろ、レイラ教官でない方が、肩の力が抜けていいかしれない。
そうだ、そうに違いない!
などと考えていると
「それでは三回戦、第一試合目を開始する」
教官の声で、俺はハッと前を見た。
今は集中しねえとな。
なんせ相手はあのエミリとカイだ。
カイに限っては、戦っているところを一度も見たことがない。
一体どんな戦い方をしてくるのか・・・
楽しみだ!
俺は模造刀に手を添え、構えた。
そして―
「それでは・・・はじめ!」
教官の合図とともに、俺は瞬時に模造刀を抜いた。
そして―
「ロミオ!」
「うん!」
俺は模造刀をロミオへ向けた。
そしてロミオは、俺の模造刀にむけて氷結魔法をとなえる。
ピキキ!
凍えるような冷気が、俺の手にまで伝わってくる。
よし、作戦通り!
あと少しこのまま―
と、そう考えていたところで―
ダンッ!
と、瞬時に俺の目の前にカイが現れた。
そしてカイは俺に向け、上から下へと真っすぐに模造刀を振り下ろした。
くっ、仕方ねえ!
俺は模造刀を構え、カイの剣撃を受けた。
ガキンッ!!!
ギシシシシシ!
俺はカイの剣を受けながら
「ロミオ、プランBだ!」
そう口にした。
「わ、わかった!」
ロミオはそう答え、俺たちから距離を取る。
そして―
ガキンッ!!!
俺はカイの剣を強くはじき、カイは後ろに下がった。
「なかなか素早いな」
俺はカイに向けてそう言うと
「嘘が下手だな。 そんなこと思ってもいないだろうに」
と、カイからそんな返答が返ってきた。
「嘘じゃねえよ。 実際のところもう少しだけ強化できると思っていたからな」
俺がそう言うと、
カイは俺の模造刀に視線を移し、「なるほど」と続ける。
「刀身を凍らせて、模造刀の強度を上げていたというわけか」
「まあ、そういうことだ」
カイは、クールな表情を崩さずに、フッと少し笑い
「やはり読み通り・・・この勝負、俺たちに分があるようだ」
と、そう口にした。
読み通りだと?
「分があるとは、一体どういうことだ?」
俺がそう問いかけると、カイは表情を戻した。
「リギルとのあの決闘を振り返り、俺はあることに気づいた。 そしてそこから、俺たちはお前に勝つ方法を導き出した」
「勝つ方法だと・・・」
「お前はあの決闘で、古流剣術を使い、リギルをたった一振りで倒してみせた。 だが同時に、お前が手にしていた模造刀がボロボロと崩れ落ちたのを、俺は見逃さなかった。 それらをもとに、考え出されることは二つだ」
カイは剣先をこちらに向けて「それは」と続ける。
「お前が使う古流剣術に、模造刀では到底耐えられないということ。 そして、技は出せて一度きりという、この二つだ」
なるほど、最初から気づかれていたのか。
俺が懸念していたことに・・・
カイは腰に携えている鞘を手に取りながら続ける。
「つまりお前に勝つために、俺たちがとるべき行動は・・・無理やりにでもお前に技を出させ、武器を無力化すること・・・ただ―」
模造刀と鞘を交差させるようにカイが構え
そして―
「それだけだ!」
そう言って
ダンッ!
と、カイがものすごい速さで、俺の間合いに飛び込んできた。
そして―
ガンッ! ガキンッ! ガンッ! ガチンッ!
素早く強烈な猛攻を繰り出してきた。
そして驚くことに
カイは、模造刀だけではなく
もう片方の手に持っている鞘も使い
同時に俺に剣撃を繰り出してきた。
俺は打ち合いのさなか、脳裏によぎったことを口に出した。
「これは・・・二刀剣術か」
するとカイが
「ご名答だ」
と、そう答えた。
やはりそうか。
二刀剣術・・・
両手に剣を持つことで、あらゆる方向
そして防御の隙を与えない圧倒的な手数で
一気に攻め込み、相手を追い詰めていく剣術だ。
攻撃に重きを置いている為、防御が手薄になってしまうことから
諸刃の剣術とも言われている。
と、知識としては知ってはいるが
実際に使っている者を見たのは初めてだった。
もちろん戦ったことも―
ガキンッ!
俺はカイの模造刀をはじき、後方へ距離をとった。
「速いな・・・それに太刀筋が読めない」
一刀とは動きが違いすぎて、次の動作が読めない。
それに、片方の剣を受けていると、間髪いれずにもう片方の剣が
俺に向かって斬りかかってくるので
受けきれず、かわしながらの攻防になってしまう。
二刀剣術。
思った以上にやっかいだぞこれは。
俺はスゥーッと一呼吸おき、模造刀を強く握った。
「まだまだ、二刀剣術の神髄は・・・ここからだ」
そう言ってカイは、右足を大きく後方に下げ、体勢を低く落とし構える。
そして―
「双斬流 ―隼の舞―」
ダダンッ!!!
カイは低い姿勢のまま、物凄い速さでこちらに飛び込んできた。




