裸の姫様大活躍!
「攻撃手段がなくなってしまいましたね」
アマテラスさんが無意味な特攻に撃沈したため、砲台の役割が居なくなってしまった。
「彼女にチームプレイを求めた地点で間違いだったか……」
「接近してくれたらアタイが剣で叩くよ〜?」
「近付いたらさすがに避けれないよ」
剣が届く様なゼロ距離で魚雷を射たれら避けるのは不可能だ。だからアマテラスさんが居ないと困るのにどうしたものか。
「このまま、誰かが倒してくれるまで逃げ回るしかないのでしょうか?」
今この間にも他プレイヤー達の魚雷でボスのHPは減り続けて居る。
「どうやら今回は僕達の出る幕は無いみたいだね」
「採掘をしながら待ちましょう」
そんな会話をしながらグルグル動き回って攻撃を避けていると、画面端の入り口から2人組のプレイヤーが入ってきた。アマテラスさんが居なくなって定員に空きができたから入って来たのだろう。
僕は、2人組の1人を見て驚いた。
「A女王!?」
そう、ゲーム内に囚われているハズのA女王だったのだ。
「お母様に、……お父様!?」
エヒメちゃんが叫んだ。
「お父様って王様!?でも10年前に死んだんじゃ!?」
娘であるエヒメちゃんが言うなら間違いないだろう。……あれ?でも女王様、何だか見た目が若いしプレイヤー名がヒメって何だ?王様はタケル?王様の名前は確かリョウだったハズだよな?しかも何も装備してないんだけど何しに来たんだ?
そして何故か2人が来た途端にボスの攻撃が止まった。
『……その姿はミスターリョーニャ?』
「潜水艦のボスが喋った!?」
「まさかそんな!?」
僕とツクヨミさんが驚いていると、潜水艦が王様の前に浮上して中から金髪に猫耳の女性が飛び出して来た。潜水艦ボスを操縦していたのはゲーム内に囚われている四天王リーペだったのか!リーペニャンコラボイベント中に戦う事になるとは何という偶然なんだろうか…………多分これはカカシちゃんの策略だなきっと。
「本当にミスターリョウニャ!会いたかったニャー!産まれた娘に会って欲しいニャ〜!」
「え!誰!?」
四天王リーペに抱きつかれて王様はビックリして固まっている。
まさか自分の側室の顔も忘れたの?
その時だった。
カッ!!!!
「ニャーッ!!?」
他のページのプレイヤーが閃光発音筒を使った様で、四天王リーペが気絶した。
「何ひとの彼氏にベタベタしてるのよ!このドロボウ猫ぉー!!」
隣に居たヒメというプレイヤー名の女王様が怒り狂って凄いスピードでリーペを殴り始めた。
「お母様!支援します〜!」
《Lv30ダッシュダッシュ!》
エヒメちゃんの支援を受けた女王様は、10倍近いスピードに加速して殴り続けた。
「うわっ!?何だこのスピード!バグか!?」
「いえ、これは素手だと攻撃スピードが速くなる事を利用している戦法です。防具も外せば格段に速くなりますが全ステータスが1になるので一撃でも食らえば即死するのでやる人はあまりいません。私も昔、遊びでやってた時期がありました」
僕の疑問にツクヨミさんが答えてくれた。下着姿で探索するツクヨミさんとか一度でいいから見てみたいよ。
一応僕もこのゲームをリニューアルしただけあってステータスの仕組みは知っている。
速度と攻撃スピードの数値の関係だが、速度が1.3倍に上がっても、単純に攻撃スピードがそのまま1.3倍になるわけではない。速度の数値が上がるほど1発の攻撃にかかる時間が少しずつ0秒に近づく仕様になっている。
例えば、剣を持って1発2秒かかる状態で速度1.3倍にしても1発1.9秒位にしか上がらないが、最速で攻撃できる素手で裸の状態なら1発0.1秒が0.01秒になり、何と10倍の攻撃スピードになるのだ。
素手は攻撃が1で1発1ダメージしか与えられないとは言え、1秒間に100発のスピードで殴り続けているとリーペのHPもどんどん削れていく。
「タケルは私のモノだーっ!どりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃおりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
気絶状態の四天王リーペをボコボコにしていく。もう彼女は大量の1という数字に囲まれて姿が見えない。王様はその後ろで呆然として何もしないで突っ立っている。
ドカーンッ!
ついにリーペのHPが無くなり潜水艦ごと爆発して沈んで行った。
「タケルに近づくオンナは死あるのみよ!」
女王は謎の決め台詞を放った。