表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
独り言 ~詩かエッセイか何なのか~  作者: 藤谷 K介(武 頼庵)
90/144

赤と緑の追憶

枯葉舞う歩道を少し前の歌を口ずさみながら歩く

日にを重ねるごとに寒さが体を小さくしていく


通り過ぎる人々も道に並ぶ店のガラス窓にも

なにやら機嫌がいいような気がする


見上げる先々に緑や赤の光が差し込む

あぁ この季節がまた来たのかと首元の服を少し引き上げる


少し前まで楽しみに感じていた光景

明るい表情で電話をかけて来ていた君


今の僕は寒空に引きずられ周りの喧騒が嫌になっている


いい訳も何もなく

部屋の中から出て行った後ろ姿を

どうして追いかけなかったんだろう……


追いかけて後ろから抱きしめていたら

今抱いている気持ちを味わわずに済んだのかな


どこかの街で誰ともわからぬ人に笑顔を見せる君を

僕は下を向いてみてみないふりをするだけ


新しい服も新しい家具でさせ

揃いで買ったマグカップはまだ隣り合ったまま

誰の帰りを待っているのだろう


ずっとずっと側に居ると思っていた

わがまま言う事も何も思えなかった

後ろから抱きしめたかった

どうしようもない心の隙間に冷たい風が舞いこむ


冷たい風の吹く中で小さな買い物袋を提げて歩く

右隣にいるのが君の定位置だった


眩しい光と共に緑や赤の光が差し込む

この季節が来るたびに思い出す隣にいる温もり


ケンカもしたことなんてない

なのに泣きながら出て行く後ろ姿を

どうして追いかけなかったんだろう……


抱きしめてキスしていたのなら

この光る景色が嫌いにならずに済んだのかな


笑顔を眺め

いくつも残ったモノを眺め


君のいた景色を思い出し

ギュッと拳を握りしめる


君の側に……

ここで君が側に居たのに……







久しぶりに……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