プロローグその4
改めて自分の体をまじまじと確認してみます。
……どうも白い貂になったように見えます。やっぱり何かの罰でしょうか?
とはいえ、先ほどは急なことで慌てていましたが、意外と素早く動けますし、跳躍力も高いことがわかりました。
なぜ白貂になったのかはわかりませんが、なってしまったものは仕方がありません。
とりあえずわからないことは棚上げして、今度は倒した小鬼を確認してみることにします。
体型は人間の子供と似ていますが、頭に二つの小さな角があります。また体の色も灰色っぽい緑色をしており、やはり人間とは思えません。
しばらく観察しているうちに、どうも小鬼の胸のあたりが気になってきました。
そこに大事ななにかがあるように感じたので、爪で胸のあたりを割いてみると、心臓の上のあたりに丸い石のようなものがありました。
これが何なのかは分かりませんが、先ほどから気になっていたものの正体に違いありません。
じっとそれを見つめているうちに、それを食べてみたいと思えてきました。
いやいや、いくら獣の姿になったからといって、小鬼の体の中から出てきた小石を食べるなんて、とも思いましたが、しかし食べてみたいという欲求はどんどん強くなってきます。
よく考えると、食べたいと感じるということはこの体が要求しているということに違いありません。
そのように自己弁護し、思い切ってその小石をかじってみました。
硬く見えた石でしたが、意外と簡単にかみ砕くことができました。
……特に美味しいわけでもありませんが、しかし自分の中で何かが満たされるように感じます。
やはりこれは今のわたしにとって必要なものだったのでしょう。