瞬間移動
「ヤマビコ君……逃げて……」
脚から血を流すエヒメちゃんが、僕をかばうように立って天叢雲剣をかまえた。
「「「ふふふっ「ふふふふふふっふふふふふふふ「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」ふふふふふふ」ふふふ」」」
僕らの周り全体を不気味な笑い声がこだまして数えきれないほどの邪神に周りを囲まれた!!
「アタイが耐えるから、瞬間移動して……早く!」
「あっ!はい!」
僕は急いで兄の海幸彦に電話する。
トゥルルルルトゥルルルル
早くでてくれ!
「キサマ!あの愚か者の娘か!その勾玉の神器がチートスキルを遮断するのは知っている。だが、物理攻撃なら防ぎようがなかろう!」
大量の邪神が手に持った武器を投げてきた。
ギィンッ!ガッ!カーン!
エヒメちゃんが飛んでくる武器を叩き落としていくが、次第に間に合わなくなってくる。
『もしもしヤマヒコか、どうした?』
電話が繋がった!
僕は画面の瞬間移動ボタンを押した。
《テレポートしますか?YES・NO》
「YES!」
《カウントダウン開始します》
《5》
《4》
「エヒメちゃん!逃げるよ!捕まって!」
僕が叫ぶと、エヒメちゃんが振り返ってこちらに手を伸ばした。もう少しで手が届く。
《3》
「させるか!!」
グサッ!グサグサグサ!!
「ぐあっ!」
「はうっ!」
《2》
僕とエヒメちゃんに無数の剣や槍が突き刺さり、地面に縫い付けられた!身体中が焼けるように痛い!
《1》
エヒメちゃんに手を伸ばそうとしたが、あと少しで届かない。
「ヤマビコ君……、ごめんね……」
エヒメちゃんが、目に涙を溜めて僕を見つめていた。
《テレポーテーション》
「…………」
気付くと、僕は1人、自分の部屋で寝ていた。