親子の再会
少し時間は戻り、20階ボス戦の後半。
「ヒマだミャー」
プリマ空母の甲板に立っているボクはやる事が無くて暇を持て余していた。
「オ話デモシマスカ?」
「ほんとミャ?お話ししたいミャー!」
カカシちゃんとお話し嬉しいな。
「最近人気凄イデスネ。コノ調子デ頑張ッテ下サイ。後、ハナチャンモ艦船買ッテネ」
「はい!頑張るミャ!艦船も買っちゃうミャー!」
カカシちゃんと会えるのはボス戦だけだから、彼女とお話しはなかなかできなかった。今を逃すと次のボス戦まで会えなくなってしまう。今日こそボクの思いを伝えなきゃ!
「カカシちゃん!あのっ、ボク!カカカカカシちゃんの事が……スッスッ」
『……その姿はミスターリョーニャ?』
ザバーンッ!
「うわぁミャ!」
突然僕達の近くに潜水艦が浮上してきた!
そして、潜水艦から金髪猫耳の女性が飛び出してきた。
お母様!?
間違いなく自分の母親、四天王リーペだ。どうしてゲームの潜水艦からでてきたの!?
「閃光発音筒ヲ投ゲテ!」
「はいミャ!えっ!?」
カカシちゃんに言われるまま、母親に閃光発音筒を投げてしまった。
カッ!!!!
「ニャーッ!!?」
物凄い光と爆音にお母様が気絶してしまった。
「今デス!全力デ総攻撃!」
「了解ポコリン!」
「魚雷発射!」
カカシちゃんの掛け声に、ミッピちゃんとサラちゃんが凄い勢いで魚雷を打ちはじめた。気絶したお母様のHPがどんどん減っていく。
「やめるミャ!!ボクのお母様だミャ!!」
「え!?」
「!!?」
「リーペ様ポコリン!?」
叫んだボクの言葉をきいて攻撃をやめてくれた。
だけど、他のページのプレイヤー達の容赦無い攻撃は終わらない。
ドカーンッ!
「ミャーッ!お母様ーッ!!」
お母様の潜水艦は爆発し、お母様を乗せたまま海に沈んで行ってしまった。
「そっ、そんミャ……」
ボクはショックのあまりスマホを手から落としてしまった。
「ハナちゃん!?大丈夫!?」
滅多に喋らないサラちゃんがゲームを中断して声をかけてくれた。涙が流れ出してきた。
「視聴者の皆様すみません、実況を中断しますわよ!ハナちゃんはワタクシ達が居ますから心配いりません。次回をお楽しみにですわよ!」
プリマちゃんが視聴者にあやまってカメラを停止した。
「大丈夫、あれはゲームの中の事だからね。リーペ様はきっと近いうちに帰って来てくださいます。大丈夫、大丈夫」
サラちゃんがボクを抱きしめて頭をナデナデしてくれると、ホッとして少しずつ落ち着いてきた。
そんなボクを、プリマちゃんとミッピちゃんも後ろから優しく抱きしめてくれた。
ああ暖かい、なんだか眠くなってきた。
ドゴォオオーー!ドガーン!
「ミャ!?」
「うわぁあ!敵襲だー!」
凄い爆発音がした。外の人達が騒ぎ出した。
サラちゃん達はまだ寝てる。実況ライブに緊張して疲れたのかな?
ドタドタバギッ!ドタドタドタ!
!!?
何かこっちに向かって走って来てる!何だろう怖い!
「なっ!廊下は走るな!ぐはぁ!」
バターン!!
廊下にいたハーレムおじさんの悲鳴とともに勢い良くドアが開いた。
「ハナちゃん!」
そこには、金髪に猫耳のはえた女性。
そう、ボクのお母様が立っていた。
「お、おかあしゃまミャ?」
「ハナ!」
「お母様ー!」
お母様はボクを抱きしめて頭をナデナデしてくれた。
そうだ、どうして忘れていたのだろう。お母様は邪神を倒すためにダンジョンに行っていたのだ。それからもう3ヶ月もたっていた。
「お母様、帰ってくるの遅いミャ、遅すぎるミャー」
「ハナちゃん、ごめんニャ」
「おかえりなさいミャ」
「ただいま……ニャ」
猫耳の親子はいつまでも抱きしめあっていました。
「今度お父様に会わせてあげるニャ」
「ミャッ!?」
お父様!?