お風呂
「暖まる〜」
「お風呂なんて初めてです」
超広い湯船にエヒメちゃんと月読命さんが入っている。
実はこの風呂、男女に分かれていない。なので僕は凄く離れた湯船の反対側に入っている。僕とエヒメちゃんはまだ10歳だし、年齢的にはギリギリ大丈夫なのだが、月読命さんは大人だし、10歳と言っても転生前は学生だったので精神的にはアウトだ。
しかし、服が泥水でベトベトすぎて待てなかったし待たせるのは申し訳ないと言う事で一緒に入る事になった。
視界の端に薄っすら月読命さんが見えるけど、100mはある距離と湯けむりでよく見えない。安心だけどちょっとだけ惜しい気持ちになった。
「わぁ〜、大っきいですね〜。アタイなんてペッタンコです〜」
「まだ10歳なんですよね?これから大きくなりますよ」
何か気になる会話が聞こえてくるけど気にしない……。
「凄いモチモチです〜」
「ふふっ、エヒメちゃんも柔らかいですね」
なっ!何をしているのだろう?気になってしまう……。
僕は無意識のうちに、ジリジリとエヒメちゃん達の方へ近づいていた。
「びにょ〜ん」
「むー、仕返しです」
「あはははっ」
あとすこし、あとすこしで何をしているか確認できる!
その時だった。
「山幸彦ちゃん!良く来たのじゃ!おじいちゃん嬉しいぞ!!」
「「キャアア!」」
バーン!と扉を開けて筋肉ムキムキな老人が入って来た。僕のお祖父ちゃんだ。何でこんなタイミングで……。
悲鳴のする方を見ると、エヒメちゃんと月読命さんが ほっぺたを引っぱりあっていた。本当に何をしてるんですか。
「あぁエヒメちゃんもいたのじゃったな、もう10歳だから恥ずかしかったかな?……あれ?」
お祖父ちゃんが月読命さんを見ると会話を詰まらせて震えだした。
「お久し振りです。スーちゃん」
「姉上!いつ黄泉にいらしたのですか!?」
えっ?お祖父ちゃんのお姉さん?
月読命さんは、お祖父ちゃんに手を小さくふって、お祖父ちゃんはビックリして固まっている。