2つの難題を解決せよ
「アマテラスさんが女神?」
「この世界、黄泉にも女神が居たのはご存知ですよね?」
女神、僕の両親やエヒメちゃんの両親が10年前に倒したと言う、人類を操っていた存在だ。
「黄泉の女神は道を踏み外して暴走してしまった為に黄泉を追放されてしまいましたが、女神とは本来、世界を見守る存在。お姉様は現実世界の女神です。ちなみに貴方がたが邪神と呼んでいるのは私達の母でもある黄泉の女神の分身で、ご存知の通り魔物達を守る存在で、魔物を狩る人類を敵視しているので、ゲーム経由で少しずつカカシちゃんを改変して人類を攻撃するつもりなのでしょうね」
「なるほど、カカシちゃんってミサイルから電気、ガス、水などのライフラインも制御しているからそこを狙っているのか、ところでアマテラスさんは何故このゲームを作ったの?このゲームが無かったら邪神に入り込まれる事も無かったと思うんだけど」
僕がそう言うと、月読命さんは溜息をついた。
「天の岩戸ダンジョンは、ゲーム好きのお姉様が自分が主人公のゲームを作りたかったから私に作らせたものです。でも、この黄泉が心配で少しでも関わりたかったと言うのもあったと思います。黄泉から女神が居なくなって人類を守る存在が不在ですからね」
さすがゲームマニアだな、この世界を心配してくれるのは嬉しいけど、僕をダマした位でヘコんで引きこもるなよ。
「太陽が隠れている理由は説明すると長いので、気になったら、小説【異世界の住人が皆チート過ぎてチートがチートになってない件について】を読んでください」
「え?何?今何かおかしな事言わなかった?」
「いえ、きっと気のせいです」
そうか、何か小説がどうのとか言ってた気がするけど気のせいか。
「さて、色々飛ばして説明すると、太陽を元に戻すにはゲーム内に100万人集める必要がある。ゲーム内の邪神を倒さないとミサイルが街を襲ったり、電話、電気、ガス、水がストップして人類が絶滅の危機に落ちいります」
「うーん、2つも同時に面倒な事が起きてるわけか。アマテラスさんはまだ何日か放置しても大丈夫そうだけど、邪神の方は緊急性が高いね」
「そうですね、邪神の方は倒せばいいから話は簡単なのですが、さっき戦った感じからすると最強装備三百人で勝てなかったので、今お姉様が頑張ってゲームしてますが無理でしょうね。今のゲーム内に存在する装備では1ダメージしか与えられず、技を使うと反射されてしまう状態です」
「確かに、邪神の分身が大量にいて倒しようが無い感じだったよな。じゃあアマテラスさんの太陽の件を先に進めた方がいいのかな?100万人だっけ?」
100万人、僕が住んでいた都市の人口とほぼ同じ人数だ。しかし、現実世界の人間もプレイしているなら不可能ではないはず。転生前に、ゲームの宣伝で100万人突破って書いてあるのを見たことがある。
「それも、難しいでしょうね。なにせヤマヒコさんが来た時、プレイヤーは私とお姉様だけでしたから」
マジか!?いや、確かに色々ゲームシステムおかしかったし人気でなさそうな雰囲気だったもんな。
「100万人、遠いな……もうアマテラスさんには天の岩戸ダンジョンやめてもらって、他の人気ゲームやってもらった方が早そうだね。絶対言うこと聞かないだろうから無理だけど」
ん?他のゲーム?今の装備だと邪神を倒せない……あっ!!
僕は素晴らしい解決方法を閃き目を見開いた。
「ヤマヒコさん?どうかしましたか?」
「今のゲームシステムでダメなら1から作り直せばいいんだよ!装備も強い物を作ればいいし、面白いゲームにすればプレイヤーも増える。邪神が分身を使って来ようとも100万人で攻撃すれば楽に倒す事ができる!どう?月読命さん!一緒にゲーム作ってくれないかな?」
僕は月読命さんの両手を握りしめ、目を見つめた。
「ヤマヒコさん、素晴らしいです!邪神の影響で消せないボスのデータを残したまま、リニューアルとして他を全く新しいゲームにする事は可能です!私、いつもお姉様の言う通りにしかプログラミングした事がなくて、自分のゲームを作ってみたかったんです!作りましょう!2人で!!」
「お腹減った〜。ご飯食べよ〜」
月読命さんと熱く見つめ合って盛り上がっている所に、グゥ〜とお腹を鳴らしたエヒメちゃんが起きてきた。せっかくいい所だったのに……。
そう思ってエヒメちゃんをにらんでいたら、僕と月読命さんのお腹がグゥ〜となった。
そう言えば昨日から何も食べてないや。