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指名依頼編その16

メイリン視点


 最後の目的地へ向けて魔導車での移動中の三日目に、この旅程で初めて雨が降り出してきた。

 わたしはあまり雨は好きでないのだけど、サシャ様やアルドア様はあまり雨が降らないと領地の収穫に影響が出るとかで自分たちの領地でも雨が降っているかどうかについてなんとなく会話している。

 やっぱり上級貴族というのはそういうことも気になるのね。


 というか先日のパーティー以降、ほぼ会話がなかった二人がこの旅の間にやっとまた会話するようになったことにほっとしている。

 こうしてみると二人はお似合いのようにも思うけど、なにしろ貴族のしがらみが絡む話なので、わたしは見守るくらいしかできない。

 だから二人の関係については煽ることもしないし、かといって変に応援することもしない。基本はスルーである。


“えー、もっとなんか応援しようよ”


“ナナコ、他人のことに首を突っ込むと痛い目を見ますよ。こういうのは相談を受けない限りは見守るのが賢明です”


 レーリーもわたしの意見に同意してくれた。


“少女漫画とかなら、周りで盛り上げたりするのに……”


 ナナコはまだ納得していないようだけど、わたしを介さなければナナコにできることは限られるから大丈夫。


 それよりも最後の目的地にいると思われる白い魔獣のことである。


「レーリーはやっぱり次の相手は戦わないといけないと思う?」


“実際に会ってみないとわかりませんが、話を聞く限りでは一度は戦わないといけないように思います”


 レーリーもそう思うんだ。


 最後の白い魔獣については、すでにそこそこ情報が集まっていてそれを一日前に寄った街の傭兵ギルドの支部で聞くことができた。

 それによると最初の小規模な魔獣氾濫の発生のあと、その白い魔獣が村に入り込んだ魔獣を倒して回ったらしい。

 それだけなら友好的な相手かと思うところだけど、その後は森の浅いところに居座り、強い相手をみると現れて攻撃を仕掛けるようになったそうだ。

 ただし普通の村人が森に山菜や薪を取りに入っただけでは攻撃を仕掛けてこないらしく、村人たちもほとんど気にしてないらしい。

 村の力自慢が一度だけ挑戦にいって攻撃を受けたことがあるらしいが、すぐにかなわないと逃げ出したところ、その後はその男が森に入っても攻撃はしてこなかったという。


 つまり強い相手を求めているということのようなのだ。


“「俺より強い奴に会いに行く」とか迷惑よねー”


“ナナコ、愛に来るならこちらから行く必要がないのですから、むしろ楽なのでは?”


「だけど下手に動かれると探すのが大変だから、動かないでくれた方がこちらとしてはそのほうがいいと思う」


 ナナコの軽口にレーリーとわたしがそう返したところ、なんだかナナコが落ち込んでいる。

 その落ち込んだナナコを背もたれにしながら、レーリーに尋ねた。


「今のところ勝てた人はいないようだけど、レーリーなら勝てる?」


“さあ、見てみないと何とも。それにわたしより先にシラバタスさんが戦われるのではないでしょうか?”


 レーリーが首をかしげて考え込みながら答えるそのしぐさが、かなりかわいい。


「うーん、戦いたいとは思うだろうけど、基本はわたしたちの護衛が仕事なので、わたしたちが許可しない限りは戦えないんじゃないかな」


“それもそうですね”


「どちらにしても、明日には目的地近くの村に到着するし、もう少し詳しい話が聞けるだろうし、細かいことはそれから考えようか」




 翌日は、雨が降ったりやんだりを繰り返す中、予定より多少遅れた程度で目的の村にたどり着くことができた。

 それでもすでに夕方近くだったので、今日は少なくとも村長に挨拶をして話を聞く程度のことしかできなかった。


 森にいるのは白い鳥系の魔物だという。ただ今のところ攻撃を受けてケガをした者はいるが死んだ者はおらず、それ以外の村人については森に入っても無視するようなので、現在は森に入る制限もなくしているという。


 それでも近くの森に強い魔物がいるのは不安な面もあるのだろう、なんとか早めに対応してほしい、という気持ちがにじみ出ていた。


 結局、思ったほど新しい情報を得ることができたわけでもなく、その日は村長の屋敷の離れに泊まることになった。




 今朝は今のところ雨は降っていないが、厚い雲が広がっているのでまた降ってくる可能性はありそうだった。

 これで朝から雨が降っているなら今日の調査は中止にするところだけど、この天候だと出発するか微妙である。

 朝食を取りながら一応このパーティーのリーダーであるシーベル様の様子をうかがっていると、目が合ってしまった。


「なにか言いたいことがあるのか?」


「いえ、今日の予定をどうするのかと思いまして」


 わたしがそう返答すると、シーベル様もまだ決定しかねていると返してきた。


「俺たちが動ける日程の制限もあるので本来であれば多少の雨でも調査を開始すべきなのだろうが、幸いなことにここまでは予定よりかなり早く進んできているので、日程も余裕がある。

 だから今日一日を休養日としたところで問題はないのだが、到着して早々、仕事もせずに休むのも外聞が悪いように思う。

 あれこれ考えていると何が正しいのかわからなくなってな」


「確かに昨日まで雨が降っていて、今も降り出しそうとはいえ、現時点で雨が降っているわけじゃないしな。

 とりあえず現場の様子を確認するために森の浅いところだけでも見て回るか?」


 アルドア様がシーベル様にそう提案したとき、レーリーがわたしに話しかけてきた。


“もしも下見に行くなら対象に遭遇することを覚悟しておいた方が良いと思いますよ”


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