もはや別のゲームだよね?
エヒメちゃんと僕は、テストプレイでダンジョンを作ったり探索したり発掘してみたりした。
はじめて作るゲームなだけあって、いくら直してもキリが無いくらいあちこちに不具合が見つかった。
見つけるたびに月読命さんが脅威のスピードで直してくれるからなんとか進んでるけど、普通の人間だったら何ヶ月もかかってしまいそうだ。
そしてテストプレイをしていくにつれて、ある疑問が確信に変わっていった。
「月読さん、このリニューアルをしちゃうと、全く別のゲームになってしまうんですけど本当に大丈夫なんですか?」
そう、相場システムや採掘システムはまだギリギリ大丈夫だったけど、ダンジョンを作ってプレイヤー同人で攻略するのがゲーム目的になっている地点で、もう元のダンジョン探索ゲームとは別物になってしまっていたのだ。
「私も薄々気付いてはいたのですが、そう言われると確かにそうですね。今は誰もこのゲームをプレイしていませんが、過去にガチャガチャをしたプレイヤーさんも沢山居まので、いきなりガチャガチャを廃止すると問題になりそうですね。それに、天の岩戸ダンジョンを企画したのは姉の天照姉様なので、勝手にリニューアルしたら激怒して現実世界を滅ぼしかねないです」
「まっ、マジですか……」
世界を滅ぼすって、アマテラスさんどんだけゲーム好きなんだよ?
「じゃあリニューアルできないんじゃ」
「そうですね……、1回サーバー代が払えなくて終了しているので、自然な感じにサービスを終了するだけなら大丈夫だと思います。なので、リニューアルではなく、新しいゲームとしてサービス開始した方が良いかもしれません」
「え?でもそれだとゲームに閉じ込められている兄貴達が助からないんじゃ?」
「おそらく大丈夫です。Hey!!カカシちゃん!」
月読さんは声をあげて手をパンパンと叩いた。
《ハイ、ゲームアプリケーション【天ノ岩戸ダンジョン】ノサーバー使用領域ニ、新シイゲームヲ上書キスレバ大丈夫デス》
「うわっ!」
急に壁にカカシちゃんが表示されて喋った。と言うか僕達の話を全部聞いているのか何か怖いな……。
「だそうです。新しいゲームとして発表しましょう。まだ広告宣伝も開始してないので間に合いますよ」
新しいゲームか、僕達で作ったゲームが世に出るのってなんだかドキドキするな。
「そういえば、新しくなるなら名前も考えないないといけないのかな?」
「そうですね。天の岩戸ダンジョンとは別物なので名前も変えないといけませんね」
うーん、名前、なまえ……
「天の岩戸ダンジョン2とか?」
「ダンジョンを作ろう〜!」
急にエヒメちゃんが両手をあげて叫んだ。
「いや、それは適当すぎでしょ」
「しかし、ゲーム内容は分かりますね。私なら【採掘ツルハシ!】にしますけどね」
いやいやいや、それこそないから!何で採掘をメインにしてるの?
「ダンジョンを作ろうか……」
意外とありかもしれない。前世の世界で【〜を作ろう】って名前のゲームが沢山あって結構人気あったもんなあ。分かりやすいのが1番なのかもしれない。
「よし!じゃあ、名前を【ダンジョンを作ろう!】にして、サブタイトルで名前の頭にに小さく【天の岩戸】って書いておこう。過去に天の岩戸ダンジョンをプレイしたプレイヤーも来るかも知れないし、MYダンジョンに引きこもってダンジョン作りを楽しむって意味だって言えば宣伝の時に使えるからね」
「天の岩戸ダンジョンを作ろう!ですか。本当にそのままですね。変にひねっても意味が分からなかったら意味がないですし、良いかもしれませんね。これで行きましょう」
「よし!ダンジョンを作ろう!絶対成功させるぞー!」
「「「《おー!!!!》」」」
全員で声を合わせ、オフィスは活気で満ち溢れた。