アマテラス
エヒメちゃんを追いかけて来た先に、真っ赤なポニーテールに炎の様な模様の着物を着たプレイヤーがゴウゴウと燃える部屋の中に立っていた。
「で、エヒメって誰なの?」
どこかエヒメちゃんに似てるけどエヒメちゃんじゃない。プレイヤーの頭上には【アマテラス】と表示されている。
「友人のエヒメちゃんとツクヨミさんが居た気がしたので、追いかけて来たのですが、見間違えでしたすみません」
「ツクヨミ……?」
アマテラスはツクヨミと聞くと少し考え事をしはじめた。
「あぁ、ツクヨミ達ならさっき通り過ぎて行ったわよ。99階を目指しているって言っていたわ」
「やっぱりエヒメちゃんが居るの!?えっ!99階!?」
一瞬アマテラスがニヤリと笑った気がしたけど、ゲームのプレイヤーに表情は無いので気のせいだと思って気にしなかった。
それより早くエヒメちゃんに追いついて話を聞きたい。
でもさすがに99階まで今の装備では行けない。最後の1本の天叢雲剣も折れて無くなるはず。でもゆっくりしていると間に合わない。どうすればいいんだ……。
「装備が無いなら課金すれば良いわよ」
「えっ?」
アマテラスさんが急に話して来てビックリした。僕の心が読まれている?
「貴方の今の装備ではせいぜい30階が限界。でもお金がかかるけど課金してダイヤでガチャガチャをすれば装備は揃うわよ。三種の神器を+10まで強化すれば確実に追いつけるわ」
なるほど、今はゲームに現実のお金を使うのはもったいないとか言っている場合じゃない。すぐガチャガチャをして追いかけよう。
そう思ったが、自分がお金をほとんど持っていない事に気付いた。
しかもゲームアプリでお金を払うにはクレジットカードをスマートホンに登録する必要がある。クレジットカードなんて1枚も持ってない。
そう思いながら、ガチャガチャ画面のダイヤ購入ボタンを触っていたら。
《100ダイヤを1万金で購入しました》
と表示されてダイヤが100個増えた。
あっ!そういえば兄貴のスマホだった!
さっき、兄貴は間違えて僕のスマホを持って行ってしまい、代わりに兄貴のスマホでゲームをしていたのだった。
つまり、兄貴のクレジットカードでガチャガチャができる。
兄貴は、僕と違って働いているのでかなりお金を溜め込んでいるはずだ。よし!王国の姫を助けるためだ、いくら使っても文句は無いハズだ。
《1000ダイヤを5万金で購入しました》
まとめて買った方が1個あたりが安くなるので最大のダイヤ1000個のボタンを押して、ガチャガチャを回し始めた。今は1100ダイヤあるから220回まわせる。
結果は、
《ノーマル》粘液×52
《ノーマル》猪肉×48
《ノーマル》銅鉱石×15
《ノーマル》ツルハシ×10
《プチレア》ヘルメット×15
《プチレア》鉄鉱石×14
《プチレア》殺人粘液×16
《プチレア》瓜坊肉×18
《プチレア》革の靴×12
《レア》鉄の鎧×5
《レア》鉄の靴×4
《レア》亀の甲羅×6
《激レア》天叢雲剣×3
《激レア》八尺瓊勾玉×2
あぁ惜しい!あと八咫鏡さえ出たら三種セットの特殊効果で武器の耐久が減らなくなるのになぁ。