犬小屋
「んっ!?」
瞬間移動すると真っ暗で凄く狭い空間にでた。
手で触った感じ何か木箱の中の様な感じで身動きが取れない。
「ヤマヒコ君、ちょっとどいてくれませんか?」
下から声がしたので見たら、巫女服を来た女性の上に乗っかっていた。
「すっすみません!」
ゴンッ!
焦って天上に頭をぶつけてしまった。
「痛たた……」
僕はヨロヨロとフラつきながらもなんとか外にでる事ができた。
「家が狭くてすみません」
「えっ?」
話す女性の方を見てビックリした。
「天照ソフトって犬小屋なの?」
目の前には1.5mほどの木でできた小さな三角屋根の個屋があって、その中に彼女が座っていた。建物と呼ぶには小さすぎるし、物置きとかより小さく、犬小屋と呼ぶにふさわしい大きさだ。
「犬小屋とは失礼な、これでもれっきとした御堂ですよ。私の家です」
御堂って地蔵が入ってる小さい小屋の事か。と言うか住んでるの!?
昔、外国人が日本の家を見て兎小屋だと言ったらしいが、そんななまやさしいレベルじゃない。
「すみません取り乱しました。瞬間移動するなら外でするべきでしたね。改めまして、自己紹介します。天照ソフト、プログラマーの月読命です。よろしくお願いします」
月読命は、小さな御堂の中から正座で礼儀正しくお辞儀をした。長い黒髪がサラリと落ちて美しい。
「山幸彦です。よろしく」
僕もつられてお辞儀した。
「本当はゆっくり話したい所ですが、緊急事態なので単刀直入に話します」
僕は月読命をみて何を言うのか気になって身構える。
「お金をください!」
「はぁ?」
予想外の言葉に僕は思考が停止した。