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三種の神器

三種の神器は、

天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)八咫鏡やたのかがみ八尺瓊勾玉やさかにのまがたまの3つで、10年前の世界滅亡の危機では、エヒメちゃんの両親が神器を3つ揃えて、不正(チート)を人々に植え付け苦しめていた女神を倒したと聞かされている。


エヒメちゃんは、親から三種の神器を受け継いで、それを使って現実の(リアル)ダンジョンをどんどん攻略して行っている。


そして今、ゲーム内でエヒメちゃんが三種の神器を揃えて持っているという事実に僕とツクヨミさんは驚愕している。


「激レア、しかも神器を3つ同時に出す確率は、0.01%です」


うわっ!何て低い確率を引き当てたんだ。エヒメちゃんって、昔からやたら運が良いんだよね。僕は地道にツルハシとヘルメットを強化してきたのに、何か悲しくなってきた。


「そういえばエヒメちゃん、殺人粘液持ってないのに武器壊れないの?」


「えっ?何それ?」


「三種の神器は3つ揃うと耐久力が減らなくなるのです……」


「マジですか……」


それ反則でしょ。僕も3つ揃えればツルハシを使わなくても天叢雲剣使い放題じゃん。


「う〜ん、ゲームの事はよく分からないよ、適当でいいじゃない。さぁドンドン進もう!」


僕達は、エヒメちゃんに引っ張られる様にダンジョンを攻略していった。


僕はほとんどモンスターと戦えず、全部エヒメちゃんが倒していった。


そして30分もしない内に10階のボスまでたどり着いてしまった。ボスはウリ(オーク)という小さくて可愛い子豚さん、しかし見た目によらず物凄い速度とパワーを持っているとツクヨミ先輩が言っていた。


「うわっ!ウリ(オーク)が何か力溜めてるよ!スキル攻撃がくるから気をつけて!」


「大丈夫です。八尺瓊勾玉を装備しているので、スキルは全て無効です」


「えぇ〜!そんなのチート過ぎるでしょ!?」


ウリ坊がエヒメちゃんに突進したが、エヒメちゃんからバリアがでて空振りに終わった。


「大丈夫だったよ〜?」


「三種の神器はゲーム内最強装備なので、規格外の能力を持っています。通常は最下層最強のボスを倒すための物なので、1〜80階までで使うとゲームバランスが崩れてしまうのでオススメできません」


あぁ、現実の(リアル)ダンジョンでの悲劇を思い出してしまう。


エヒメちゃんに連れられて、初めてリアルダンジョンに行った時の事。


Lv1の僕の前をエヒメちゃんがズンズンと進んでいき、僕が何もできない内に彼女が魔物を次々と倒して、僕はただ後ろをついて行った。そして30階に居たボスを彼女が素手で掴んで「倒していいよ〜」って差し出してきて、僕は渋々ボスを何時間も突いて倒してLv10になったけど、僕のファンタジーへの憧れやプライドはズタズタに裂けてしまった。


それ以来、僕はリアルダンジョンに行かずにゲームをしはじめたのだ。


現実(リアル)だけでなく、ゲームの中ですら彼女に楽しみを奪われてしまうのか?


「エヒメちゃん!そんな1人で全部倒してたら楽しくないよ!」


僕は、彼女を注意した。ツクヨミ先輩もコツコツやる方が楽しいって言っていた。


しかしエヒメちゃんは、意外な事を言った。


「え?ダンジョン攻略って楽しいものなの?」


「えっ!?」


僕は、ここではじめて気付いた。現実とゲームの違いに。

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