表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第2章 高位6魔人<ネグルス>編
68/101

12話 弁当の差出人


 ―数分後―


 ロミオとメリーの声が聞こえ、俺は意識を取り戻した。


 ロミオから話を聞き、俺とマクルド、そしてロミオの三人がクラス対抗戦の代表であることを知った。


 それにしても・・・


 今回ばかりはマジで死ぬかと思った。


 危うく三途の川を渡るところだったぜ。


 マジで怖えよ・・・あの教官・・・


 俺は、命あることに感謝しながら、午前の講義を受けた。



 ―PM12:00―


 4限目の講義を終え、昼休みになった。


 隣の席、メリーの周りには、休み時間ごとにクラスの連中が群がり、メリーを取り囲んでいた。


 この機会に王女様とお近づきになりたいのか知らないが


 メリーも災難だな。


 笑顔で対応しているが、休み時間ごとにあれだけ人が押し寄せてくれば


 誰だって息が詰まる。


 そして現在


 昼休みになった今も、俺の隣では連中がそろいもそろって、メリーを囲んでいた。


 「メ、メリーナ王女! よ、よろしければ、僕と一緒に、お昼どうですか!」


 「てめえ、抜け駆けすんじゃねえ! メリーナ王女、ここの食堂は丼ものが美味しくてですね―」


 「てめえこそ抜け駆けしやがって! 王女様は丼ものなんて口にはしねえんだよ」


 「なんだとこの野郎!」


 「あの、どうか皆さま仲良く・・・」


 衝突している男子生徒に、メリーはなだめるように声をかけているが


 興奮した生徒たちにメリーの言葉は届かない。


 そして、お昼を一緒に食べたいのは男子生徒だけではないようで―


 「王女様、私が作ったお弁当・・・よろしければ一緒に食べませんか? 今日はたまたま、多く作りすぎてしまって」


 「それは美味しそうですね」


 「ああズルい! 私のお弁当もどうかご一緒に」


 ・・・。


 王女ってのは、俺が思っているよりもはるかに大変なんだな。


 俺はこの時、平民として生まれて良かったと、心からそう思った。


 俺は隣のロミオに話しかけた。


 「ロミオ、俺たちも飯にしようぜ」


 「うん。 そう言えば今朝、エミリさんがお昼一緒に食べようって言ってたよ」


 「そうか。 待ち合わせている場所でもあるか?」


 「えっと、確か中庭って」


 ロミオがそこまで言った所で―


 「ユーリとロミオはいるか?」


 教室の入り口から、エミリの声が聞こえた。


 俺とロミオが視線を移すと、エミリが入口にいる生徒に話しかけている姿が目に映った。


 そして次の瞬間、エミリは俺たちに気づき、安心したような表情を見せた。


 そして俺とロミオは席を立ち、エミリのそばへ近づいた。


 「エミリさん」


 「わざわざ1年の教室まで来てくれたのか」


 俺とロミオがそう言うと―


 「まあな。 ロミオには伝えていたが、万が一にと思ってな」


 エミリはいつもの凛とした態度でそう言った。


 「そうか、それじゃあ行くか」


 俺がそう言うと―


 「ユーリ様・・・」


 後方から聞こえてきたメリーの声で、俺は振り返る。


 するとメリーは席を立ち、周囲の生徒をかわして、俺の前まで歩み寄ってきた。


 「メリー、どうしたんだ?」


 「あの・・・よろしければ私も・・・」


 メリーは意を決したように続ける。


 「ユーリ様とお昼をご一緒させてもらっても・・・よろしいでしょうか?」


 後半、メリーは少し顔を赤くさせながらそう言った。


 遠慮しているのだろうか?


