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碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第2章 高位6魔人<ネグルス>編
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45話 アイリン・シャーレ


 ―廊下―


 俺は今、騎士生徒会室を抜け


 大量の書類を取りに教官室へ向かっていた。


 先程ベルガーに騎士生徒会室へ連行された後、


 俺は自身の机に山積みになっている書類を


 誤ってぶち破ってしまった。


 いや、断じてわざと破ったわけじゃねえぞ


 ・・・断じて。


 いやそれにしても、クラス対抗戦で負けた代償がこんなにも


 大きいものだとは思わなかったぜ。


 正直、アランと戦えるってことだけを考えて


 負けた先のことなんて考えていなかった・・・


 毎日、毎日、大量の書類に


 数字、数字、数字・・・


 気が・・・


 気が狂いそうだ・・・


 俺は頭をガシガシとかきながら


 「があああああッ、生徒会なんて大っ嫌いだッーーー!!!」


 天を見上げ発狂した。


 すると―


 「ひゃっ・・・」


 ガシャン、パラパラパラ・・・


 と、近くを歩いていた女子生徒が驚き


 持っていた書類を床にぶちまけた。


 「わ、悪い、大丈夫か?」


 俺は反射的に謝った。


 「は、はい」


 俺は女子生徒が落とした書類を一枚、二枚と拾う。


 「だ、大丈夫です、自分で拾います」


 と女子生徒がそう言った。


 「いや、もとはと言えば俺のせいだし、これくらいはさせてくれ」


 そう言うと、女子生徒は少し顔を赤くし


 「あ、ありがとうございます」


 と、そう言った。


 床に落ちた書類をかき集め、


 その生徒は「よっこいしょ」と立ち上がった。


 立ち上がってはじめて気づいたが


 その生徒は小柄で、まるでロミオくらいの背丈だ。


 髪はサクラ色で、背中のあたりまで伸びており、


 表情はどこか幼さを残したような印象だ。


 俺の一つか二つくらい年下に見える。


 ここの制服を着ているので


 同じ一年なんだろうが・・・


 などと考えていると


 「あ、あわわ」


 と書類を抱えた生徒がふらついた。


 「あぶね―」


 書類をぶちまける寸前


 俺は書類を支え、それを防いだ。


 そして―


 「ほっ」


 生徒が抱えていた書類を俺が抱える。


 「え、あの、」


 「これはどこに運べばいいんだ?」


 俺は生徒に問いかける。


 「い、いえ、わるいです、自分で運びます」


 「いいって、また床にぶちまけても大変だし」


 それに、こんな大量の書類


 男の俺でも運ぶのに一苦労するぞ。


 「す、すみません、拾ってもらったばかりか、そんなことまで」


 と、生徒はペコリと頭を下げた。


 「ああ、気にしなくていいよ」


 「ありがとうございます。 ユーリ君」


 え?


 「どうして、俺のこと・・・」


 俺がそう呟くと


 「あ、いえ、すみません」と謝りながら続ける。


 「えっと、ユーリ君は、学校中で有名ですから」


 「そ、そうなのか?」


 有名というのは一体どういうことだろうか?


 「あのアラン会長とあれほど凄まじい戦いを見せてくれたので」


 そういうことか。


 「それに」と生徒は続ける。


 「ユリネ会長も、相当怒っていましたし」


 「ああ、そうか・・・え?」


 今なんて?


 「ユリネ会長はアラン会長と戦いたかったみたいですが、ユーリ君たちとの試合でアラン会長たちは決勝を辞退したので」


 「な、なるほど・・・」


 いや、でも


 それは俺のせいじゃねえだろ?


 ストー会長の逆恨みだろ完全に。


 というか、


 「あのストー、いや生徒会長と接点でもあるのか? 何か本人から直接聞いたような口ぶりだし」


 「申し遅れました。 私、魔法師生徒会書記を務めている2-C、アイリン・シャーレと申します。 よろしくお願いします」


 と、アイリンはペコリと頭を下げた。


 「なッ・・・」


 な、なんだと・・・


 「二年・・・だと・・・」


 俺は驚きを隠せなかった。


 こんな幼さを残した子が


 まさかの年上だったとは・・・


 「むぅ・・・ユーリ君、いま失礼なことを考えていましたね?」


 と、アイリンはプンスカと頬を膨らませてそう言った。


 「い、いや、まさか年上だとは思ってなくて・・・」


 ガーン、


 と、アイリンは床に手をつきうなだれる。


 「お、おい、どうしたんだ?」


 アイリンは小さな声で


 「そうですよね、私なんてあのお二方に比べ、ツルツル、ペタペタなお子様体型ですし、大人の女性の魅力なんて微塵も持ち合わせていませんよ、ええ・・・でも私だって努力はしてるんですよ? 毎日欠かさず2Lは牛乳を飲んでいますし、夜は10時には就寝しています。 お肌のスキンケアだって毎日・・・」


