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討伐実習編その3

メイリン視点


 どうもレーリーはいろいろ考えすぎな気がする。

 おそらく彼女の経験が影響しているのだろう。


 確かにわたしはこのままスムーズに卒業したなら、領主様のところで働くことになるだろうから、護衛などの仕事もあるだろうが、それ以外にもいろいろな仕事があるわけで、必ずしもわたしが危険な仕事を任されるとは限らないのだ。


 とはいえ、レーリーもわたしのことを考えてくれての行動なので、当面は言われた通りに訓練を受けることにする。


 実際、そういう任務に就く可能性があるのも事実だし。


 と思っていたら、だんだんと厳しくなってきた。

 あまりきつくなるようだと勉強にも差し障りが出るから、もう少し手加減してくれると助かるなあ。


 そんなこんなしているうちに、課外授業、いわゆる討伐実習の時期が来た。


“討伐実習ですか?”


 レーリーが朝の訓練のときに聞いてきたので、説明する。




 これは数人でチームを組み、通常は傭兵が請け負うような仕事をこなすことで実戦経験を積むための訓練だ。

 具体的には人里近くに現れる弱めの魔獣退治になる。


 本当に大きな被害が出るような強い魔獣は国軍が対応するので、傭兵に依頼がいくのは農作物を荒らしたり、道路を穴だらけにしたりという、対応は必要だが国軍が出るまでもないような魔獣の対応だ。


 これはわたしも勉強をしてから知ったんだけど、本来はそうした魔獣の対応も国の直轄領なら国軍が、貴族の領地なら領軍が対応することになっている。

 ただ、農作物を荒らすような魔獣は数も多く、常に各地の農村から駆除依頼が来るから、そのすべてに軍を動かしていると膨大な費用がかかることになる。


 そこで国は魔獣被害のランク付けを行い、ランク3以下の魔獣については傭兵ギルドへ外注に出すことにしたそうだ。


 そもそも傭兵ギルドの前身はその昔この大陸がいくつもの国に分かれていたときにできたと聞いている。

 そのころは国ごとに小さな傭兵ギルドが幾つもあり、戦争が起きるごとに国が足りない兵を傭兵で補っていたらしい。


 状況が変わったのは、200年ほど前に当時のエリギナ王国の国王、現在わたしたちが暮らしているエリギナ帝国の初代皇帝にあたる魔烈帝アレダイン陛下がこの大陸を統一したときだ。


 本来、傭兵は戦争があるからこそ仕事があるわけで、戦争とは国同士の争いである。


 ところが魔烈帝によりこの大陸には他の国がなくなってしまった。

 魔烈帝は他の大陸への侵攻も計画していたようだけど、それでも傭兵たちにとっては仕事の種が減ったことになる。


 仕事を失った傭兵たちが、別の生き方を見つけられれば良いけど、そう簡単ではなかったようで、山賊に身を落とす者も多かったそうだ。

 つまり折角国が統一されたのに、治安がかえって悪くなってしまったのだ。


 国軍を動員しようにも、統一直後でまだ各地に亡国の残党も残っており、山賊退治は後手に回ることになるが、そうなると街から街への物資輸送もままならなくなる。


 放置するなら民心が動揺し、ますます反対勢力を勢いづかせることになる。

 そこで魔烈帝はその解決策として、当時まだ活動していた各地の傭兵ギルドの代表者を集め、傭兵ギルド自体を一つにまとめたうえで、輸送部隊の護衛や山賊退治といった仕事を国からの仕事として依頼するようにした。


 傭兵たちは仕事が継続的に入るようになるし、国は軍をより重要な仕事に割り振れるし、人々も治安が安定することでメリットがえられる。

 やがて国からの依頼内容に、魔獣退治も追加されるようになって、今日に至るという訳である。


 ただし、ギルドが作られた当時は当然のことながら戦場から戦場に渡り歩くような荒くれ者が多かったせいで、今だに傭兵と言えば無法者というイメージが強いが、実際には護衛や魔獣退治が仕事の中心になっているので、そういう者はほとんどいないらしい。


 むしろ、跡を継げない貴族の三男以降が、傭兵ギルドに所属して生活しているという例も少なくないので、意外と礼儀正しい人たちが多いそうだ。


 話が脱線したが、そういう経緯で傭兵ギルドにはいろいろな魔獣の討伐依頼が集まるわけだが、その中でも特に難易度の低い依頼を学園に回してもらい、生徒の訓練に使っているという訳である。


 で、依頼を受けるチームについては、まずは生徒同士で4~7人程度で組む相手を決める。

 もしも組む相手がいない場合は学園側で改めていずれかのチームに入るように調整することになる。


 そんなことをレーリーに説明した。


“それでは、チームの組み合わせはこれから決めるんですね”


「まあ、たぶんわたしはあまり選択の余地がないと思うけどね」


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