プロローグその7
近くまでは気配をたどってきたようですが、今はにおいで居場所を探っているようなので、もう隠れている意味はないでしょう。
むしろいつまでもここにいては追いつめられてしまいます。
わたしは思い切って岩陰から飛び出します。
わたしを見つけた狗人は素早く剣を振り下ろしてきました。
もしも当たれば今のわたしなんて簡単に真っ二つにできるような殺意がこもっていましたが、今のわたしは小さく、地面を這うように動けます
当然振り下ろす剣の軌跡もその分長くなりますので、わたしは余裕をもって避けられました。
そしてそのまま小鬼の時と同じように地面に刺さった剣の上を駆け上り、狗人の喉元へ食らいつきます。
今のわたしにはこの戦法くらいしか取れません。
しかしそれは十分効果的だったようです。狗人は叫び声をあげてわたしを振り払おうとしてきたので、その前に飛び降ります。
そこからも同じことを繰り返し、なんとか狗人を倒すことができました。
とりあえず狗人も小鬼と同じように何とか対処できそうです。
一息つこうとしたところ、別の近づいてくる気配を感じます。
考えられることは狗人の叫び声に仲間が駆け付けてくることです。
その証拠にかなりの速度で近づいてきています。
わたしは連戦もやむなしと思い、相手を待ち構えることにしました。