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碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第1章 騎士・魔法師育成学校入学編
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47話 魔人戦⑧ リファレンの過去

 *エミリ*


 「生前・・・私もエミリと同じ貴族の生まれだった。 私は長女だが、兄弟の中では真ん中で、4つ上の兄と、3つ下の妹がいた。 エミリも知っている通り、貴族の世界は男でなくては家も財産も引き継ぐことは出来ない。 私には兄がいるから、順当にいけば兄が家と財産を引き継ぐ予定だったが・・・兄は母に似て、生まれつき体が弱かった。 父は、一日一日を精一杯生きている兄に・・・無理やりに家と財産を引き継がせる気はなかった。 そして兄は、私が9つの時にこの世を去った。 そして母も、兄を追うように翌年に亡くなった。 残されたのは、父と私と妹の3人だけになった」


 リファレンは一呼吸おいて、続ける。


 「私は正直・・・家も財産もどうでもよかった。 残された私たち家族・・・父と妹さえいてくれれば、あとは何も要らない。 私の唯一の願いは家族みんな無事でいてくれること・・・ただそれだけだった。 ・・・だが、そんな私の願いは届かず・・・私が14の時に・・・父は出先で魔物に襲われ・・・命を落とした」


 リファレンは暗い表情でそう言った。


 「・・・」


 ・・・私はリファレンにかける言葉が思い浮かばなかった。


 私も幼い頃に母を亡くしている。


 母が亡くなったとき私は、悲しみに暮れて何日も何日も泣いた。


 目の前は真っ暗になり、しばらく何も考えることが出来なかった。


 そんなとき、私は父と妹の存在に救われた。


 父と妹を想うと・・・おのずと生きる力が湧き、私は母が亡くなった痛みを、なんとか乗り越えることが出来た。


 家族を失う痛みというのは、生きる希望を見いだせなくなるほど・・・つらく、苦しいものだ。


 だから・・・リファレンの心の痛み・・・悲しみを想像すると・・・とてもつらい。


 しかもリファレンは、それを3度も味わっている。


 どんなに・・・つらかっただろうか・・・


 私は自然と涙を流してしまった。


 「すまないエミリ・・・お前にそんな顔をさせる為に、私はここに来たわけじゃないんだがな・・・」


 リファレンは申し訳なさそうにそう言った。


 「い、いや違う・・・リファレンが謝ることはない。 私は大丈夫だ。 ・・・続きを聞かせてくれ」


 私は涙を拭きそう言った。


 リファレンは少し笑顔を見せて「ああ」と言って続ける。


 「父が亡くなってまもなく・・・他の貴族の連中が、私たちの家と財産を狙って、あらゆる手段で私たちに揺さぶりをかけてきた。 私は家や財産などはどうでもよかった・・・だが、当主である父が亡くなった途端に、力の無い私たちから、家と財産を奪おうとする・・・そんな汚い貴族の連中に、激しい憤りを覚えた。 父と母が一生懸命守ってきたこの家を・・・そんな連中に奪われたくないと・・・その時心の底からそう思った。 だが、ただ願うだけでは現実は何も変わらず、何も叶えられないことを・・・父の死を通じて学んだ。 この世は弱肉強食で、力のない私たち弱者は・・・力を持った強者に淘汰され・・・大切なものを奪われる。 そんなのは・・・絶対に嫌だ!」


 リファレンは怒りを押し殺すように、拳を強く握りしめて続ける。


 「私は決意した。 妹と私たち家族が生まれ育ったこの家を守るため・・・私は特級騎士になると! 特級騎士になれば、特権により女である私でも家と財産を引き継ぐことが出来る。 だから私は特級騎士を目指して、騎士・魔法師育成学校に入学した」


 そう・・・だったのか。


 リファレンも、私と同じように・・・


 特級騎士を目指していたんだな。


 だからリファレンは、幼き私に特級騎士の話をしてくれたのか。


 リファレンは続ける。


 「私は日々鍛錬を行い、力をつけた。 剣を持つまで気づかなかったが、私は人よりも少しばかり剣技の才に恵まれていたようで、一年の前期の試験で私は上級騎士になった。 だがあくまで私の目的は特級騎士になること。 私は慢心せず、日々の鍛錬を続けた。 そして学校生活の中で、同じ志を持つ仲間もできた。 私はその仲間たちとパーティーを組み、より力をつけるため討伐クエストなども積極的に受けた。 実戦による経験値というものは、訓練の比にならない。 私は飛躍的に力をつけた。 そして、三年になる前には、A級指定モンスターも一通り討伐し終え、私の目的である特級騎士まで、あともう少しという実感を抱いていた。 だが、三年になってすぐのこと・・・私は突如、人生の終わりを迎えることになった」

 

 「な、何だと・・・」


 私は息の飲み、リファレンから発せられる続きの言葉を待った。


 「私たちはいつものように、A級クエストに行っていた。 クエストの場所は、王国から少し離れたある山で・・・内容はオークの討伐というものだった。 オークはA級指定モンスターで、私たちは今まで何度も討伐しており、特別難しいクエストというわけではなかった。 そして案の定、私たちは半日ほどでオークを狩りつくし、帰路につこうとした。 だがその瞬間・・・突如私たちの目の前に、黒く巨大な何かが空から舞い降りてきた。 ・・・私たちは衝撃で少し後方に飛ばされた。 そして体勢を立て直し、その黒い何かを見回した。 するとそこには・・・この世で最も恐ろしく・・・凶悪な魔物が、こちらをギロリと睨みつけていた」


 リファレンは少し言葉に詰まりながらそう言った。


 私の脳内に最悪の想像がよぎった。


 現在、SS級指定されているモンスターは計5体いる。


 だが、その5体の中で・・・他の4体を超越している魔物が存在する。


 「この世で最も恐ろしく・・・凶悪な魔物・・・・・・まさか・・・」


 リファレンは私の言葉に続くように口を開く。


 「そう・・・。 生きる災厄・・・破壊龍・ヴリトラだ」


 「な、なに・・・」


 その名を聞いた瞬間


 私は身の毛がよだつような感覚を覚えた。

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