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碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第2章 高位6魔人<ネグルス>編
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3話 ロミオの過去 


 俺とエミリは脱衣所を出て、リビングの椅子に座りロミオを待った。


 そして数分後―


 「お待たせ・・・」


 身なりを整えたロミオがリビングにやってきた。


 「おう・・・?」


 あ、あれ?


 その服・・・


 ロミオなぜか、寝間着ではなく学校の制服を着て、俺たちの前に現れた。


 「ロミオ、学校の制服なんて着て、一体どうしたんだ?」


 俺は疑問をそのままロミオに投げかけた。


 ロミオは胸に手を置き、口を開く。


 「うん・・・ちゃんとした格好で、二人と話をしたかったから・・・」


 なるほど。


 「そうか」


 ロミオは「うん」と頷き、椅子に座る。


 「えっとね・・・僕の話・・・ラングヴェイ家の話を聞いてほしいんだ・・・その・・・少し長くなるかもだけど」


 ロミオは少し俯きながらそう言った。


 「長くなってもいいよ。 ロミオのペースで話してくれ。 俺たちはちゃんと、ロミオの話を聞いてるから」


 「そうだ、私たちは同じパーティーメンバーの仲間だ。 安心して、ゆっくりと話してくれ」


 俺とエミリがそう言うと、ロミオは顔を上げ


 「ありがとう」


 と、少し笑顔を見せてそう言った。


 そして、数秒の間を置き


 ロミオは話始めた。


 「ユーリもエミリさんも・・・僕が正式なラングヴェイ家の後継ぎじゃないことは・・・知っているよね? ラングヴェイ家が穢れた一族だって言われている理由も・・・」


 マクルドが言っていた話か。


 ラングヴェイ家の当主であるロミオの親父さんが、使用人と不貞を働き


 そして生まれたのが・・・ロミオだっていう、あの話。


 そして続けて、ロミオをラングヴェイ家の後継ぎにしたことで


 他の貴族から、ラングヴェイ家は穢れた一族と言われるようになったと


 確かそういった話だった。


 「亡くなったお母さんから聞いた話なんだけど。 もともと、お父さんと、使用人だった僕のお母さんは・・・お父さんが結婚する前から、既にお互いを想いあっている・・・いわゆる恋仲だったんだ。 だけど・・・貴族の中ではいろいろとあって・・・結婚相手を自分で選ぶことが許されなかった。 そして、お父さんとお母さんはお互いを想いあっているにも関わらず・・・お父さんは名家の貴族の人と結婚させられ、後継ぎをのこした。 そうして生まれたのが僕の義理の兄・・・エリオット・ラングヴェイ。 僕の大切な・・・たった一人の兄さん」


 ・・・兄?


 そういえば、マクルドが挑発するように何か言っていたな。


 もう亡くなってしまっているということだったが。


 ロミオは続ける。


 「それでも僕のお母さんは・・・お父さんの傍にいることを選んだ。 お母さんは、お父さんが別の人と結婚してしまっても、今までと変わらず、お父さんの屋敷で使用人として働いた。 だけど・・・ラングヴェイ家に嫁いできた名家の貴族・・・その妻はかなり性格のきつく横暴な人柄で・・・使用人に対し、まるで道具扱いするような人だった。 そして、お父さんに対してもその態度は使用人とそう大差がなく、性格の優しいお父さんは・・・そんな妻の対応に、どんどん疲弊していった。 だけど、そんな疲れきったお父さんを、陰ながら支えていたのが・・・使用人である僕のお母さんだった。 そして、お父さんは、そんな献身的なお母さんに、再び想いを募らせ・・・二人は一線を超えてしまった」


 ロミオは一呼吸おいて続ける。


 「妻にお父さんとお母さんの関係を知られるのに、そう時間はかからなかった。 そして数日後に、お母さんは屋敷を追い出された。 そして、お父さんの不貞は瞬く間に両家に伝わり、お父さんは事実上、ラングヴェイ家での力を失った。 そのこともあり、お父さんは、お母さんを屋敷から追い出すことを取りやめられなかった。 そしてこの時、既にお母さんのお腹の中に・・・僕がいるということは、お父さんもお母さんも知らなかった」


