討伐実習編その15
「あーもう、わかったわ。ただきちんと従魔契約のメリットデメリットは説明してね」
“もちろんです”
そういって、レーリーがホワイトタイガーに近づきます。
なんか、一口で食べられてしまいそうなサイズですが、ホワイトタイガーはおとなしく座ってレーリーと向かい合っています。
魔獣同志は念話ができるそうです。
ただし相手が普通の従魔だと、単語レベルのごく簡単なやりとりしかできないそうですが。
おそらく今も二人の間で何かやり取りをしているのでしょう……って、なんだかホワイトタイガーの魔力が強まってる?!
レーリーが怒らせた?!
と思ったら、すぐに落ち着きました。
“納得いただきました。従魔契約をしてあげてください”
レーリーが近寄ってきてそういった。その後ろにホワイトタイガーもいる。
目の前にいるとより威圧感が……。
「我メイリンが命じる。われと契約し我が従魔となれ」
とりあえず従魔契約を行うが……これはちょっと魔力がきつい。
「わたしの実力だと……この子のランクの魔獣と従魔契約をするには魔力が足りない……」
わたしがそういうと、レーリーが背中から肩の上に乗ってきた。
“それでは、わたしが魔力供給します”
「え?」
“メイリンはわたしと従魔契約をしているので、わたしからの魔力を受け取れるはずです。本来ならメイリンが契約した従魔に魔力供給するでしょう」
そういえばそうだった!
すぐにレーリーからの魔力供給を受けいれる。
さすがにわたしよりも魔力が格段に多いだけあって、従魔契約も順調に進む。
結構な量の魔力供給を受けて、やっと従魔契約が完了した。
「ふう、これで従魔契約完了です」
“なんかもっとすごいことが起きるかと思ったけど、結構普通なのね”
おおう、レーリーと違う声が脳に響く。
「これからよろしくね。まずはステータスの確認をさせてもらうわ」
“え、さっきまでわからなかったのに人の言葉が分かるようになった! すごい! ていうかステータスがやっぱりあるの?”
なんかすごいテンションが高い子だ。レーリーと正反対だな。
「ステータス魔法というものがあって、これを使うと対象の魔力量や状態なんかがわかるのよ。……ステータス」
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種族:ホワイトタイガー
名前:マチダ・ナナコ
魔力:5361
スキル:水魔法
状態:メイリンの従魔
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おおう、魔力五千越えですか。これランク4どころかランク5も越えるかも……。
わたしの魔力だけで従魔契約ができなかったのも納得だわ。
“それで、わたしのステータスはどんな感じ?”
「ええ、凄いわね。魔力が5361もある。あと水魔法が使えるわね“
“残念賞! 白虎なら属性は金でしょう!”
いきなり大声出すからびっくりした。
あと、属性が金て何のことだろう。お金が欲しいんだろうか。
“そういえばさっきからレーリー先輩の様子がおかしいんですが”
見ると、レーリーがぐったりしている。
「レーリー! どうしたの?!」
“ちょっと魔力を譲渡しすぎたようです。魔力不足になっただけなのでしばらくまともに動けませんが、一晩休めば大丈夫だと思います”
そういって肩の上で眠り込んでしまった。
「無理をさせてごめんね。じゃあ戻ろうか。
ええと、あなたはマチダ、それともナナコと呼べばいいのかな?」
“マチダが姓でナナコが名前です。呼び方はどちらでもお好きな方で。それでメイリンさんのことは、やっぱりご主人だから様を付けたほうがいいのかな?”
「……ナナコと呼ぶわ。それからわたしのことは呼び捨てでもいいわよ」
“ご主人様だしそんなわけにはいかないので、メイリンさんって呼びます”
「それでいいわ。じゃあついてきて」
“はい!”
わたしは肩でぐっすり眠っているレーリーを胸に抱え直すと元の場所へ向かって歩き出す。
その後ろからナナコがついてくる。
“メイリンさん、わたしに乗る?”
「乗れるの?」
“人を乗せるのは初めてだけど、たぶん大丈夫だよ。せっかくだし乗ってみてよ”
そういってナナコは伏せてくれたんだけど、それでもわたしの胸ぐらいの高さがある。
先にレーリーを置いてから、なんとかよじ登ってまたがると、ナナコが立ち上がった。
おお、視点が高くてちょっと怖い。
“それじゃあこのまままっすぐ行けばいいよね?”
「ええ、大丈夫よ」
走り出すのかと思ったが、普通に歩きだした。
それでも体が大きい分、わたしが歩くより早いし、楽ができるのがよい。
なにより、ナナコの毛皮も柔らかくて気持ちいい。ちょっと捕まるふりしてモフモフしよう。




