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碧眼の神威使い ー奪われた幼馴染を救うため俺は魔人をぶった斬るー  作者: ARU/MERIA
第1章 騎士・魔法師育成学校入学編
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1話 ロミオ・ラングヴェイ

 

 俺、ユーリ・アレクシスは15になった。

 突然だが、俺は今とある学校の正門に立っている。


 「……おおお……すげぇ……」


 思わず声が漏れてしまった。

 ここは北東最大の大国であるバラドールが創設している、騎士・魔法師育成学校だ。

 その名の通り騎士・魔法師を育成する学校で、在籍している学生はほとんどが貴族出身のものばかりだ。

 俺のような村出身の平民育ちはほぼいない。

 そんな平民育ちにはあまりにも場違いのこの学校は、これでもかというほど真っ白な外壁で包まれており、まるでどこかの城のような優雅さが見受けられた。


 正門から玄関口までの通路の縁には花や植物で彩られており、噴水まで備わっている。

 そして何より・・・でかい。

 めちゃくちゃでかい。

 何がでかいかって、すべてが俺の想像を超えていた。

 建物でみても軽く1000人くらいは中に入れそうだし、敷地もとにかく広い。

 グラウンドというのか、よくわからないが地面が土で覆われている場所が3つ、いや4区画ほど見受けられる。


 さらに奥には闘技場というのか、周りがレンガ調の外壁で囲まれた場所までもあった。

 さすが北東最大の大国・バラドールが創設した学校だ。

 なぜ、俺がこんな場違いな場所にいるかというと……


 俺とシルバーは外の世界で5年も旅をしてきたが、いまだ俺の家族の仇であり、リリアを連れていった白髪の魔人の行方は掴めずにいた。

 そんな中シルバーからある提案をされた。

 それは俺が騎士として国に在籍するというものだった。

 国に在籍すれば、ギルドでクエストを受けることができる。

 そしてクエストにはS級クエストという最高難易度のクエストがある。

 その内容は、そんじょそこらの騎士や魔法師には手がつけられない、とてつもなく強く、恐ろしい魔物の討伐だったりする。

 そして、強い魔物がいる傍には、それを統率している魔人がいる可能性が極めて高い。

 今までの旅の中でも魔人が魔物を従えていたケースがかなり多かった。

 闇雲に魔人を探すよりも、少しでも可能性が高い道があるのならそっちの方がいい選択だろう。

 だが、騎士として国に在籍するには、この騎士・魔法師育成学校に入学しなければならない。

 ……といった理由で俺は先週この学校の入学試験を無事合格し、今日が初登校ということだった。


 それにしてもやっぱり場違いだ。

 周りを見渡すと、正門をくぐり登校している生徒が数名いた。

 しかも、みんな育ちがよさそうな気品にあふれた生徒ばかりだった。

 俺は周囲にあっけをとられながら正門を抜け正面玄関口の方へ歩いていると


 ドンッ

 と胸部のあたりに何かがぶつかった。


 「ひゃあううっ」


 下へ視線を下げると

 ……ここの生徒だろうか?

 小柄な女性が額に手を当て「いたた~」と目を細めていた。


 その子はおよそ身長150cmほどで、とても小柄だ。

 煌びやかな銀色の髪色で前髪のサイドは肩のあたりまでまっすぐ伸びており、後ろ髪は一つに結んでいる。

 肌は白く透き通っており、瞳はうっすらと碧みがかっている。

 とても綺麗な顔立ちだが少し幼さを残しており、可愛らしい印象だった。

 足元に丸目のメガネが落ちていた。

 この生徒がいまぶつかって落としたものだろう。


 「悪い、俺の前方不注意だ、すまん!」

 俺は謝罪の言葉を述べ、メガネを拾って渡した。


 「い、いえ、僕も読書に現を抜かして歩いていたので、その……ごめんなさい」


 生徒はそういうと、メガネをかけ直し、深々と頭を下げてきた。


 そんなに頭を下げられると少し申し訳ない気持ちになるんだが。


 「いや、俺も前見てなかったし、それよりか、えーと、ここの生徒か?」

 

 「えっと、はい、そうですけど……君は?」


 「俺は今日この学校に入学したんだ、他の1年より3月遅れの入学ってことになるけどな」


 生徒はハッと何かに気づいたような表情を見せた。


 「……ってことは今日入ってくるクラスメイトっていうのは」

 

 「それは俺のことだな、 ユーリ・アレクシスだ、よろしくな!」


 「はい、僕はロミオ……ロミオ・ラングヴェイです」


 「ロミオか、いい名前だな!」


 「……あ、ありがとう」


 生徒は少し下を向き、はにかんだように唇をゆがめた。

 なかなかに格好のよい名だ。

 だが……

 

 俺はその生徒の服装に、ある違和感を覚えた。

 なぜズボンを履いているんだ?

 周りを見渡し、他の生徒に目を向けるが

 やはりここの生徒の制服は男はズボンで女はスカートだ。

 

 「……」


 本人に直接聞いてみることにした。


 「えーっと、ロミオはその、お、男、でいいんだよな?」


 少しどもってしまった。

 女だよな?と聞いて違ったら失礼だと思い、男の定で話してしまった。


 するとロミオの表情は、明るみを増し


 「うん、僕は男だよ、ありがとう……」


 そういって笑顔を見せた。 

 男だった……。

 でもなぜだろうか、

 不思議と無性に守ってあげたくなるような

 そんな儚げな笑顔を俺に向けていた。


 うーん、やはり俺と同じ性別だとは思えないんだが……。

 だが本人も気にしているようなのであえて口には出さなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなかいい感じの作品ですね おもしろいです [一言] 読み出しました なんとか1ヶ月ほどで追いつくつもりです 更新がんばってください!
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