再会
俺はあの日
君よりも夢に向かう事を選んだ。
君から言われたこと、今でも覚えてるよ。
「そう、お互いの夢の為に選ぶんだから仕方ないよね。だから今は会わない。今は一緒にはいられそうにないから。じゃぁね……」
高校を卒業して十年が過ぎてその頃の友達を会う事も減った。
会えば必ず聞かれる事
「今、どこに居るの?」
これはどこに住んでる? って問いかけじゃない。
どここ会社にいるの? って事。
俺はそこそこの大学を出た後、いわゆるブラックと言われる会社に入社した
周りはすぐにやめていく
「合わないから」と。
すぐに辞められるような余裕のない俺は、それこそそこにしがみつくように働いた。
今では、そんな小さい会社の課長である。
けど、
友達からの問いかけには、
「フリーターだよ」
って答えるようにしている。
友達にしたって本気に興味があるから聞いたわけじゃない。
会話の一つのツールとして言っただけだから。
俺は高校時代までそこそこ将来を望まれて得たサッカー選手だった。
大学でもまずまずの成績を残してプロになれるはずだった。
だったんだ。
だからあの時、君との先を選ばなかった。
ケガをした俺はその前に終わった。
こんな俺に何があるんだろう。
今更ながらに考える。
「下なんて見てないで、前向いて歩こうよ」
「え!?」
あの時の君が目の前にいる。
あれから十年たつのに幻なのか。
「君は?」
「なに? 忘れちゃった? 言ったでしょ? 今は一緒にいられないって。今は必要でしょ?」
「あの時の……」
「だから会いに来たよ」
別れも突然だったけど、十年ぶりの再会も突然だった。




