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召還編その10

メイリン視点


 レーリーは元人間というだけに話は通じるが、しかしこの世界の常識を知っているわけではない。


 だからわたしがきちんと教えてあげないと、と思っていたら、いきなりレーリーの方から文字を教えてほしいと言ってきた。


 文字を教えるのは構わないが、それよりも先にレーリーの能力を事前に把握しておきたい。

 だからステータスを教えてほしいと言ったら、ステータス自体が分からないといわれた。


 そうか、魔法のない世界からきたんだもんね。


 ステータスの確認方法を教えたが、今度は表示される文字が読めないといわれた。

 ……レーリーの言う通り、文字を教えるのも大切なようだ。


 とりあえず魔力量だけでも知りたかったので項目と数字を字に書いて教える。

 本当は持っているスキルも知りたかったけど、さすがにどんなスキルを持っているかわからないので、レーリーが文字を覚えてから教えてもらうしかない。


“そうすると、1、5、3、2と書いてありますね”


「魔力1532……」


 かなり高い。おそらくは学園長に匹敵する。さすがにマダラン局長には届かない。

 とはいえ魔物の中にはずば抜けて魔力量の多いものもいる。

 この値だと、一人でハイオークを相手にするのはかなり厳しい気がする。


「本当にハイオークを倒せたの?」


“証明はできませんけど”


 そうよねえ、あなたが嘘をついているとも思えないし……なにか他に強力なスキルをもっているのかな?


 あ、レーリーがわたしをみている。もしかしてつぶやいていたのが聞こえた?


「レーリーは、戦い方はどうやって習ったの?」


 さりげなく話題をずらしてみる。


“人間だった時に、対人についてはある先生に教わりました。その後、いろいろあって戦場での兵の動かし方を実地で国の将軍に教えていただく機会がありました”


 え、戦場に出てたの?


「ええと、魔法はどうやって?」


“最初、魔法のことは知らなくて、こちらの生き物の気配だと思っていたんです。それで、妙にその気配が察知できるので、これ幸いとダンジョンを徘徊する魔物たちの気配を探っているうちに、自分でもそれを動かせることに気づいたんです”


 なるほど、たぶん『魔力探査』や『魔力操作』かそれに類するスキルは持っていそうね。


“さらに、それを体に廻らすことで動きが早くなったり、力が増すことに気づいて、そちらを駆使して途中からは戦っていました”


 『身体強化』ね。近接格闘なら基本よね。


“ただ、ハイオークと戦ったときはそれでも力が足りず、ひたすら逃げ回って、たまにかすり傷を負わせるような戦いが続きました。

 そのうちに、ハイオークが雷を使ってくるときに、魔力が集まってくることに気づいたので、自分でもできないかと逃げながら試したんです”


 え、戦闘中になにしてんの?というか、ハイオークが雷?それって特殊個体じゃないの?第一、雷魔法って、どうやって避けるの?


“そうしたら、何とか魔力を集めることはできるようになったのですが、そこから先がわからず、雷はあきらめて、ほかの魔物が利用していた火や氷が出ないかでためしてみたところ、最終的に火矢の形で撃ち出せたんです”


 自力で魔法を習得?いや、もしかしたら最初から火魔法のスキルを持っていたのかも。それにしてもファイヤーアローをいきなり成功させるなんて、やっぱりすごいわね。


“ただ、遠くから火矢をはなってもハイオークの防御を破れないので、接近してから顔面に3発、続けて口内に1発撃ちこみ、ひるんだところでさらに火矢を撃ちこみ続けて、やっと倒したんですよ”


 ……至近距離からのファイヤーアロー同時発動と連続発動って、確かにそれができればハイオークを倒すことも可能かもしれない。


 そもそもそんなことができるのは高位の魔導士だけなんだけど。


 レーリーを怒らせることがないよう細心の注意を払わないと。


“わたしはこの魔法というものが、一般的にどれほどのものかわからないのですが、わたしの利用方法というのは一般的なのでしょうか”


 あー、やっぱり気になるよね。


「断言はできないけど、たぶん魔法の実力は、高位の魔導士クラスはあるかと」


“そうするとあなたの役に立てそうということで大丈夫ですか”


「むしろ、わたしがレーリーにとって、足手まといではないかと」


“わたしにとっては、あなたがいないと人間と交流できないので、足手まといということはありえないですよ”


 おお、意外と高評価なのか。人間ならだれでもよかったようにも聞こえるけど。




 その日の夕食を、食堂に食べに行くか聞いたところ、今日は遠慮するということだった。

 問題はないと思うけど、絡んでくる生徒がいる可能性もあるので、少しほっとしたのは内緒だ。


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