35/144
僕は何を言えただろう
あなたの悲しみさえ
あなたの苦しみさえ
分かってあげられなかったあの時に
僕は何を言えたのだろう
一つ一つに思い出が
残るあなたの姿のまま
後も追わずに
独り佇んで
知らぬ顔をして立ち尽くす
なにかを待ってた
優しい思いを
手を伸ばせば届くと思っていた
こぼれたアルバムにあった写真
どれもこれもが
笑顔のまま
今の自分じゃなかったと
逃げ出した空は高いままで
あなたの悲しみさえ
あなたの苦しみさえ
分かってあげられなかったあの時に
僕は何を言えたのだろう
どうしてもっと
側にいれなかったの?
自問自答を繰り返すまま
君を待っていた
楽しい思いを
話したその手は戻らない
動きを止めた時計のように
あの時の僕は
心をとめたまま
あなたの優しささえ
あなたの笑顔でさえ
分かってあげられなかったあの時に
僕は何を言えたのだろう
残った写真が笑いかける
そんな思いが笑いかける
そうして自分は心をとめたまま
今の自分は動けぬまま




