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碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第2章 高位6魔人<ネグルス>編
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11話 歴代一の成績


 今から四年ほど前・・・


 シルバーから剣術を教わり、旅をしていた頃


 寝つくことができず、夜一人で散歩をしていた時


 近くで少女の悲鳴が聞こえ、俺は走った。


 俺が駆け付けた時、少女は魔物に囲まれ、今にも襲われそうになっていたところで、


 俺は修行中の剣で、何とか魔物を倒し、その少女を助けることが出来た。


 そこで出会った少女が、いま俺の目の前に立っている


 メリーだった。


 あの時は本人から「メリー」という名と、貴族ということしか聞いていなかったので、


 メリーナという名を聞いても、全く気づきもしなかった。


 「メリー、久しぶりだな。 まさか、バラドールの王女様だったとは」


 「黙っていて申し訳ありません。 あの時はどうしても・・・言えませんでした」


 「いや別にいいんだけどな。 それにしても・・・髪、伸ばしたんだな。 随分女の子らしくなった」


 俺がそう言うと、メリーはフフフと静かに笑い―


 「ユーリ様に頂いた、この髪留めにふさわしい女性になれるように・・・今まで頑張ってきました」


 メリーはそう言って笑顔を見せた。


 この笑顔で俺は確信した。


 四年前のメリーは、貴族の習わしに疲弊し、出先の祝賀パーティーを勝手に抜け、結果俺と出会った。


 親への対抗心から、長い髪を切り、ドレスも泥まみれだった。


 いま目の前に立っているメリーは、あの頃とは姿形も、立ち振る舞いも、まるで別人のように変わっている。


 だがこの笑顔だけは変わらない。


 間違いない。


 目の前に立っている女の子は


 俺の知っているメリーだ。


 「ユーリ凄いね、王女様と知り合いだったなんて」


 隣のロミオが不思議そうな顔でそう尋ねた。


 「昔会ったことがあってな。 まあバラドールの王女ってことは、俺も今知ったことなんだが」


 俺がロミオと話している最中、メリーは隣の席の生徒に話しかけた。


 「あの、もしよろしければ・・・ここの席をお譲りいただけませんか?」


 「え、えっと・・・」


 男子生徒はどうしてよいか分からず困ったような表情をしている。


 「駄目・・・でしょうか・・・」


 困っている男子生徒に、メリーが続けてそう言うと


 その生徒は即座に立ち上がり―


 「よ、よろこんで!!!」


 と、声を上げた。


 「ありがとうございます」


 メリーはニッコリと笑顔を見せると―


 「は、ハイィイイイイイイッ!」


 っと、鼻から大量の血を噴きながら、その生徒は後ろの席に走った。


 そして、隣の空いた席にメリーは腰をかけて座ると、こちらに向き―


 「ユーリ様・・・隣の席ですね」


 「ああ、そうだな」


 「これから毎日、ユーリ様の近くにいられるなんて・・・私・・・」


 メリーは続けて、静かに言葉を漏らす。


 「・・・とても幸せです・・・」


 「な・・・」


 メリーの直球すぎる想いに当てられ、思わず言葉が詰まる。


 すると―


 「おいあいつ、一体王女とどういう関係なんだよ」


 「救ってもらったと言っていたが本当か?」


 「そう見せかけて王女をたぶらかしたんじゃねえのか?」


 「チッ・・・」


 といった具合で、周りから様々な声が聞こえてきた。


 なんだかいろいろ言われているが


 俺は決して、たぶらかしてなどいない。


 誓って!


 すると―


 「黙れ」


 レイラ教官の覇気の籠もったその一言で、クラスは一斉に静まり返る。


 こ、こえぇ・・・


 一声でこの威圧感。


 俺の全身の細胞が叫んでいる。


 この人を敵に回してはいけないと!