 とブツブツと何やらもらしている。


 まずい。


 俺は何か触れてはいけないものに


 触れてしまったのかもしれない。


 「い、いや、何も体型だけが女性の全てってわけじゃないと思うぞ、うん」


 俺は必死に言葉をひねり出す。


 「そ、そうでしょうか?」


 く、食いついた!


 俺は脳の思考回路を


 「あ、ああ! もちろんだぜ! 食い物だって、肉には肉の、魚には魚のうまさってもんがあるんだ! みんな違ってみんないい、だぜ!」


 だぜ・・・だぜ・・・だぜ・・・


 校内に俺の声が響きわたる。


 なんだか、自分で言っていて


 めちゃくちゃ、


 最低なことを言っている気がするが・・・


 まあそんなことはどうでもいい。


 「そ、そうですよね! 何も胸だけが女性の全てじゃないですよね!」


 そう言って、アイリンは立ち上がった。


 「あ、ああ! ・・・胸?」


 俺は戸惑いながらそう言った。


 「胸がなんだ! 胸なんて所詮脂肪だ!」


 おー!と腕を上げてアイリンは声を張る。


 よくわからないが、ここは合わせていた方が良さそうだ。


 俺はアイリンに合わせ


 「ああ! そうだ、そうだ!」


 そう言った。


 そして―


 「ユーリ君、私たちいいお友達になれそうですね」


 アイリンは笑顔でそう言った。


 「はは、だな!」


 俺もそれにこたえ、拳を向けた。


 アイリンもそれにこたえ拳をこちらに向け


 グータッチを交わした。


 そして


 バサァーー-


 とアイリンの手から再び書類がこぼれ落ちた。


 「あ、悪い」


 俺はそう声を漏らすと


 ハハハ


 と俺たちは顔を見合わせ笑った。


 その後―


 俺たちは魔法師生徒会長室の前まで歩き、扉を開いた。


 そして―


 「ただいま戻りましたユリネ会—」


 そこまで言うとアイリンが固まった。


 「どうしんたんだ?」


 俺も続いて中に入る


 すると

 

 「な―」


 思わず声を漏らした。


 「ち、違うんだよ、ユーリ、これはユリネ会長たちが無理やり」


 と、メイド服を着たロミオが言い訳をするようにそう言った。


 ユリネ会長と、ミア副会長は目をキラキラさせながら


 両手には次にロミオに着せるであろう服を持っていた。


 「自信をもっていいのよロミオきゅん、あなたは美しい! 最高だわ!」


 ロ、ロミオきゅん!?


 「悔しいですが、私よりも綺麗ですよロミオ君」


 とミア副会長が続ける。


 そんなやり取りを見て、俺は何となく状況を把握した。


 それに、ロミオ君と呼ばれているあたり


 ロミオが女だってことはバレてないみたいだ。


 「ユ、ユーリ、たす」


 ロミオはこちらに手を伸ばしてそう言うも


 「ロミオきゅん、次はこっちの服を着ましょう」


 「いいえユリネ会長、まずはこちらです」


 「いいえこっちよ!」


 とロミオは目をキラキラさせた二人に囲まれ身動きが取れない。


 ま、まあ、命の危険はなさそうだし


 とりあえず大丈夫か


 などと考えていると


 「今日は助かりました」


 と安堵したように隣のアイリンがそう言った。


 「どうしたんだ?」


 俺がそう問いかける。


 「いえ、普段ならあそこのロミオ君の場所は私でしたので・・・」


 とそう言った。


 あー・・・


 俺はアイリンの苦労を察した。


 「お前も苦労してんだな」


 「はい・・・」


 と俺たちはそう言った。


 そして


 「もう、いやだぁああああああああああああああああああああああああああ」


 とロミオは絶叫を上げた。


 ―――


 そんな平和な日々が過ぎてゆく中


 俺たちのすぐ目の前まで、想像もしていなかった脅威が迫っているとは


 この時には知る由もなかった。

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