プロローグその17
どうやらこれは気配というのも違うような気がしたので、改めて妖力と呼ぶことにしましょう。
この世界では別の呼び名があるでしょうが、少なくとも今のわたしにはわかりません。
ですが子供のころに見聞きした物語に出てくる妖怪の使う力に似ているように思えたことと、よくわからない現象でも名前を付けたほうが意識しやすいように思えたことによる名づけです。
とにかくわたしはただ火の玉を飛ばすと考えるのではなく、単純にその妖力に火を付けてみるよう考えてみたところ、一瞬ですが火を灯すことができました。
ついにやりました。一歩前進です。
とはいえ、これだけでは攻撃手段とはなりえません。
火のついたものを遠くに飛ばす方法というと、やはり火矢を想像します。
そこで妖力を矢に見立てて火を付けて飛ばすことを想像し、何度か繰り返すうちに、ついに火矢を飛ばすことができました。
しかも火鼠が使っていたものより、早く飛んでいきます。
大豚人も突然火矢が飛んできたことで驚いたようですが、距離があったので斧で叩き落されてしまいました。
これは仕方のないこととはいえ失敗です。
もっと接近した状態で放っていれば、うまく当てられたかもしれませんが、一度見られてしまった以上は相手も警戒することでしょう。
それでも攻撃の手数が増えたことで、現状を打破できる可能性がでてきました。
ただすでに見せてしまったので、このままでは通用しないでしょう。
ですからこの火矢を使いこなすことを考えます。
当面の目標は3つ。