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碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第1章 騎士・魔法師育成学校入学編
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29話 クエスト勝負②


 俺は、マルデリッツ山でのブラックウルフ討伐クエスト用紙をボードから取り、エミリへ渡した。

 下級騎士の俺にはA級クエストは受注できないので、エミリが代わりにクエストカウンターで受注を済ませる。


 「これで受注完了だ」


 受注を済ませたエミリは俺にそう言うと、リギルが口を開いた。


 「そうそう、制限時間なんだが……明日の昼12:00まででかまわないかな? 私も移動に多少時間がかかるのでね、まあ君の方がもっと時間がかかるだろうけどね、ふふふ」


 リギルはニタニタを気持ちの悪い笑みを浮かべていた。


 「くっ……外道が……」


 エミリは悔しそうにそう呟いた。

 俺はリギルへ答える。


 「ああ、それでいい」


 「決まりだ。ふふふ、明日が楽しみだな~」


 「ああ、俺も明日が楽しみだ。お前のその気持ち悪いニヤケ面と鼻っ柱をへし折ってやれるからな!」


 俺はリギルへ指をさした。


 「平民風情が……まあいい、せいぜい頑張りたまえ」


 そう言って、リギルはギルドを後にした。


 「さて、俺も行くか」


 俺はバックを背中へかけなおすと―


 「ユーリ、これを持っていけ」


 そう言って、エミリは俺に緑色の宝石のような物を渡した。

 キラキラと光っていて、とても綺麗だが……お守りか?


 「これは何だ?」


 「それは、魔法具の一種だ。それに魔力を込めれば私が首にかけている、この魔法具に信号が送られる。何がトラブルや命の危険を感じたときはその魔法具に魔力を込めろ……私がすぐに駆けつける」


 そういうことか。

 だが―


 「ありがとう。だが気持ちだけ受けとっておくよ、エミリの手を借りたら俺の負けに―」


 「勝負なんて! お前の命に比べれば、どうでもよいことだ……」


 エミリは俺の言葉の上からかぶせるように、そう言った。

 エミリが俺の身を案じてくれているのが痛いほど伝わった。

 俺がこの勝負に負ければ、自分はあの外道のところへ嫁がなくてはいけないというのに……

 俺はそんなエミリの思いを無下には出来なかった。


 「わかった、何かあったらこれに魔力を込める! その時は頼むよ」


 俺は笑顔でそう言った。


 「ああ、いつでも頼ってくれ! 私は片時も離さず、これを身に着けている」


 エミリは少しだけ顔を赤くし、首にかけている魔法具をぐっと握りしめた。

 そうしていると、ロミオが俺に話しかけてきた。


 「ユーリ、よかったら、これも使って」


 ロミオは何重にも折りたたまれている一枚の紙を渡した。

 俺はその紙を広げると―


 「これは……」


 そこには、手書きで書いたような、バラドール周辺の地図が記されていた。

 しかも、とても見やすくて分かりやすい。

 そして……

 いま書いてくれたのだろうか?

 マルデリッツ山の場所を、ペンで印をつけてくれている。


 「これは、ロミオが書いてくれたのか?」


 「う、うん。あまり上手ではないけど……」


 この地図を作るのに、一体どれだけの時間がかかったのだろう。

 昨日突然クエスト勝負が決まったから、これはその後に作ったものだ。

 ということは……昨夜、寝る間も惜しみ、睡眠時間を削ってまで作ってくれたのか?

 俺のために……

 俺はロミオがこれを作ってくれている姿を想像して目頭が熱くなってしまった。

 それにロミオが気づき―


 「ユ、ユーリ!? どうしたの? ご、ごめん、こんな汚い地図使えないよね―」


 「いや違うんだ! ……その、嬉しくてな……」


 俺は目元を拭き、笑顔で続ける。


 「こんなに見やすい地図は初めてだ! ロミオ、本当にありがとな!」


 「うん……それなら、良かった」


 俺たちは笑顔を向けあった。

 俺はエミリとロミオにもらったものを、バックへ入れた。

 2人の為にも、絶対に負けられない。

 俺は気合を入れるように、深く呼吸した。


 「それじゃあ、行ってくる!」


 そう言って、俺はギルドの入り口へ向かって歩いた。


 「ああ」


 「気をつけてね」


 俺は2人の言葉を背中に受け、ギルドを後にした。


 ―ギルドを出てすぐ―


 俺はある視線を感じた。

 ここは都市の中心部で周りは人で溢れているが、明らかに俺に焦点を当て、俺を見ている誰かがいる。

 俺は視線を感じる先へ目を向けるが……誰もいない。

 だが、次の瞬間―

 俺は背後に気配を感じ


 ハッ! 


 と瞬時に振り返るが……やはり誰もいなかった。

 そして―

 背中のバックを誰かに触られているような感覚があり、俺は再び振り返った。

 だが、誰もいない……


 「一体、何なんだ……」


 俺は少し、不気味な感覚を覚えた。

 だが、俺に敵意があるわけではなさそうだ。

 もし敵意があるのなら、今の瞬間に何かしら攻撃をしかけてくるはずだ。

 俺は不気味な感覚を拭えきれないまま、マルデリッツ山に向けて歩きだした。

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