 まあ、ロミオとエミリとは初対面だろうから、むりはないのかもしれないが。


 「ああ、俺はいいよ」


 そう言って、俺は視線でロミオとエミリに確認を取る。


 「ああ、私も構わない」


 「僕も大丈夫だよ」


 よし、二人の了承も得た。


 「一緒に食べようぜ、メリー」


 俺がそう言うと、メリーの表情がパアーッと明るくなった。


 「・・・はい・・・」


 メリーは満面の笑みでそう言った。


 メリーは律儀に、お誘いを受けていた生徒に断りを入れ、大きな弁当箱を手に取り、俺たちと一緒に中庭に向かった。



 ―中庭―


 俺たちはメリーが持参した敷物を芝生の上に敷き、その上で円を作るように座った。


 ちなみに今日の俺の昼飯はエミリが作った握り飯(仮)と、売店で買ったあんパンだ。


 前回、弁当を持参するという話だったが、今朝エミリが魔改造した握り飯の量が半端ではなかったので、今日は弁当は作らず、この握り飯(仮)で乗り切ることにした。


 そしてロミオは、いつもと同じく菓子パン一つとミルクのみで、エミリはサンドイッチだった。


 そして、気になるメリーの昼食は―


 「皆様、どうぞ召し上がってください。 もともと一人で食べきれる量ではありませんので」


 そう言ってメリーは、可愛らしいピンク色の風呂敷を外し、弁当箱を開けた。


 そして中身を見た俺たちは、みなが「おおお」という声が漏らしていた。


 弁当箱は三段式で、その全ての箱の端から端まで、様々な具材が敷き詰められている。


 俺の好物のハンバーグ、そして唐揚げ


 卵焼きからサラダ、カットしたフルーツまで。


 「う、美味そうだ」


 俺は思わず心の声が漏れる。


 「す、すごい・・・メリーナ王女、これは全てお一人で作ったんですか?」


 ロミオは驚きながら、メリーにそう尋ねた。


 「王女なんて、そんなよそよそしいですよ。 それに同い年ですので、敬語も必要ありません。 私のことはどうかメリーナと呼んで下さい」


 「わ、わかった・・・メリーナ」


 ロミオは慣れない様子でそう言った。


 「はい、ロミオさん」


 メリーは笑顔でこたえる。


 「それでメリー、これは全部お前一人で作ったのか?」


 「はい! ユーリ様に食べていただきたくて私・・・張り切っちゃいました」


 メリーは頬に手を当て、首を傾げながらそう言った。


 「そうか」


 「はい」


 「てかメリー、朝から思っていたものの、あえてツッコミはしなかったんだが・・・そのユーリ様ってのは一体何なんだ? 俺もメリーと同い年だぜ? 呼び捨てで呼んでくれて構わないんだが」


 「いえ、それは出来ません」


 即答された。


 「どうしてだよ!」


 俺は思わずツッコミを入れる。


 「申し訳ありません。 いくらユーリ様の頼みとあってもこればかりは駄目なんです」


 「そ、それじゃあせめて・・・以前のように君づけに―」


 「それも駄目です」


 また即答!?


 ・・・。


 「それじゃあ詳しく、俺が納得する理由を聞かせてくれ」


 俺がメリーにそう言うと


 メリーは胸に手を置き、どこか覚悟を決めたような表情で口を開いた。


 「私の勝手な決めごとです。 今の私はユーリ様と肩を並べられるほどの人間ではありません。 なので、私が堂々と胸を張り、ユーリ様の隣で肩を並べられる人間になるまでは、以前の呼び方は使わないと、そう心に決めているんです。 なのでこればかりは、いくらユーリ様の頼みであろうと聞き入れることはできません」


 メリーの目は真剣で、そこには強い信念のようなものを感じた。


 まあ、名前の呼び方一つではあるのだが


 メリーがそこまで考えてのことであるのなら


 俺も軽々と口を挟むわけにはいかない。


 「わかった、それじゃあ好きに呼んでくれ」


 「はい、わがまま言って申し訳ありません」


 メリーはそう言って頭を下げた。


 「その代わり、俺は今まで通り、メリーと呼ばせてもらうからな。 仮にお前がやめてくれって俺に頼み込んでも・・・こればかりは譲らねえぞ」


 俺がそう言うと


 顔を上げたメリーの表情は、次第に笑顔に変わり


 「はい・・・もちろんです」


 頬を赤くしながらそう言った。

 

