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討伐実習編その18

 その後、わたしたちはダブタン氏と一緒に撤退することになった。

 増援に来た方々は、念のため他に強い魔獣が残っていないか確認をするそうだ。


 レーリーの話では、ナナコが一番最後に現れて一番強かったらしいので、おそらくもうそれほど強い魔獣はいないと思うけど。


 まあわたしの従魔がそう言っていましたといっても、はいそうですかと受け入れるわけにもいかないだろうから、調査は必要なのだろう。




 とりあえずランバー村に戻ってきましたが、入村を断られました。

 ナナコが怖いようです。


 仕方がないので、門のところで依頼完了と小規模な魔獣暴走が発生したことについて村長に報告した。


 もう夕方なのでできれば村で一泊したかったけど、このまま学園に帰ることに。

 本当なら2泊3日の予定なのに、半日で帰宅とは……。


 そしてさらに問題が。

 乗ってきた魔動車にはとてもナナコが載ることはできない。

 かといって一匹で後ろから走らせると、すれ違う人に誤解を与える恐れがある。


 ということで、わたしはナナコに乗ったまま学園まで帰ることに。


「ナナコ、あの魔動車を追ってどの程度走れる?」


“うーん、この体になってからあんまり本気で体を動かしたことがないからわかんない。

 そもそもあの車って、どの程度の速さが出るの?“


「帰り道だと大体時速50キロくらいかな。それで目的地までは1時間くらい走り続けるけど」


“時速50キロかー。やってみないとわからないけど、普通の自動車と1時間並走なんて考えたくないなー”


 実際、今からだと結構帰り道が暗くなり始める。

 ちょっと難しいことをダブタン氏に伝え、結局その日は増援に来たメンバーも含めて野宿をすることに。


 いろいろ申し訳ない……。




 次の日の朝、やっとレーリーが目を覚ました。


“魔力の使い過ぎで気を失ってしまいましたか。……ナナコとの従魔契約もとりあえずはできたのですね”


「わかるの?」


“わたしから見て、ナナコは孫契約とでも言えばいいんでしょうか。どうもわたしが最上位という扱いになるようです”


「ということは?」


“やろうと思えば、わたしからもナナコに『命令』が可能だと思います”


 あー、そうなるんだ。

 その可能性については何かで読んだ記憶はある。ただ従魔が従魔を持つことは普通できないから、検証はされていなかったんだよね。


“それで、あの後はどうなりましたか? 村に泊まる予定だったと思うのですが、なぜ野宿なのでしょう”


「ちょっとナナコがね、村の人々から怖がられてしまって泊めてもらえなくなってしまったの」


“そういうことですか。確かにわたしも最初に彼女を見た時は絶対にかなわないと思いましたから、一般の人であれば仕方がないですね”


 その恐ろしい従魔は、現在わたしたちの横で丸まって寝ている。


“今日の予定はどうなるのでしょう”


「討伐依頼の分は達成しているし、というかもうそれどころじゃない感じなので、わたしたちは撤収することになったよ。

 本当は昨日のうちに帰るという話もあったんだけど、ナナコは魔動車に乗れないし、走って帰るとなるとどのくらいの時間がかかるかわからないということで結局野宿することになったの」


“そうですか。なかなか大ごとになってしまったのですね”


「そうだよ。だけどナナコも悪い子じゃないみたいだし、今回、勝手に飛び出して行ったことは許してあげる」


“そういえばそうでしたね。あの時は近づいてくる魔獣の反応から、皆が全滅しかねないと思ったので、勝手に飛び出してしまいました。

 改めて謝ります。心配をかけて申し訳ありませんでした“


「いいよ。結果的には問題なかったとはいえ、たしかにナナコが普通に皆の前に出てきたら攻撃を仕掛けただろうし、そうすればナナコも反撃せざるをえなかっただろうから、もっと大変なことになっていたかもしれないし」


 まあ、ナナコの性格なら逃げた可能性もあるけど。

 とはいえ、今回はいろいろと想定外の事態が重なった。一つ間違えばもっと大変なことになっていたかもしれないのをほぼ被害なしで収束できたのは、レーリーのおかげである。


“ただ、わたしとメイリンの間の従魔契約は、やはりどうにかしないといけませんね”


「えっ、どうして?」


“今回はたまたま良い方向に収まりましたが、次も同じとは限りません。

 わたしが前にでないといけないときに、メイリンがそれにつられて前に出てくるようでは困るのです。

 わたしのせいではありますが、今回、メイリンがわたしの後を追ったのは、従魔契約の影響です。これをどうにかしないことには、わたしはメイリンを守ることが難しくなります“


「それじゃあ、わたしはレーリーを守ることはできないの?」


“従魔が主人を守ることはあっても、主人が従魔を守るのは本末転倒です”


「わたしはレーリーの従者だよ。だけどそういうことじゃない。レーリーはわたしを単に主人と従者の関係としか見てくれないの?」


“……もともとわたしは従魔としてメイリンに召還されたのですから……”


「だけど、レーリーはわたしを鍛えようとしたよね。あれは単純にわたしが従者として戦えるようにするためだったの?」


“いえ、あれはメイリンが自分の身を守れるようになったほうが良いと思って……”


「つまりわたしのためにしてくれたんだよね。それは従魔として? それとも主人として? 従魔としてなら、別にレーリーが守ってくれればいいだけだよね? 主人としてでも、わたしを鍛えてもわたしがレーリーを守ることは無理だってレーリーのほうがよほど理解しているよね?」


“メイリン、少し混乱していませんか。今は従魔契約をどうにかしないといけないという話です”


「それはわかっているよ。だけど従魔契約を解除したとして、その後のわたしとレーリーの関係はどうなるの?」


“改めて、正しく従魔契約をし直すのが無難だと思います”


「そういうことじゃなくて」


 なんか、本当にグダグダだ。わたしは何を言っているんだろう。


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