討伐実習編その20
ちょっと暴走してしまったけど、とりあえずレーリーとの確執(?)もなくなったので、すっきりとした気持ちで帰路に就く。
「それでは大変だと思いますが、レーリーはホワイトタイガーのナナコさん?と一緒に帰ってきてくださいね。
わたしたちが先に到着したら、街の門のところで待っています」
「わかりました。一応、ナナコがどの程度走れるのかも確かめてみますので、もしもこちらが先につくようであれば、わたしたちが待ちますので」
魔動車が出発したので、わたしもナナコに乗る。レーリーはわたしの肩の上の定位置だ。
「じゃあ、とりあえずは無理しない程度に前の車を追いかけて。疲れたら途中で休んでもいいから」
“了解! レッツゴー”
相変わらずテンション高いなあ。
で、結局ナナコはノンストップで魔動車と並走して学園まで帰ってこれました。
“わたし、自分が思っている以上にチートみたいだ”
“これは本格的に、ナナコの能力をきちんと把握しないといけませんね”
「その前にまず学園長に報告しないといけないから。ナナコ、あんまり興奮しないでね」
“失礼な。わたしはいつも冷静だよ”
街に入るときに、案の定騒動になりかけたけどダブタン氏が説明してくれて、わたしの従魔として取りあえず認められた。
ただ念のためということで、学園までは兵士が5人も付き添われた。
周囲の混乱を抑えるためだと思いたい。
当然、学園に到着してからも騒動は続く。
門衛さんがナナコに驚いて腰を抜かしてしまったり、学園の警備隊が総出で現れたりと大変だった。
ここでもダブタン氏が説明してくれたおかげで騒動は広まらなかったけど、ダブタン氏が詳細の報告を学園長にしている間、わたしは別室で待機させられることになった。
「早めにナナコが従魔だとすぐにわかるような目印を用意する必要があるわね」
“わたしはそういう類のものを付けておりませんが、大丈夫なのですか?”
レーリーが自分に目印となるようなものを身に着けていないことについて尋ねてきた。
「別に義務ではないから。普通はおとなしく人の近くにいる魔獣はその人の従魔だとすぐわかるし。ただ余計なトラブルを避けるためとか、自分の従魔だと野外でもすぐ見分けがつくようにするという理由なんかで、首輪なんかを付ける人も多いわ」
“首輪ですか、できればリボンとかチョーカーとか可愛いものを付けたいです。女の子ですからおしゃれを忘れちゃならんのですよ”
“おしゃれですか。わたしには縁遠い言葉ですね”
ナナコがおしゃれを意識しているのに対して、レーリーはあまり関心がないようだ。
そもそも二人の生きていた世界も異なるようだし、そうした文化でも違ったのかもしれない。
「わたしもそんな余裕はなかったからおしゃれなんてほとんどしたことないなあ。ただ首輪よりも適当な布を購入してリボンに仕立てたほうが、出費は安く済むかな?」
“できれば可愛く作ってほしいんですが”
「結び方を工夫するしかないかも」
“できれば柄なんかは自分で選びたいけど、わたしがお店に行っても大丈夫かな?”
「うん、たぶん大騒ぎになるから商店街に連れて行くのは少なくとも当面は難しいかな」
“やっぱりそうですか”
「レーリーくらい小さければ、それほど問題にはならないけど、さすがに4メートル近い大きさの魔獣を連れて街中を歩く勇気はないよ」
“体が大きいと融通が利きませんね。レーリー先輩がうらやましいです”
“センパイ、ですか?”
“はい! やはり従魔として生きてきた先輩ですから、先輩と呼ばせていただきます。それともレーリー姉さんとかのほうがいいですか?”
“……できれば普通に呼んでほしいのだけど”
“わたしにとっては普通なので、レーリー先輩で行きます!”
ナナコの返答を聞いて、ちょっとレーリーが黄昏れている。珍しい。
その後も、先生たちが来るまで結構待たされたので、ナナコ、レーリーと雑談をして過ごした。




