まさかの助っ人!?
緑色に染まった画面で、HPがジワジワ減っていく。
受けるダメージも1だったのが2に増えてている。毒で防御力も下がっているのか。
反撃して1匹倒すが、大量の毒アメーバ(小)が寄ってくる。
「角に逃げて下さい」
「あっ!なるほど!」
僕は部屋の角に移動し、寄ってくる魔物を倒していく。
さっきまでは、
◎●●●
◎□◇●
◎●●●
●僕に攻撃する毒アメーバ(小)
◎ツクヨミ先輩に攻撃する毒アメーバ(小)
◇僕
□ツクヨミ先輩
で、僕は最大7匹に攻撃される所だったんだけど。
角に移動すると、
_____
◎□◇|
◎●●|
●僕に攻撃する毒アメーバ(小)
◎ツクヨミ先輩に攻撃する毒アメーバ(小)
◇僕
□ツクヨミ先輩
ー壁
という様に、最大2匹相手で済むのだ。立ち位置大事だね!
【月の光】
ツクヨミ先輩が、回復魔法を使ってくれた。
天上から光が柔らかい差し込み、毒が消え、HPが全回復した。回復した後も光は消えずに受けたダメージを回復し続ける。これ無敵状態なんじゃないか?全然HPが減らないよ!?
ツクヨミ先輩は、何もしないで静かに魔物の攻撃を受けてくれている。ツクヨミ先輩の優しさが心に染みる……。
「よ〜し!どんどん倒しちゃうぞ!」
【草薙!】
「えっ!?」
急に風の波紋が広がって全ての魔物が真っ二つになった。
「ヤマビコ君〜追いついたよ!」
見たらエヒメちゃんが天叢雲剣を持って立っていた。
「エヒメちゃんヒドイじゃないか!後少しで全部倒せる所だったのに!」
「えっ?囲まれてピンチだと思って助けたんだけど勘違いだった?」
うわっ!ツクヨミ先輩がメチャクチャ怒ってる!?画面越しだけど、凄い怒りのオーラを感じる!本当にタイミング悪すぎだよ、どうしたらいいのこれ。
「あれ?そちらの方は誰?」
「…………」
「あっ!こちらはツクヨミさん!さっきはじめて会ったばっかりだけど、このゲームの楽しみ方とか色々教えて貰ってるんだよ」
「へぇ〜、私エヒメだよ!現実で天叢雲剣使ってる勇者です!よろしくね!」
おい!本当にこれ以上ツクヨミ先輩をいじるのやめて!ツクヨミ先輩が怒りの限界を超えちゃうから!
「…………よろしく」
あれ?
「うん!よろしくね!アタイちょっとトイレ行ってくるから待っててね」
エヒメちゃんがスマートホンから離れた様で、棒立ちのキャラクターが放置されている。
「…………押し付けはダメだから」
「えっ?」
ツクヨミ先輩が何か喋った。
「これはゲームだから楽しみ方は人それぞれ。だから強い武器で簡単に倒してしまうのもその人の自由。戦ってる途中で彼女がボス部屋に入ってきて横から攻撃してしまったのはシステムの問題。戦闘中のボス部屋には入れない様にプログラムを直しておきます」
え?プログラム?
「ただいま〜!お待たせしました!」
「おかえり」
「おかえりなさい」
エヒメちゃんが帰ってきた。
あれ?そういえば、
「エヒメちゃん、何で天叢雲剣持ってるの?それ激レアだからそう出ないよね?」
「え〜?ガチャガチャっていうのやったら普通にでたよ?三種の神器全部」
「えっ!?全部!?」
「…………!?」
まさか、ゲーム内ですらエヒメちゃんは最強装備なの?