 「そして数年の月日が流れ・・・僕の記憶にあるころには、僕はお母さんと二人で小さな家で暮らしていた。 僕は、誰かから教わったわけではないんだけど、なぜか不思議と、この ―氷結魔法― を幼い頃から使うことが出来た。 そして幼かった僕は、この魔法を使って、バラの花やヒマワリなど、お母さんが大好きだった花を作って、それをお母さんに見せることが何よりの楽しみだった。 僕が魔法を使っている姿を見て、お母さんは笑顔で、いつも僕を褒めてくれた。 お母さんはおおらかで・・・あったかくて・・・どんな時でも僕の話を聞いてくれる・・・そんな優しいお母さんだった」


 ロミオは少し笑顔を見せ、幸せそうに母親の話をしていた。


 「とてもいい母さんだったんだな」


 俺がそう言うと


 「うん」


 と、ロミオも笑顔でそう言った。


 ・・・だが再び、ロミオの表情が暗く落ちた。


 「お母さんは、僕を食わすために、休む間もなく働いていた。 ・・・そして、急にあるとき・・・お母さんは倒れた。 ・・・きっと、休む間もなく働いていたせいで、体に無理がたたったんだろう・・・その時の僕はそう思っていた。 そして僕は、お母さんが倒れたその日から、家事や料理、裁縫を覚えた。 お母さんの負担を少しでも減らして、わずかでもお母さんが休まる時間を作ってあげたかった。 その為なら、僕は何だって覚えることができたし、苦にも感じなかった。 だけど・・・お母さんが倒れたその日・・・医者から、お母さんだけに、ある申告をしていた」


 「ある・・・申告?」


 「うん・・・それは、お母さんは、治療困難な重い病気を患っていて、余命もあとわずかだということ。 ・・・だけどお母さんは、もちろん僕にそんな話を聞かすわけもなく・・・結局僕は、お母さんが亡くなる数日前まで・・・その事実を知らなかった。 そしてお母さんは、僕が7つの時・・・この世を去った」


 そう言うと、ロミオの瞳から一筋の涙がこぼれた。


 「ロミオ・・・」


 ロミオの気持ちを考えると、胸が痛い。


 俺も家族を失っている。


 家族を失ったとき、俺は己の無力さに打ちひしがれると同時に


 深い悲しみに陥った。


 絶望した。


 シルバーがいなければ、俺は自ら命を絶っていたかもしれない。


 それくらい、その時の俺は、悲しみに暮れ、この世界に絶望していた。


 家族を失う心の痛みというのは・・・


 剣で胸を貫かれるよりも


 何倍も何十倍も


 つらく、苦しいものだ。


 ロミオは袖で涙を拭い、口を開く。


 「お母さんが亡くなる直前・・・僕はお母さんが大好きだったお花をたくさん摘んで、お母さんに見せた。 季節の関係で咲いていなかった、お母さんが特に大好きだった、ヒマワリの花は、僕が氷で作ってみせた。 そのヒマワリを見たお母さんは・・・涙を流しながら、満面の笑みを向けて僕の頭を撫でてくれた。 そして、「愛している」「一人にしてごめんね」とそう言葉を残して・・・お母さんはこの世を去っていった」


 「そんな・・・」


 エミリはそう声をもらした。


 そしてエミリに視線を向けると


 エミリの瞳からも、涙がこぼれていた。


 エミリも・・・母親を亡くしているんだったな。


 エミリもきっと同じように、母親を亡くした悲しみを・・・なんとか踏ん張って乗り越えてきたんだろう。


 言葉で言い表せないほど・・・つらく苦しいものだったのだろうが・・・


 ロミオが続ける。


 「それから僕は、丸二日、ご飯も食べずに泣き続けた。 たった一人の家族・・・お母さんを失った悲しみは、僕の心にポッカリと穴をあけるくらいに、とても大きいものだった。 そしてお母さんが亡くなってから、三日が経ったある時・・・急に、僕の家にある男の子がやってきた。 僕はその男の子と面識はなく、初めて会った子だったが・・・その男の子は僕を見た瞬間、キリッとした表情から一変し、優しい笑顔を向けた。 そして―


 「迎えにきた。 僕は君の兄だ!」


 そう言った。 ・・・そう、この人が僕のたった一人の兄さん・・・エリオット・ラングヴェイその人だった」


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