重課金プレイヤー
「八咫鏡だけ出なかった」
6万円も払ったのに三種揃わないとかこのガチャガチャ、ボッタクリだろ。
「残念でしたね。神器が二種あるのなら殺人粘液をあげるから、ひとまず50階まで行けるので急ぎましょう。それまでに追いつけなかったらまたガチャガチャをして進めば良いですし」
「なるほど、ありがとうございます」
ひとまず天叢雲剣+5と八尺瓊勾玉+2を合成で作って、アマテラスさんから天叢雲剣の耐久を回復させる殺人粘液を900個貰った。
「こんなに貰っていいんですか?」
「いいのよ、先行投資だから」
「えっ!?」
「意味はないから気にしなくていいわよ」
何か引っかかるけど今はそんな事言ってる場合じゃない。急いで進もう!
大火炎!大火炎!大火炎!
走る先の魔物を全てアマテラスさんが倒してくれた。ツクヨミ先輩が見たら、自分で倒さないと意味がないって怒ると思うけど今は仕方ない。
そして、25階にたどり着いた。
25階は木が生い茂る爽やかな雰囲気の森だったが、急に画像が乱れて森の様子が一変してオドロオドロしい色の森に変わった。
「え!?おかしいわ。この階はこんなグラフィックじゃないはずよ!バグかしら?」
アマテラスさんが何かつぶやいているが気にしている暇はない。僕は部屋の中央に移動してボスと向き合った。
キシャーッ!
ボスは猛毒蜘蛛という巨大な魔物だった。
名前通り蜘蛛の姿をしていて、足元を見ると蜘蛛の巣が隙間なく張り巡らされている。スキル効果を無効にする八尺瓊勾玉を装備してなかったら動けなくなる所だった。
「てやっ!」
シュッ!
「はっ?」
攻撃したら高速で避けられた。
「てやっ!おりゃっ!どりゃっ!」
シュッ!シュッ!ザクッ!
「うわぁ!」
連続で斬りかかるが全部避けられて、爪で反撃してきた。体力が半分も減ってしまった!
「いや、おかしいでしょ!20階からいきなり強くなりすぎだよ!」
大火炎!大火炎!大火炎!
ギシャーッ!!
アマテラスさんが猛毒蜘蛛に炎を放ち燃やした。
ギシャーッギシャーッギシャーッ!
猛毒蜘蛛は炎の中でダメージを受け続け倒れ、消えて行った。
「ふぅ、何とかたおせました。ボスの蜘蛛も変わってしまっているのね。ちょっと原因を調べて来るから、ガチャガチャをして装備を強化して待っていて。この様子だと先の階がカオスな状態になっているかもしれないわ」
やはり通常はこんなに強くないのか、一体何が起きているのだろう?もしかしてエヒメちゃんがゲームの中にいるのに関係があるんじゃないかな?
僕は考え事をしながら2000ダイヤ購入してガチャガチャを400回まわした。
《ノーマル》石ころ×96
《ノーマル》木の枝×104
《ノーマル》銅鉱石×30
《ノーマル》ツルハシ×20
《プチレア》ヘルメット×30
《プチレア》鉄鉱石×22
《プチレア》殺人粘液×20
《プチレア》鰐鮫肉×14
《プチレア》革の靴×24
《レア》鉄の鎧×12
《レア》鉄の靴×10
《レア》大蛙の水かき×8
《激レア》天叢雲剣×10
また八咫鏡でなかったよ……。
僕は知らない間に複数のアイテムを揃えないといけないコンプリートガチャにハマって、大量のお金をゲームに使う重課金プレイヤーになっていくのだった。