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異世界転生したら詰んでいた

僕が何故、異世界に転生したのにゲームを作る事になったかというと、事の始まりは、サーバーダウン事件より3ヶ月前までさかのぼる。


薄暗い農村の広場には、広場いっぱいに置かれた酒樽を全て飲み干し泥酔している魔帝ヤマタノオロチが酒樽を枕にして眠っていた。


僕は隠れていた民家から飛び出して、魔帝ヤマタノオロチの頭に全速力で駆け寄り、手に持った剣、天羽々斬あめのはばきりで龍の首を跳ねた。


しかし、龍の頭はあと7つもある。僕は走り回って次々と切り落としていく。


画面に表示されるタイムリミットが刻一刻と近づいてくる。急がなくては。


そして、最後の1つを切り落とそうとした瞬間!


ブーン!ブーン!ブーン!


ゲームをしていた僕のスマートホンに着信が入り、ゲーム画面が消えてしまった。


僕は怒りを抑えつつ通話ボタンを押した。


『やっほー!ヤマビコくん元気〜!?』


聞き慣れた幼馴染の声が耳に響く。


「エヒメちゃん酷いよ!もう少しでボスを倒して最強武器の天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)をゲットできたのに!」


『え!?天叢雲剣なら(アタイ)が持ってるけど?』


「違うよ!ゲームの話だよ!」


そう僕、山幸彦(やまさちひこ)はゲーム、スマートホンでできるゲームアプリをやっていたのだ。


トラックにひかれて異世界転生した僕は、赤ん坊時代、大きくなったら勇者になって大冒険するのだと夢見ていた。


しかし、10歳になった今、僕には力も魔力もスキルもなくて、しかも街の外にいる魔物達はチートスキルという反則的なスキルを持っているので、冒険なんて自殺行為にしかならないという現実を知ってしまい、仕方なくゲームの世界で冒険をして自分を慰めているのだ。


『な〜んだ、ゲームかぁ〜。そんな事よりダンジョンにレベル上げに行かない?あっ、現実のダンジョンね?ゲームじゃないよ?』


彼女、A姫(エヒメ)ちゃんは、僕の住んでいるヤマト大国のお姫様だ。


さっき言っていた天叢雲剣は、彼女の王家にまつわる三種の神器の1つで、彼女はそれらの3つの最強装備を使って冒険する、いわゆる勇者ってやつで、何故か幼馴染の僕を冒険に連れて行こうとしつこく誘ってくる。


「僕がダンジョンなんて行ったら死んじゃうよ!Lv10まであげたのにHP3だよ?攻撃がかすっただけで即死だよ!」


『はぁ〜、Lv100位まで上げればHP30になるよ〜、一緒に頑張ろ?』


「HP30くらいじゃ全然足りないよ!それに何十年かかるのそれ!?」


最強装備を持っていてLv60で、力も魔力も高い彼女には、僕の気持ちなんて分からないんだ。


実際、街のほとんどの人は冒険なんて危険な事はしていない、むしろゲームしている人の方が多いくらいだ。


異世界に転生した時は、異世界じゃなくて現実世界に転生したんじゃないかと思ったくらい科学技術が発展していて、街並みもビルが建ち並んでいたから、母や自分が兎耳じゃなかったら異世界と気付けなかったと思う。


そして、このスマートホン。


ゲームなどのアプリの配信もあって、なんと、瞬間移動(テレポート)が使えるのだ、現実世界よりむしろ技術が発展している。


『ちょっと!聞いてるの?……もう!今回はアタイだけで行くけど、ヤマビコくんは世界を救った英雄の子供の1人なんだからね?今のうちに力を付けておかないと後悔するんだから!』


エヒメちゃんは、言う事を言うと通話を切った。


この世界の僕の両親は、僕が生まれる前に、エヒメちゃんの両親とともに、世界を救った英雄で、父はこの国の総理大臣をやっていたのだけど、働きすぎて死んでしまった。


今は父に変わって、僕の母や兄達が政治を行っている。


でも僕は陸軍の将軍で、陸を守る勇者という立場なんだけど、激弱な僕が冒険にでたら即死するに決まっている。


それに、僕が居なくても四天王と呼ばれる、僕の親達とともに世界を救った超強い4人組が国を守ってくれているから安心だ。


よって僕は、家に引きこもって毎日スマートホンで冒険(ゲーム)をしている。

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