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幕間その1 マダラン局長の憂鬱

 メイリン君が自分の従魔を連れて部屋を出ると、思わずため息が出た。


「レーリーはサイズも小さいのでランク4の可能性があることもごまかせたが、ナナコはもうごまかせないな」


「そうですね。あのサイズですから、すでに町中でも話題になっていることでしょう」


 ルース学園長の言葉にカイル先生が頷いた。


 そうなのだ。あれはもう隠しようがない。

 いくら戦えないとしても、あれが目の前にいるだけで、ほとんどの相手は戦意を喪失するだろう。


「さすがにレーリーを平民のままにしておくことはできないですね」


「では国が動きますか」


 カイル先生の問いに、今度はわたしが答える。


「わたしと学園長から陛下に伝えれば、間違いなく動くでしょう。そもそもランク5超の魔獣が出没すれば、最低でも国軍一個大隊が出動することになるのです。

 言い換えれば単なる平民が個人でそれだけの戦力を持つことを国がよしとするはずもありません。

 もちろん地方の男爵家が持つ戦力としても過剰です。

 となれば国が確保するほかないでしょう」


「確かに。どちらにしても今回の討伐メンバー全員には、小規模とは言え魔獣暴走を被害なく収めたことに対して勲章がおくられることになるだろう。

 そのうえでランク5超の従魔を従えることに成功したメイリン君にはさらなる褒賞が用意されるという訳だ」


 わたしの言葉に学園長が付け加えた。

 そしてその言葉にさらにカイル先生が付け加える。


「彼女がそれを望むか望まないかにかかわらず、ですね」


「そうだな。断ることはできまいよ。下手をすると国に対して隔意を持っているとみなされかねん」


 学園長の言う通りである。

 もちろん、彼女が断ったからと言って国がホワイトタイガーのナナコを取り上げられるかと言えば、そんなことはない。召喚士と従魔の関係は国によって保障されているが、実際のところは取り上げる手段がないのだ。

 それでも彼女が国の管理下に入ることを拒めば、彼女は要注意人物として二十四時間監視されることになるだろう。


「あとは彼女の後見人である、ガレール男爵とマイナル伯爵への根回しが必要ですね」


 カイル先生が言う通り、そうしたことも重要だ。

 彼らはいわば今まで彼女を教育することで投資している。それを国が力ずくで取り上げるなら貴族たちの反感を買うことになりかねないのだ。

 とは言えこういうことは別に珍しいことではなく、貴族の元にいる有能な人材を国が引き取る場合、相応の謝礼を行うのが慣例となっている。


「そのあたりは役人が慣れています。どちらにしろこの件についてはわたしたちは陛下に報告するだけです。

 ただ、別件であらかじめお伝えしてきたいことがあります」


「今話すということはメイリン君が関わりそうな話ということか」


「直接は関係ありませんが、微妙に関係があるともいえます。実はここ数か月に二度ほど、今回と似たような小規模の魔獣暴走の報告がありました。

 そしてそのどちらでも、それぞれ別の白い魔獣の目撃情報が報告されています」


「ふむ、それはつまりレーリー君やナナコ君のような存在が他にも存在していると?」


「ちなみに、その二体はどうなったのでしょうか」


 ルース学園長とカイル先生がそれぞれ尋ねてきた。


「断定はできません。どちらもこちらが攻撃をしたところ、森の奥へと戻っていったということです。

 その白い魔獣については、少なくともランク3以上はあっただろうというのが、現場に居合わせた傭兵たちの見方だそうです」


「なるほど。討伐はされずに逃げて行ったんですね」


「魔獣のままでは我々と話はできんが、レーリー君やナナコ君を連れて行けば、こちらの世界に飛ばされてきた元人間であれば話ができる可能性があるということか」


「その通りです。森の奥に帰ったとはいえ、またいつ出てくるかわからないということで、国に対しても討伐依頼が来ています。

 ただ、今は海の向こうがいろいろきな臭いこともあり、あまり国軍を動かして消耗させたくないというのが国の考えです。

 もしもその二体も従魔にできるなら、その問題が一気に解決するわけですから、すぐにということはないにしても、褒賞を授けてすぐ位には、そういう話が出てもおかしくありません」


「ですが本当に元人間なのかは不明なのですし、そもそも学生にランク3以上の魔獣討伐を行わせるのはどうなんでしょうか」


「そのあたりはどうとでもする気だな。だからこそも褒賞後の話ということだろう」


 カイル先生が否定的なのに対して、学園長は察するところがあったようだ。


「少なくとも現時点では何も決まっていませんが、そういう話が来る可能性があることをあらかじめお伝えします」


 何も決まっていないのは事実だが、同時にほぼ確実に依頼が来るであろうことも事実だ。

 だが今の時点でそこまで言う必要はないだろう。


もうしわけありませんが、次の部分がまだほとんど書き上げられていません。

あと3つ幕間がありますが、それは週1回程度のペースで投稿します。

その後、本編の次の話については少し間が空くかもしれません。

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