『OK,Google』
「OK,Google…あー…あの子の好きな食べ物は…」
『すみません、よくわかりません』
…なにやってんだ。寒さで気がおかしくなってる。
授業を終えて校門から出てくるまであと5分。今日こそは食事に誘う、そう意気込んで待つはいいがなんて言葉をかけたらいいのだろう。
お昼の時間はいつも何を食べてたっけ…確かメロンパン?いやいや、初めてのデートにパン屋はないだろう。この前みんなで行った居酒屋では焼鳥を美味しそうに頬張ってたな…いきなりお酒を飲ませるなんて警戒されても嫌だしな…いっそ、今日誘うのはやめて出直すか?…答えの出ない頭に終業の鐘が鳴り響く。すると何度も背中を見送ったピンクベージュのコート姿の彼女が目の前を通った。
こうなったら出たとこ勝負だ。
「お疲れっ…」
「ん?あ、お疲れ…どうしたの?鼻が真っ赤だよ。」
「え、まじで。ずずっ…かっこわるいな。」
「誰かと待ち合わせ?校内に場所を移動した方がいいんじゃない?」
「いや…君を待ってた。」
「え?」
「誰か他の人と帰るようだったら控えようと思ってたんだけど…ずずっ…へへ、ラッキー。よかったらこの後一緒に…」
「ばか!!風邪ひいたらどうするの!!」
「平気平気、これぐらい。」
「ひいてからじゃ遅いの!!もう…連絡してくれれば…」
「あ、まだLINE聞いてなかったなって思って。」
「!…そっか…」
「ごめんね、逆に心配させちゃって。」
「ほんとだよ…お詫びに温かいもの食べに連れてって!」
「え、お詫び!?」
「そうだよ!心配させたお詫び!どこかオススメは?」
「えーと…えーと…ら、ラーメン?」
「いいね!私も大好き!ニンニクマシマシアブラカラメ?」
「ぷっ…ははは!どこの店もそうなわけじゃないって!」
「知ってるよ!生姜たっぷりの方が体が温まるでしょ?行こっ。」
考え倦ねていたのが嘘みたいだ。
いままであまり話したことのない俺と、まさかラーメン屋なんて。
ほんとにいいの?
降り積もった雪道を軽やかな足取りで先を歩いていた彼女が振り返る。
「ほら!なにしてるの!早くしないと売り切れちゃうよ!」
ちょっと強気でチャーミングな笑顔。
好きな食べ物も連絡先も知らないことだらけ。
でもこれから二人のお気に入りを見つけるのも、きっといい。