 「本題に入る。 クラス対抗戦についての説明、そして代表の発表だ」


 レイラ教官がそう言うと、クラスの雰囲気がピリッと引き締まる。


 「知っている者もいるとは思うが、クラス対抗戦というのは全学年、全クラス参加型の校内イベントだ。 各クラスから代表を3人選定し、他学年、他クラスと3対3で戦うチーム戦だ。 そしてその内容についてだが・・・」


 レイラ教官はポケットから何かを取りだし、俺たちに見せる。


 「代表の3人はそれぞれ左手にこの赤の腕章をつけてもらう。 そして試合の前に3人の中で1人、他のクラスに悟られないよう、各試合ごとにリーダーを決めてもらう。 そしてリーダーになったものは、この赤の腕章の下に・・・」


 レイラ教官はもう片方のポケットから何かを取り出し―


 「さらにこの青の腕章をつけてもらう。 そしてリーダーがつけているこの青の腕章が、勝負の鍵だ。 この腕章はチームの心臓・・・この青の腕章が破壊された時点で、そのチームは敗北となる。 理解できたか?」


 ・・・なるほど。


 逆に言えば、リーダーの腕章さえ破壊すれば、全員を倒さずともこちらの勝ちということになるのか。


 「あの、質問よろしいでしょうか?」


 ある生徒が手を上げた。


 「ああ、言ってみろ」


 「リーダーの腕章が破壊された時点で、勝敗が決まるというのであれば・・・残り二人がつけている腕章は必要なものなのでしょうか?」


 レイラ教官は頭をかきながら答える。


 「私の説明不足だったな。 リーダーの他に、各自がつけている腕章だが・・・それはいわば、その試合に出場する権利そのものだ。 つまりそれが破壊された時点で、そいつは即退場しなければいけない。 それぞれがつけている腕章は、いわば個人の心臓と考えろ。 破壊されれば退場、だがリーダーが残っている以上、チームは自分が欠けた残りの者だけで試合を続けなくてはならない。 そうなれば、人数では圧倒的に不利になる。 つまり攻め方には二通り存在するということだ。 全員でリーダーを集中的にたたく。 もしくは周りから切り崩す。 この二つ。 だがこれは貴様らだけでなく、みなが同じように考えている。 そうやすやすとは、貴様らの作戦通りにことが進むことはないだろう。 だがそれは実戦でも同じことだ。 実戦では待ったはなく、正真正銘、命の取り合い。 生きる為、勝つためには、周りの状況を瞬時に判断し、各人がうまく立ち回らなければいけない。 これはイベンドだが、お遊びではない。 貴様らも肝に銘じておけ」


 「は、はい」


 「まだ質問があるか?」


 「い、いえ、ありません。 あ、ありがとうございました」


 「他に質問があるものは?」


 ・・・。

 

 教室は今までにないほど静かだった。


 「ないのであれば、代表を発表する。 これは入学試験の成績を参考に、私が選んだ代表だ。 意義を唱える者がいれば・・・わかっているな?」


 わ、わからねえよ。


 何されるっていうんだよ。


 怖えよ・・・


 「では代表を発表する。 一人目・・・」


 クラスの連中の息をのむ音が聞こえる。


 そして―


 「マクルド・ザクラス」


 レイラ教官がそう言うと―


 「やっぱりマクルドが選ばれやがった」


 「学年一位の成績で入学したんだもん、間違いないわよ」


 周りの連中が小声で声を漏らした。


 すると―


 「貴様ら、私に同じことを2度も言わせる気か?」


 レイラ教官の声で、小声で話していたものはピタッと黙る。


 「次に喋った奴は・・・殺す」


 コ、コロス?


 教官が生徒にそんなこと言っていいのかよ・・・


 い、いや、この人にはそんなもん通用しねえな。


 コ、コワーイ。


 「それでは二人目・・・」


 レイラ教官は俺に視線を移し、続けた。


 「ユーリ・アレクシス」


 それを聞いて、俺は思わず口を開いてしまった。


 「ちょっと待ってくれ、なんで俺―」


 そう言った瞬間


 なぜか俺はレイラ教官に締め上げられていた。


 いや正確には、頭部を握られ空中へ持ち上げられていた。


 もう知っているとは思うが


 アイアンクローと言うやつだ。


 「貴様よほど死にたいらしいな? 私が数秒前に言ったことすら聞けないというのか、あ゛あ゛ん?」


 俺は心の底から謝罪をした。


 「す、すみません・・・反射的に・・・つい」


 「誰が口を開いていいと言った? 貴様の言い訳など聞いてはいない」


 「す、すみません・・・」


 ヤ、ヤバイって・・・


 頭メキメキいってる。


 マジで・・・死ぬ・・・。


 なんと強靭な握力だ。


 俺は両手で振りほどこうともがいているが


 全然びくともしない。


 だ、だめだこれは・・・


 頭がボーッとしてきた。


 あれ?


