奏でる雨音
独り静かに手を動かしている
何気なく覗いた窓の外
鈍より重そうな暗い空
ひと時手を停める
部屋に響いていた機械音
静まり返った音に耳を傾ける
寒さにかじかむ手をこすり
再び手を停める
ぽつぽつ かん……かん……
屋根に落ちる粒で奏でる音楽
びゅ~っとうなりを上げる風
窓にも叩きつけられ潰れる水玉
一つひとつが音楽
そのまま明かりを消してベッドに横になる
静かな部屋に賑やかに響く
どこか心地いいのは何故だろう……
そのまま少しまどろむ世界
屋根に落ちてくる雨粒
窓に当たる水玉
車が通るたびに跳ね上げる雨水
重なり合う自分の鼓動
静かに ただ静かに ただただ静かに
眼を開けても目の前には暗い闇
周りを見ても温もりもない
どうしてこんなに響くのだろう
そして再びまどろむ中へ
そして再び音のある世界へ
心地のよさに耳を傾ける
何気ない日常に安らぐもの
そのまま明かりを消してベッドに横になる
今日もまた部屋に賑やかに響く
どこか心地いいのは何故だろう……
例えばどこかで呼ぶ声がして
好きで好きでたまらない人
安心と切なさが押し寄せて
何も言葉にならなくて
こんこん トン……トン……
屋根に落ちる粒で奏でる音楽
ひゅ~と泣くような乾いた風
窓には流した涙に見える雨
一つひとつが音楽
奏でられたメロディー
胸に沁む
今日はどこか優しい
好きなんだと気付いた
雨の日の音
手を休め耳を澄まします
奏でられた音楽を聴き漏らさぬよう……
雨音が好きみたいで……




