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召還編その3

 なぜか魔獣の従者になってしまったわたしは、すぐにカイル先生により隔離された。

 召喚したシロテンも一緒である。


 なにしろ正体不明の魔獣である。小さいとはどんな能力を持っているかもわからないし万が一暴れだしたなら生徒に被害がでるかもしれない。


 それでもおとなしい魔獣のようで、わたしが手を差し伸べておいでと呼ぶと黙ってついてきてくれた。



 学園内の一室でシロテンと一緒に待たされる。

 カイル先生の研究室だ。

 シロテンは部屋の中の機材や本を興味深そうにして見て回っている。

 一方、カイル先生は他の先生方を呼びに行っており、今はこの部屋にはいない。


 魔獣の従者になるなんて、もう学園退学決定かなー。


 そんなことを考えていると、シロテンがこちらに近づいてきた。


「あんたのせいでわたしの未来が閉ざされそうだよ」


 そう愚痴をいったところ、頭の中に返事があった。


“わたしが迷惑をかけてしまったようですね。よくわからなくてごめんなさい”


「え、あんた言葉がわかるの?」


“あなたの言葉だけは理解できます。他の人の言葉は異国の言葉みたいでよくわかりません”


 従魔契約をすると従魔と心を通わせられるとは聞いていたけど、話ができるなんて初めて知った。


「なんでわたしはあんたの従者になっているの?」


 とりあえず今一番重要なことを聞いた。


“よくわかりませんが、あなたがわたしにかけてきた魔法ですか? それをなんとなく返しただけです”


 なんと、そういうことか。


 従魔契約魔法は相手を縛る一種の呪いなので、もしも魔物に抵抗されたなら確かにそれが自分に返ってくる可能性がある。


 しかし召喚陣を通り抜けてきた時点で魔物は召喚主を認めており、抵抗されたという事例は聞いたことがない。


「あんた、召喚陣を通ってきたのに、なんでわたしの従魔契約に抵抗したのよ」


“抵抗というか、わたしもこちらに生まれてまだ3か月ほどですし、こちらのことはよくわかりませんでした。ただあなたがわたしにかけた魔法が、わたしに隷属を求めてきたので、思わず断ってしまいました”


 思わず断ってしまったって、簡単に言わないでほしい。

 だけど何か悪意があったわけではないことが分かっただけでも安心した。


「ところでこちらに生まれてから3か月といったけど、どこで生まれたの?」


“わたしも最初はわかりませんでしたが、ダンジョン内で生まれたということです。そこを3か月ほどかけて調べて、ハイオークという大きな魔物を苦労して倒したら、ダンジョンマスターという人から外に出してもらえました”


 つまりわたしはダンジョン内にいる魔物を召喚しようとしていたのか。

 いや、それよりもハイオークって言った?


「ハイオークを倒したの?」


“はい、2か月ほど戦い続けることになりましたが。二度とやりたくありません”


 いやいや、ハイオークを一人で倒せる人はそうはいない。やっぱり高位の魔獣なのだろう。


「それであんたは結局どういう魔物なの?あなたの能力も名前もわからなかったんだけど」


“わたしもよく知りません。ダンジョンマスターは特殊個体といっていました。この姿は、わたしが以前生きていた世界の貂という動物とそっくりなので、シロテンとわたしもいっています”


 え、今なんて言った?


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