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3 王都のギルドハウス

「見えてきたね~」

 村から歩いて数分、王都らしき町が見えてきた。街の中心に見える大きなコロシアムが特徴的で、そこが山の頂上で山の斜面に建物が並び町が出来ている。


「ここは全世界共通のエリアなんです。影月さんのギルドは日本エリアにあります」

「世界と同じなんだってー」

「へー」

 二人の説明を聞きながら王都への道を歩く。


 マップを見ると王都は全体的にヨーロッパ風で高級そうな店が並ぶ通りに豪邸が建ち並ぶ住宅街もあれば、旅番組で見るような普通の街もあるということが見て分かる。


 コロシアムの裏に王城があるらしいのだが、ここからはコロシアムに隠れて見えない。


「広いな……」

「大丈夫、大丈夫、ギルド登録すればメニューからギルドハウスまでワープ出来るから」

 ヒメキチがメニューを出して見せてくれる。


「結構進化してるんだな」

「そういう所微妙に疎いよね」

「必要になったら調べて使うけど、必要にならないと使わないんだよな」


「分かるよ!」

 目をキラキラさせながらヒメキチがこっちを見ている。

 そんなに一緒が嬉しいのか。


「いっつも生返事だもん」

「そうですね。ザイン君はいっつもギャルゲーをぼーっと見ながら上の空ですもん」

「ねー」「ねー」

 本当に仲が良いな、この2人は。


「ザイン君の話なんですよー?」

「知ってる」

 ベルの追撃を無視しながら王都に進んでいく。




「王都ゲフュンヴィルにようこそ!」

 門を抜けると坂と道の端に並ぶ店が歓迎してくれる。視界の端で手をひらひらさせているヒメキチとベルも歓迎しているようだ。周りの人の注目を集め恥ずかしいので早く止めて欲しい。


「うっはー、ヒメキチにベルが居るんだけど!?」

「すげー、握手して欲しい。で、あの男誰?」

 騒ぎになり始めヒメキチとベルに手を引かれ路地裏に隠れる。


「有名人だな」

「兄助がやってなかった時も私達はやってたから」

「ああ、確かに」

「でもでも、兄助がやってたら絶対に超人気だったよね?」

「ええ、それはもう、だって、強くてカッコイイの代名詞みたいなものじゃないですか」


「褒めても俺に出来ることは無いぞ?」

「また一緒にやれるだけで、私は満足だよー」

 天使の笑顔を見せるヒメキチ。その頭を撫でる。


「わわ!? 珍しい、兄助が優しくしてくれるなんて」

「これはスクショしないと!」

 珍しいものを見たようにはしゃぐ二人。

「何だお前ら。もう二度と優しくしないぞ?」




 騒ぎが収まり表の道に戻って来た。

「後で一緒に買い物に行かない?」

「それは今度だな」

「え? 何で?」


「夕飯」

「あ!」

 黙っているがベルも驚いた顔をした。2人とも目を丸くして慌てふためいている。

「……いや、頼む」

「わ、分かってるよー! ご飯食べた後ね! 絶対だからねー!」




 ヒメキチに案内されるままに歩く。どんどん豪華なエリアに入っていく、そして、この周辺で一番大きな豪邸の前で止まった。

「ここだよー」


「ここ……はっ!?」

 目を丸くして、上の空でいたベルが意識を取り戻す。

「凄い豪邸ですね! え、ここが自由に使えるんですか?」


「ふっふっふ、そうなの、前作の特典で貰えたの」

 プール付き三階、景色も良い。

「本当は愛の巣になる予定だったんだけど。ベルなら全然オッケーだよ!」


「じゃあ、僕は?」

 後ろから影月がひょっこり現れる。


「影月はNGだよ」

 無邪気な笑顔で拒否された影月は物陰にうずくまって泣き始めた。




「おかえり! マスター!」

 カウンターの上にルイスが居る。このうさぎ、いつの間に消えたんだ。


「ようこそ! ギルド、アインプリンセスへ」


 豪邸の中に通される。まず部屋が広い、天井が高い。次にソファーが大きい。まだロビーのはずだ。壁に掛けられている絵には綺麗な風景が描かれている。


「それがギルド名?」

「そうだよー」

 笑顔で答えるヒメキチ。


 兄助というあだ名を作ったのもヒメキチだ。センスが独特でみんな苦い顔をすることで有名だ。


「はぁ、これはまた、奇特なネーミングやなぁ」

「うっさい! 日ノ下も同じようなものでしょ!」

 ヒメキチと影月の言い争いが始まった。争いは同レベルでしか起こらないと言うが、片や社会人、片や高校生の争いはどうなのだろうか。

 影月に至っては会社の社長らしいし。


「ザインはん、どっちの方がネーミングセンスええと思う?」

 ヒメキチと影月が同時に俺を見る。

「ベル」

「あ、私ですか? えへへ、ありがとうございます」

 ロビーを見ながら気を抜いていたベルが嬉しそうにお辞儀をした。

 対照的に二人は肩を落とす。


「まあ、ギルドの加入の手続き、ルイスお願い!」

「任せて、マスター」


 ルイスが紙を持ってこっちにぴょんぴょん跳ねてくる。

「これにタッチすると加入の手続きが出るから」


 ルイスに言われた通りに紙を指でタッチする。

 目の前にギルドの情報が出てくる。


 ギルド名: アインプリンセス


 人数  : 秘匿

 方針  : 秘匿

 承認  : ギルドマスターの承認が必要


 加入しますか?


 はい いいえ


 はい、をタッチして加入手続きを完了する。


「あ、来たー!」

 ヒメキチがメニューを開き手続きを終わらせる。


「これで一緒のギルドだねー!」

 ヒメキチが俺とベルを抱き締める。

「よろしくね、ヒメちゃん」

「頼むぞ、ギルドマスター」

「えへへ」


 取り残された影月がこっちを見ている。

「僕はぁ?」

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