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ダンジョンゲームを作ろう!

僕達、ゲームアプリ会社天照(あまてらす)ソフトのスタッフは、一縷(いちる)の望みを賭けて作ったゲームアプリ【ダンジョンを作ろう!】の配信開始時間を今か今かと待ち構えていた。


ここは人が死んだら転生して行く、いわゆる異世界。


こんなファンタジーの世界で僕達はゲームアプリを作って配信しようとしている。


何で転生してまでゲームを作っているかというと、とても長い話になるので、それはまた後にしよう。


「配信開始しました」


プログラマーの月読命(ツクヨミ)がパソコンとスマートホンを操作しながら、僕に合図を送った。


月読命(ツクヨミ)は、黒髪ストレートで着物を着ている大和撫子(やまとなでしこ)を体現した様な美少女だ。


ちょっとクールで言葉足らずな所もあるが、それはそれで愛らしいと思う。


このオフィスには僕達2人しか居ない、僕は、スマートホンの電源を入れて作ったゲームアプリ【ダンジョンを作ろう!】をダウンロードし、ゲーム開始した。


タイトル画面、ゲーム説明(チュートリアル)を飛ばし、ダンジョン作成画面に移動する、可愛くデフォルメされた女の子のキャラクター【カカシちゃん】が、ダンジョン作成の説明をしてくれるが、それも画面連打で飛ばして、5×5の25マスしかない小さなダンジョンに部屋を1つ作り、上りと下りの階段を設置して、最弱の魔物のアメーバを設置して完成ボタンを押す。


すると、Lv1と書かれたカカシちゃんが階段から降りてきて、アメーバを倒して下り階段を降りて行った。


すると画面に、ダンジョンLv1と表示され、公開しますか?と確認ボタンがでたので、OKを押す。


そして、ダンジョン監視画面に移動して待っていると、赤と白の巫女服を着たツクヨミというプレイヤーがダンジョンに入ってきた。


そう、このプレイヤーはこのオフィスにいる月読命が操作している。


このゲームは、ダンジョンを作って、他プレイヤーに探索させたり、他プレイヤーのダンジョンに行って探索したりして、プレイヤー間で交流できる、ソーシャルダンジョンメイカーゲームだ。今はまだ始まったばかりだから、大した事はできないが、プレイヤー同士で協力して魔物を倒したり、手に入れた素材で、魔物や罠や壁紙や地形などを作って、オリジナルダンジョンを作る事ができる。


ちなみに、素材を売ったり多くのプレイヤーにダンジョンを探索させる事によって、ゲーム内のお金【DP】(ダンジョンポイント)が溜まり、そのDPで装備やアイテムを買ったり、ダンジョンを広くしたりする事もできる。


ツクヨミはアメーバを無視して、壁の方を向いて採掘武器のツルハシで壁に張り付いた宝石を掘りはじめた。


「あれ?ツルハシって初期に買える様な値段じゃなかった様な?」

「あぁ、もちろん課金してショップで買いましたよ?」

「課金するの早っ!ツルハシだと確か1万DP位だから……、げっ!お前1万円も払ったのかよ!?」

「ツルハシのためなら1万円位安いですよ、ついでに巫女服を最大値まで強化したので採掘中に攻撃されても安全です」


素材収集マニアの月読命に頼まれて採掘システムを追加したのだが、ゲーム最初から採掘する位ならもっと色々やる事あるだろう。ダンジョン作ったりダンジョン作ったりとか。


「黒曜石が取れました、では次は向かいの壁を……」


ツクヨミが、僕が設置したアメーバを無視して、採掘を続ける。


おい、誰かちゃんと僕のダンジョンを探検してくれ、このままだと発掘ゲームになってしまう。


そんな事を思っていると、水色ツインテールで鎧を着たプレイヤーが階段から降りてきて、アメーバを剣で叩きはじめた。


「あっ、エヒメさんが来ましたね。初期装備のままだから中々アメーバを倒せないみたいですが」


プレイヤーを見た月読命がつぶやいた。


この水色のプレイヤーは、僕の幼馴染のエヒメちゃんだ。多分またリアルダンジョンで歩きスマホしているのだろう。危ない事するなぁ……。


彼女は勇者で、元々ゲームに興味がなかったのだが、僕がやっていたゲームに招待したら、結構ハマったみたいで最近はよく一緒にゲームをやったり、作っているゲームのアドバイスをして貰ったりしている。


エヒメが必死にアメーバを叩いていると、階段から赤いポニーテールで燃え盛る炎の様な着物を着たプレイヤーが降りてきて火魔法でアメーバを焼いて倒した。


「あっ、お姉様ですね!引きこもってるのに、やっぱりゲームだけはしているのですね」


このプレイヤーはアマテラス、月読命の姉で、この会社の元社長だった天照(アマテラス)さんが操作している。


僕が今、ゲームを作っているのは、全て彼女にハメられたせいなのだが、彼女自身が引きこもっているために、僕は怒りをぶつける事すらできないのだ。


アメーバを倒したアマテラスが、エヒメとツクヨミが居る事に気付いて下の階に逃げて行った。


しかし、何故か上の階段から僕のダンジョンに、アマテラスがまた降りてきた。


「あっ、誰もダンジョンを作ってないから下に降りてもループするみたいですね」


階段を降りると、同じレベル帯の別の人のダンジョンに移動する様になっているのだが、今は配信を開始してすぐで僕のダンジョンしかないから、降りてもまた僕のダンジョンに来てしまう様だ。


このゲームの前作は、プレイヤー人数がほぼ0人だったから、今回も誰もプレイしてくれない可能性がある……。


もしそうなったら僕は、借金地獄だな。


何か急に不安になってきた気持ちを抑えつつ、必死に逃げようとして階段を降り続けるアマテラスを眺めていると、2人知らないプレイヤーが入ってきた。


「おっ!?誰かゲームを始めてくれたみたいだ」

「その様ですね。まぁ、2人じゃ全然足りませんが」


月読命の厳しい指摘を聞き流して、入ってきたプレイヤーを観察していると、右上に表示されているダンジョン内のプレイヤー人数がバババババッと増えていった。


「よっしゃああ!!沢山人が来たぞ!今回のゲームは大成功するかもしれない!」


画面内には5人のプレイヤーしか表示されていないが、これはダンジョンがプレイヤーで一杯にならない様に、5人を超えると、同じダンジョンがもう1つ増えて、また5人超えるとダンジョンが1つ増える仕組みになっていて、ページと言うボタンを押すと、他のプレイヤー達が探索しているのを見る事ができる。


「これでやっと借金を返済できるなあ」

「やはり、採掘システムを追加したおかげでしょうか?」

「いや、まだ誰もツルハシ持ってないから」


僕と月読命が楽しそうに話していると、急にスマートホンの画面が真っ暗になりサーバーダウンした。


*サーバーダウンとは、ゲームアプリを動かしているサーバーコンピュータに負荷がかかり過ぎて止まってしまう事。

急に大人数のプレイヤーがゲームをするとたまに起こるよ。

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