サラちゃん仲間を発見
培養ポットを買うか悩んけど、1000Pなら水晶100個位売れば買えるので、採掘を頑張ってポイントを貯めるにした。
それだけポイントがあれば結構色々買う事もできるのだけど、やっぱり新しい合成が気になる。
ショップを見ていて気付いたのだけど、培養ポットの他に、溶鉱炉、大工道具、製薬キット、ミシン、神気結晶などアイテム制作に必要な物が売っている。前作は最初から合成がメニューに表示されていたのに、ダンジョンを作ろうでは、メニューには表示されて無い。
培養ポットの説明を読むと、MYダンジョンに設置してタッチすると使える様だ。
何が言いたいかと言うと、はじめたばかりの初心者は、探索に行って魔物を攻撃して倒す単純作業しかできないのだ。もちろんダンジョンも作れるけど最初から持っているパーツで作って終わり。
そのおかげで難しいシステムに悩む事なくこのゲームに慣れていく事ができる。
そして集めたアイテムを売って装備を買ったり、ダンジョンパーツを買ったり、合成アイテムを買う事によって新しいシステムを少しずつ使える様になっていくという仕組みだ。
しかも、何を買うかで1人1人できる事が違ってきて、高い自由度で自分だけの役割を見つけて活躍する事ができるのだ。
最近のスマホゲームだと、機能がシンプル過ぎてすぐ飽きる物や、機能が多過ぎて意味がわからない物が多い。なので、この様にプレイヤーの都合でシステムを拡張していけるのはとても理にかなっている。
そんな風にゲームを分析しながら1〜4階を往復していると見覚えのある猫耳プレイヤーを発見した。何かいつもと凄ってキビキビとした動きで必死な感じが伝わってくる。スポンサーに怒られて実況動画録り直してるのかな?
「ハナちゃんおつかれー頑張ってるね。実況ライブ中?」
「え?あ、サラちゃんかミャ。録画してるけどライブじゃなくて後で編集して投稿するから大丈夫だミャ。やっぱりゲーム好きのサラちゃんもプレイしてたんだミャ」
「実況って1回だけって話じゃなかったけ?さっき全然ゲームしてなかったからスポンサーに怒られたの?」
「違うミャ。ファンの子に観たいってお願いされたから続ける事にしたミャ」
無口なサラだけど、ゲーム内でのメッセージなら普通に話せる。
それにしても、おじさん視聴者達のせいでやる気を無くしかけていたハナちゃんがファンの為に頑張るとか不思議。子って言ってたから同年代のファンができたのかな?最近おじさんばっかりだったから、それだったら良い事だね。
そんな事を考えながら採掘をしていると、ハナちゃんがアメーバを1撃で爆破した。
何あの攻撃力!?
ハナちゃんの武器をじっとみてみる。
「ハナちゃん、RPG買ったの!?それショップに売って無かったよね?」
RPG、ロケット弾を打ち出す銃器だ。私の記憶が正しければ前作では、攻撃力50で範囲攻撃ができる中級武器だ。ショップで買うなら5万Pは必要で、はじめたばかりのハナちゃんが手に入る様な武器ではない。
「え?カカシちゃんがおススメって言ってたからショップに買いに行ったら普通にあったミャよ?今月のお小遣いとスポンサー料に貰ったお金、全部使っちゃったけどミャ」
たまたま誰かが1個だけ作って売ったのを買ったのかな?
でも、中級武器を作るとなると材料がかなりキツイよね?いったい作った人は何者なのかな?
と言うより、ハナちゃんお金いくら使ったの!?ハナちゃんってゲームで実況はするけどお金は全く使わない無課金プレイヤーだったハズなのに、どう言う心境の変化なの?お姉さんちょっと心配だよ!
色々謎で凄く気になったけど、この武器があるならアレができるかもしれない。
「ハナちゃん!いっしょに5階行かない?」
サラのツルハシや他のプレイヤーの初心者の剣じゃ倒せない毒アメーバをハナちゃんに倒してもらってボス部屋を突破しようという事なのだ。分裂する毒アメーバも範囲攻撃ができるRPGなら簡単に倒せる。
「ミャー?よく分からないけど楽しそうミャ!レッツゴーミャ!」
サラとハナちゃんは5階に向かった。
その頃、イズモビルのオフィスでは。
「ヤマヒコさん!ツルハシ売れました!」
「え!?1万以上するのに売れたの!?」
「はい、採掘の魅力に気づいたのでしょうね。ツルハシの売り上げを入れて、配信開始から合計15万チャージされています。これなら1日で20万位行きそうです」
「1ヶ月で600万の収入か!余裕で借金返せるね!」
「いえ、初日だから人が多いだけで数日後には人がかなり減るのでそこまでは行かないと思います……え?RPGという武器が6万で売れてます、これはまだ誰も作れないはずなのですが……」
《ワタシガ改変デ作ッテ売リマシタ。中々良イ儲ケデス》
壁ディスプレイにカカシちゃんが映った。笑顔なのに何故か悪どい表情に見える。
「カカシちゃん、まさかあの実況の子に買わせたの!?」
「カカシちゃん、流石です」
ちょっとカカシちゃんの事が怖くなったヤマヒコだった。