 こんなところにこんなにもキレイな川なんかあったっけ?


 それに、向こう側で誰かが俺を呼んで


 手を振っている。


 ・・・誰だ?


 なんだか心地がいい声だ。


 呼ばれている以上、無視はできない。


 渡ってでも、行くしかないな。


 人として、それが礼儀だ。


 おーい、いま行くぞ!


 俺は大声でそう言って、目の前のキレイな川に片足をつけたところで―


 グワーン


 と、目の前が真っ暗になった。



 *ロミオ*


 あわわわわわわわわわ。


 ユ、ユーリが・・・


 真っ青な顔で泡を吹いて、床に倒れているよ。


 こ、こんなユーリは初めて見た。


 ユーリ・・・本当に死んでないよね?


 クラスのみんなは蒼白で、冷や汗をかきながら、レイラ教官と倒れているユーリを見つめていた。


 レイラ教官は両手をパンパンとはたきながら教壇へ戻り、そして


 「尊い犠牲だった」


 ユ、ユーリ!?


 「これと同じになりたくなければ、私に同じことを2度言わせるな」


 クラスのみんなは必死に頭をブンブンと上下に揺らしていた。


 「よし・・・それでは3人目だが」


 レイラ教官は数秒の間を開け、僕の方へ視線を移した。


 そして―


 「ロミオ・ラングヴェイ」


 え、ええええええええええええ


 ぼ、僕?


 ど、どど・・・どうして・・・


 選ばれた理由が全く思いつかない。


 僕は静かに手を挙げた。


 「どうした? 話していいぞ」


 レイラ教官の言葉で僕は起立し、口を開いた。


 「あ、あのどうして僕が・・・選ばれるんでしょうか? 僕なんかよりも、他にふさわしい人がいるのでは・・・」


 僕がそう問いかけると、レイラ教官は腕を組み話す。


 「簡単なことだ。 ロミオ、貴様が入学試験の魔法実技、このクラスの中で断トツトップの成績だったからだ」


 「ぼ、僕が・・・トップ?」


 そ、そうだったんだ。


 ここの入学試験の詳しい結果は、本人ではなく、親元へ送られる。


 なので僕は、入学試験の結果をいまだ知らずにいた。


 「ああそうだ。 貴様だけではない、今私が発表した者は、みながそれぞれ選ばれた理由がある。 マクルドは剣、魔法、筆記、その全ての総合成績で学年トップ。 そして、そこに倒れているバカは、魔法が使用できなかったため、魔法実技は受ける前から0点だったが・・・剣の実技に関しては、我々教官がみな驚愕する成績を収めている」


 教官が驚くほどの成績を・・・ユーリが・・・


 レイラ教官は一呼吸おき、続ける。


 「この学校が出来て以来・・・その中で最優秀の成績だ」


 レイラ教官の言葉で、僕を含め、クラスの全員がみな、身の毛がよだつような感覚を覚えた。


 それほど、強烈だった。


 「つまりこいつは、現火ノ隊―隊長である、レオ・マルグスがこの学校で受けた剣の実技試験を上回る成績を叩きだし、この学校に入学した」


 や、やっぱりユーリはすごい!


 ユーリは、僕らなんかとは比べ物にならないくらい、とてつもない実力の持ち主なんだ。


 レイラ教官は続ける。


 「つまり皆が正当に、代表として選ばれる確かな理由があるということだ。 どうだ、理解できたか?」


 「は、はい」


 僕はそう言って、着席する。


 クラスの生徒たちも言葉は発していないものの、異論を唱えようと動くものはいなかった。


 「それではHRを終了する。 ラングヴェイ、1限の講義が始まる前にそこのバカを起こしておけ」


 「は、はい!」


 そう言って、レイラ教官は教室を後にした。

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