プロローグその10
とはいえ、かなり長い間洞窟をさまよいましたが、いまだに外に出られる気配がありません。よほど広い洞窟のようです。
またこの洞窟の壁は一日中薄暗く光っていますが、実はその明るさも時間と共に変わることに気づきました。
感覚的に、おそらく昼にあたる時間帯は明るさが若干増しているようです。
このことからすると、この洞窟で目覚めてからおそらく4日は過ぎていることになるでしょう。
目ざめてからは眠くなることはありませんでしたが、一応休息もとります。
ただ休んでいる間に敵に近づかれるかもしれないので、その対策として眠る前に薄く広く気配察知をしておき、それを保ったままにすることで何かが近づいてきてもすぐに目覚めることができるようになりました。
ただ気配察知が切れないよう、浅い眠りしかできませんが、もともとそれほど眠くなることもないので、そもそもこの体は休む必要もないのかもしれません。
そんなことを繰り返して出た結論としては、とにかくかなりの広さを持った洞窟であるということです。
何か所か行き止まりになっている場所を見つけ、その都度戻ってきたりもしました。
もしかしたなら、最初の場所から逆方向に向かったほうが早く出られたかもしれません。
そんなことを考えながら進んでいると、やっとそれまでとは様子の違う道を見つけました。
これまでは不自然なほど高低差のない洞窟であったが、そこの道はあきらかに下に向かっています。というか階段状になっています。
この様子からするとここは自然洞窟ではなく坑道跡か何かかもしれません。とりあえず下に降りるのは保留としましょう。