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101 楽園の守護者

 ドアを越えると、青い空と空を映している水面が際限なく続いている。そして、白い大理石の橋が何処までも続いている。

「前はこんな物無かった」

「ここを進めという事だろうな、はっ、有馬の奴、面白い事をしやがる」

 わざわざそんな事をする必要があるのだろうか。

 橋を進んでいく。


「1つ聞いて良いか?」

 橋を進みながらフィクサーに問いかける。

「何でも答えてやろう」

「プレイヤーネームはどういうつもりなんだ?」

「どう? だと? a infinity始まりの無限という意味だ」

「予想はしていたが、z einsの反対という事か……」

「面白いだろ?」

「悪趣味って言うんだよ」

「俺達以外に勝ち上がるなら、お前しか居ない。俺の読みが当たったという事だ」

「読みになるのかよ。趣味悪過ぎなんだよ」




 程なくして橋が終わり、大理石の広場にたどり着いた。

 8人の白いコートを見に纏い、武器を持った男女が立っている。

「セフィラですね」

 シューベルトが聴き慣れない言葉を口にした。フィクサーの方は分かっているようだ。

「セフィラ?」

「普段はデータベースを管理している連中だ。つまり、敵だ」

 この事態を見越して、有馬がコントロールルームの守りに回したのか。

「ザインさん! お願いです! 止まってください!」

 一番前に立っている高校生くらいの男が叫んでいる。

「何でそんな奴らと組むんですか! あなたは僕達と共に……」

「黙れ、指図するな」

 接近して回し蹴りを当てて、倒れた所を剣で突き刺す。

「悪いが、こんな世界、俺は望んで無い」

 男は悔しそうな顔をして消えていった。

「良いねえ。俺達の道を阻む奴らは全て破壊してしまおうか!」

 フィクサーと同じ格好の連中がアサルトライフルを構える。

「ザイン、しっかり避けろよ!」

 織田信長やったという三段撃ちをしてフィクサーは弾幕を作る。精密な動きで連携し、絶え間なく弾丸がセフィラの連中に降り注ぐ。

「よくも、マルクトを!」

 女が1人で突貫してきた。

「ダメだ! ホド!」

 ホドは槍を回転させ構える。動きは洗練されている。武芸の達人の域に入っている。

 剣を投げてホドの持っている槍にぶつける。

「あぁ!」

 槍が手から離れ、隙だらけのホドに弾丸を撃ち込む。手足に当たりホドは動けなくなった。

「勝ち目が無いと分かって出てくるな」

 アフターグロウも天上天下唯我独尊もブラックモルモットも火力スキルを盛り過ぎレベルで盛っている、数発攻撃が当たれば、防御特化でも消し炭に出来る。

「そんなのって無いよ!」

 悲鳴を上げているが、無視して刀を振り下ろす。


「ふっ、素晴らしいな! これがアインの、戦いを破壊する者の動きか」

「うるさい、集中しろ」

「前座程度に負けるとでも?」

 フィクサーに辿り着く前に風穴を開けられ、何人も倒れていく。

「これから、どっちかが世界一になるってのに、この程度なのか? 有馬も落ちたものだな」

「何のためにナー達が配備されてると思ってるの? ディナーはこれからだよ」

 ディナー? まだ昼飯時にも早い時間だ。

「ビナー君、手を貸そう」

「ホー、助かるよ〜、2人ならシロクマさんレベルに強いんだからね〜」

 ビナーという女は言い回しも雰囲気もかなり変わっている。何をしでかすか分からない怖さがある。

「ビナーとホクマー、あの2人は少しは違いますよ」

「そうかよ」

 ビナーに走る。

 ビナーが盛っている剣を振り回すと、鞭のように伸びていく。蛇腹剣か。

「ナーと一緒に遊んでくれよね? ケー」

 ケー? ビナーは俺を見てはっきりとケーと呼んだ。しかし、PN(プレイヤーネーム)にケは入っていない。

 無視して、蛇腹剣の間を突っ切る。

「わー、流石ケーだね〜、蝶々さんみたい〜」

「人違いだ」

 ビナーの手を蹴り上げ、水晶突剣をビナーの胸に突き立てる。

「ねぇ、ケー、これが求める世界なの? ナーはね、違うと思うなぁ〜」

 消える最後までケーと呼ばれた。

 心を見透かされているようだった。確かに求める世界は違う。今は戦うしか無いだけだ。

 言い訳のような事を考えてしまい、頭を振って、気分を整える。


「ホクマー、1つ聞かせて貰おうか」

 フィクサーは銃を下ろした。

「話す事など、私には何も無い」

 1人になったホクマーがこっちを睨みつけている。

「まあ、そう言うな。俺はお前達を救いたいと思っている」

「救いなら間に合っている。仲間を手にかけた者の救いなど、誰が受けようか」

「ふん、それで、お前達全員が不幸になってもか?」

「ああ、そうだ!」

 ホクマーは怒り心頭に発していて、まわりが見えていないようだ。

「そうか。なら、仕方がない」

 フィクサーが銃を構え直した。

「ザイン君! 君なら有馬様の良き友に……」

「何言ってんだか」

 フィクサー達の集中砲火を受け、ホクマーは消えた。

「ザインは有馬の世界を否定したから、ここに居るんだ。妄想に取り憑かれるのも大概にして欲しいものだな」


「倒して消えたらどうなるんだ?」

「ここから追い出され、ここに入れなくなるでしょうね」

 シューベルトが答えてくれる。

「それは、さっきの奴らもなのか?」

「ええ、そうなるように、ハッキングして書き換えておきましたから」

「疑問はそれで全てか? 次が真打ちだ。準備は出来てるか?」

 セフィラ達が居た場所の先には果てしない階段が鎮座している。

 その先にメタトロン・システムが居る。

「準備は出来てる。行こう」

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