 「よし、それじゃあ弁当頂くぜ」

 

 「はい。 口にあうかどうかわかりませんが、遠慮せず食べてください」


 俺は好物であるハンバーグに手を伸ばし、口に放り込んだ。


 「う・・・」


 俺は衝撃を受け、思わず俯く。


 「ユーリ!?」


 「ユーリ、大丈夫か?」


 「ユーリ様・・・お口にあいませんでしたか?」


 周りから俺を気遣う声が聞こえる。


 だがそうじゃない


 これは―


 「美味い!!!」


 俺は大声を上げた。


 俺の言葉を聞き、メリーはホッとした表情を見せた。


 「お口にあって、良かったです」

 

 「口にあうなんてレベルじゃねえぞ! 美味すぎる!」


 こんなに美味いのに、そんなことを言っているなんて


 メリーはどれだけ謙虚なんだよ。


 俺は本能に従い、卵焼き、唐揚げと、次々と手を伸ばし、口に放り込んでいく。


 美味い・・・どれも美味すぎる!


 まるで高級料理を食べているようだ。


 と言っても、高級料理なんて食べたことはないが。


 それでもこれは・・・


 今まで食べたどの料理よりも美味いのではないのだろうか?


 それにこの味・・・


 どこか心当たりがあるような・・・


 俺は再び、具材を一口放り込む。


 ・・・。


 間違いない。


 俺はこの味を知っている!


 でも・・・どこで食べたんだ?


 俺は必死に記憶を探る。


 うーん。


 どこだろう・・・


 思い出せない。


 俺はふと、視界に入ったメリーの弁当をじっと見つめた。


 丁寧に敷き詰められた具材・・・


 ハート型にカットされたフルーツ・・・


 可愛らしい・・・ピンク色の・・・風呂敷・・・


 ・・・風呂敷?


 「!!!」


 この瞬間


 俺はある記憶を思い出した。


 この弁当・・・まさか!


 俺は疑問をとくため、メリーへ直接問いかけた。


 「もしかして・・・机と・・・バックの中に入っていた・・・あの弁当は・・・」


 俺がそこまで言うと、メリーはニッコリと笑顔を見せ―


 「はい。 ユーリ様のお口にあうかどうか不安でしたが、今の反応を見て安心しました。 一生懸命作って良かったです」


 や、やっぱり!


 あの差出人不明の弁当は、メリーが作ったものだったのか。


 それなら、この弁当が美味いのにも頷ける。


 あの時食べた弁当は本当に美味かった。


 それに、助けられた。


 だが・・・


 あの弁当を作ったのはメリーだったとしても


 俺の中に、様々な疑問が残る。


 俺は続けて、メリーに問いかけた。


 「メリー、以前俺の机に弁当を入れたのは、お前が入学する前のはずだ・・・一体どうやって学校に・・・いやそれよりも俺のバックにどうやって・・・そもそもどうして解除魔法を施して―」


 俺がメリーに問いかけていると―


 「ユ、ユーリ様・・・そ、その・・・近いです」


 メリーは顔を赤くし、恥じらうように顔を逸らしていた。


 俺は無意識のうちにメリーの両肩を掴み、顔を近づけていたようだった。


 「わ、悪い!」

 

 俺は即座に手を離し、一歩後ろへ下がる。


 「い、いえ少し驚いただけです。 私はその・・・ユーリ様が望むのであれば・・・いつでも・・・」


 そう言ってメリーは、両手で俺の手をとった。


 「メ、メリー!?」


 俺は突然のことで動揺していると―


 「おい貴様、ユーリの手を離せ!」


 エミリが慌てながら、メリーにそう言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