カカシ
オフィスの窓は全てシャッターが閉まってしまい外が確認できなかったが、壁全面がディスプレイになって外の様子を映し出した。
村の外壁の向こうでお祖父ちゃんが大量の魔物を蹴散らしている。強いだろうと思ってたけど、まさかこれほどとは。
《ミサイル発射シマス。甲板ニイル乗組員ハ艦内ニ戻ッテクダサイ》
「ミサイル!?」
「ヤマビコ君どうしよ〜!何もしてないのに勝手に動いてるよ〜!」
ディスプレイに大慌てなエヒメちゃんが映っている。
《チートシースーパローミサイル、チートスタンダードミサイル発射》
謎の放送が流れると、ディスプレイの映像が切り替わりイズモビルの壁面が開いて大量のミサイル飛び出すのが映し出された。
飛び出した大量のミサイルは大量の魔物達へ飛んでいき。
「あっ!お祖父ちゃん!!」
お祖父ちゃんごと魔物達を吹き飛ばし外壁は壊れ火の海となった。
映像がズームされてボロボロになったお祖父ちゃんが映った。少し動いていてまだ何とか生きている様だ。
しかし、そこに生き残った魔物が押し寄せて来た。
《魔物ノ反応ガマダアリマス。ミサイル発射シマス》
「うわーっ!エヒメちゃん止めて止めて!お祖父ちゃんが死んじゃうよ!」
「ミサイルやめて!ミサイルやめて〜!」
《了解シマシタ。ミサイル発射ヲキャンセルシマス》
何かよく分からないけどミサイルを止められた。
お祖父ちゃんを見たらボロボロになりつつも剣を振って魔物を倒していた。
しばらくすると魔物が全て倒されたのを確認できたのか窓のシャッターも空いて元どおりになった。
外壁は村人達が消火しはじめていて早くも復旧作業をはじめている。お祖父ちゃんは村人に囲まれて指示をしていた。戦ったばかりなのに大変だなぁ。
「ごめんね……」
シャッターとかは元に戻ったけど壁にはいまだにエヒメちゃんが映っている。
「いったい何があったの?ビルからミサイルがでるとか意味が分からないんだけど」
「うーん、多分ここはビルの最上階なんだけど、うん実はビルじゃないみたいで、う〜ん、言葉で説明するのは難しいからここに来て」
「え?そこめちゃくちゃ高い階でしょ?変な機械も襲ってくるんでしょ?無理だよ」
「機械はもう襲ってこないよ?ちょっと待って、カカシちゃん、ヤマビコ君達をここに呼べる?」
カカシちゃん?
《エレベーターヲ使エバ直グデス。エレベーターノロックヲ解除シマスノデ。コチラノ地図ノ場所マデ来テ下サイ》
壁のディスプレイに地図が表示された。階段の横に赤い印が付いている。
「あれ?ここって柱があるだけで何もなかったような?」
「試しに行ってみましょう」
月読命さんが印の場所に向かったので僕も付いていく。
「やっぱり柱しかないよね」
印の場所はやっぱり柱で何もなかった。
「いえ、これはおそらく……」
月読命さんが柱に触れるとポーンッと音がして柱が開いた。エレベーターだ。
隠しエレベーターかよ!
「ヤマビコさん、行きましょう」
僕達が乗ると勝手にドアが閉まって動き始めた。
「うわっ!耳がキィーンてなる!」
「凄い速度で上昇しているのでしょうね」
月読命さんは平気そうにしている。
ポーンッ
最上階に着きドアが開くとそこには大量の黒い大きな箱の様なサーバーコンピュータが並び、壁面に横幅20mはあろう巨大なディスプレイがあった。
「ヤマビコ君〜!」
「うわっ!」
ディスプレイの前にいたエヒメちゃんが僕に飛びついてきて吹っ飛ばされそうになった。後ろにいた月読命さんが支えてくれたので倒れずに済んだ。
《イズモ戦闘指揮所へヨウコソ》
「あれ?キミは」
巨大ディスプレイからカタコトな喋り方の音声が聞こえたので見てみると見覚えのあるキャラクターが表示されていた。
「カカシちゃんだよ〜」
エヒメちゃんが指差したディスプレイには、天の岩戸ダンジョンのゲーム説明のキャラクター、カカシちゃんが映しだされ、相変わらず貼りついた様な笑顔がユラユラ揺れていた。