プロローグその2
もしかして、なにかの獣になっている?
その事実に何が起こっているのか理解が追いつきません。
しかし事態は待ってくれませんでした。
急に、何か大きく危険な気配が近づいてくるのを感じたのです。
近くの岩陰に身を隠して、気配のしたほうを伺っていると、やがてそちらから得体のしれないものが姿を見せました。
わたしから見て見上げるほど大きく、手に棍棒をもった、鬼とでもしか表現できないような生き物です。
しかしよく考えると今のわたしが四つん這いでいるのですから、鬼が大きいというよりも、自分の目線が低いといったほうが良いかもしれません。
そうするとこの鬼も実際には小鬼といったほうがよいかもしれません。
どちらにしろこんな生き物が実在している、ということに驚きです。
やはり自分は死んでしまい、地獄にでも堕ちてしまったのでしょうか?
そんなことを考えているうちに、小鬼に気づかれてしまいました。
もしかしたら隠れていれば見逃してもらえるかも、とも思いましたがそのようなことはなく、わたしに向かって棍棒を振り下ろしてきました。
小鬼の動きは意外と素早いものでしたが、わたしはその攻撃を間一髪で避けることができました。
ただこのままいつまでも攻撃を避け続けられるかはわかりません。
走って逃げるか、または反撃するか―。