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プロローグその20

 石を食べ終わって改めて周りを見回すと、いつの間にか壁の一か所が他よりも強く光っています。

 もしかすると出口かもしれません。


 すぐに光っている壁に近寄りましたが、壁がただ光っているだけではなく、その壁から強い妖力を感じます。しかし悪い感じはしません。

 現状、ここ以外に出口となりそうな場所は他にありません。

 思い切ってそこを触ってみることにしました。


 触った瞬間、光が強くなり、わたしは思わず目を閉じました。




「いやー、まさか珍しく生まれた特殊個体にわたしのダンジョンをクリアされるとは思わなかったよ」


 目を開けると、先ほどいた場所とは違うもっと狭い部屋におり、さらにいきなり話しかけられました。


 しかしあたりには誰もおらず、小部屋の中央になにやら台座があり、その上で大きな水晶のような石が光っているだけです。

 ただその光と妖力は、先ほどの壁からのものと同じなので、おそらくわたしがここに来たことと何か関係があるのでしょう。


 とはいえ、わたしは話すことはできないし、そもそも相手の言っていることの意味もよくわかりません。


「別に口に出さなくても、考えてくれればこちらに伝わるよ。

 しかし転生者だったとはね。モンスターに転生するとは運が悪いのか、それともそこまで強くなるということはむしろ運がいいのか」


 悪運が強いのはなんとなく自覚しています。


「ははは、どうも以前もかなり苦労したようだね。


 本当はボスを倒した人にはそれなりの宝物を与えて地上に戻すだけなんだけど、シロテンの君には宝物なんてもらっても仕方がないだろうし、特別に僕が聞きたいことに答えてあげることをクリア特典にしたんだよ」


 なんだかよくわかりませんが、聞きたいことならたくさんあります。まずわたしはなぜこの洞窟にいて、このシロテンの体になったかとか。


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