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討伐実習編その10

 昼食をとりながら今までの感想と、今後の方針を相談する。


 なお昼食は携帯食だ。

 貴族でも非常時は携帯食になるということで、普段から月に1回くらいは食べさせられるということだ。

 なので美味しいものではないが、文句を言う人もいない。


「で、1時間ほどで10匹倒せたが、これはかなりのペースだよな」


「そうだな。地形が良かったことと、ウイングオウルが絶え間なくホーンラットを誘導してくれたおかげで、かなり効率よく倒せた」


「安全に倒すことは重要ですが、訓練として考えた場合はどうなのでしょうか」


「確かにそこですわね。討伐依頼として考えれば全く問題ないのですが、いわば安全なところから魔法を撃つだけというのは、実戦訓練としては微妙ですわ」


 皆さん、やはり午前中の戦いには欲求不満なところがあったようです。


“少し気になることがあるので、森の中に入るのはあまりお勧めできません”


『気になることって?』


“森の奥の方から、少しずつホーンラットが近づいてきているようなのです。先ほどからすでに3匹ほど増えました。

 もしかすると森の奥で何かが起きているのかもしれません“


 ……これはまずい流れな気がする。


『ちなみにレーリーは何が起きていると思う?』


“あくまで予想になりますが、強い魔獣が森の奥から出てきて、それに押されるように弱い魔獣が森の外縁まで出てきているのではないかと」


 ですよねー。


“今のところはホーンラット以外の反応は……いえ、別の反応がありますね。ホーンラットより少し強めの魔獣が1体……いえ、3体出てきました”


 げ、それはちょっとまずい感じかも。


“さすがにこの状況では、森の中に入るべきではありませんね。わたしが強めの魔獣を探知したと伝えてよいので、引き上げと報告を進言してください”


 うん、わたしもそれだと中に入りたくない。


「すみませんが、レーリーが強めの魔獣が森の奥から出てきたことを探知したようです。できれば今日はこれで引き揚げて、魔獣が増えていることを早めに報告にいったほうがよいと思います」


 わたしの言葉に、全員の目がこっちを向く。ちょっと怖い。


「レーリーは魔力探知も使えたのか? その割には使った感触がなかったが」


「レーリーは魔力操作も得意なので、相手にほとんど気づかずに探知が可能です」


「強めの魔獣というが、どの程度かわかるのか?」


「細かいことまではわからないようですが、少なくとも森の奥からホーンラットが次々と現れていて、それを追うように強めの反応が3体ほどでてきたようです」


 わたしがそういったところで、ダブタン氏も反応した。


「ホーンラットより強い魔獣が3体? ちなみにホーンラットは現在探知できているのは何体だ」


“現時点で25体”


 さらに増えていた。


「ええと……25体です」


「ううむ、その数だと確かに厳しいか。しかもその動きだとより強い魔獣が動き出している可能性がある」


“あっ”


 嫌なところで嫌な声を出さないで!


“すみません、かなり強めの反応が1体出てきました。それに追われるように、3体の魔獣とホーンラットたちがこちらへ向かってきています。今からだと逃げるのは難しいかも”


「強い魔獣がもう一体、出てきたようです。それに追われて、ホーンラットやそれ以外の3体もこちらへ向かってくるようです!」


「くそ! 逃げる時間はないか。むしろここで迎え撃つほうが地形を生かせる分、助かる可能性がある」


 ダブタン氏はそう言って、アルドア様にも指示を出した。


「すまんが、課外授業はここで中止だ。生徒を巻き込むのは心苦しいが、ここで魔獣の群れを押しとどめる。

 アルドア君、君のウイングオウルで、一番近くの傭兵ギルドまで応援の連絡を出してもらえないか」


「わかりました!」


“そろそろホーンラットたちが到着します。取りあえず数が多いですし、皆さん迎撃の準備ができていないようなので、わたしのほうで一掃してしまいますよ”


「そろそろホーンラットが来ます!」


 わたしが叫ぶのと同時に、ホーンラットがわらわらと5匹ほど森の奥から出てきた。


 しかしその瞬間、レーリーが同時に5つのファイヤーアローをそのホーンラット向けてうち、全て命中して倒してしまった。


「……やっぱりレーリーはすごいな」


 ぽつりとシーベル様がつぶやいたのが聞こえたが、わたしは無視することにした。




 あの後も次から次とホーンラットが現れたが、こちらも準備ができていたので、とりあえず破綻することなく対応できている。


“もうすぐ3体のうちの1体が現れます”


 レーリーの言葉を皆に伝える。


「強めの3体のうち、1体がそろそろ現れます」


 そういったとき、ちょうど森の中から人の子供くらいの大きさのビッグフォックスが現れた。


「群れるタイプでないのが不幸中の幸いですわね」


「だがホーンラットよりも強いしジャンプ力もある。この程度の空堀だと飛び越えてくるぞ」


 ダブタン氏がそういってくれたので、皆も警戒を怠らない。


「魔法は通じるが、動きが早いから当てにくい相手だ。なんとか動きを止めたうえで魔法を打ち込めればいいんだが」


「ならば俺のナイトゴーレムを前に出します」


「いや、ナイトゴーレムでは遅くて足止めできない」


“それなら、わたしも前に出ましょう。わたしが翻弄すれば、ナイトゴーレムでの足止めもしやすいはずです”


 レーリーが前に出る宣言をした。


「レーリーも前に出しますので、ナイトゴーレムと一緒に足止めをさせましょう」


「レーリーというのは君の従魔か。そうだな、試してみるか」


 ダブタン氏の許可が出たので、レーリーが前に出た。


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